ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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日本編

私に起きた事については説明が出来ません

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 日曜日に100円ショップで買ったターバンで、猫耳を押さえていたので、何とか月曜日の夕方までを乗り切れました。

 でも、ロッカールームでターバンを外したら、猫耳が痛くて痛くて、涙が出ました。仕方なく、もしもの為に持って来ていたキャスケットで、ジンジン傷む猫耳を隠して、スーパーの値下げされた総菜を買って帰りました。

 アパートの部屋に着いたら、キャスケットも外して、猫耳を開放しました。

「んーー!!解放感!!」

 猫耳の痛みも薄らいでいくようです。

 ご飯を1合だけ炊いて、買ってきた総菜をおかずにして、ご飯を食べました。余ったご飯はラップでおにぎりにして、冷凍庫へ入れています。どうせ朝は、低血圧気味で朝ご飯を食べる余裕もないほどのギリギリで家を出るんですから。

「あー、水出し麦茶を飲み終わっちゃったかー。作んなきゃ。」

 冷水筒に水と麦茶のパックを入れて冷蔵庫に入れておきます。勝手に麦茶が出来上がります。それを水筒に入れて会社にも持って行っています。

 節約生活なので、ペットボトルのお茶が高くて買えません。だから、麦茶を作っています。料理もお菓子も祖母に教えてもらって、高校生の時は祖父と祖母のご飯まで作っていました。今でも、料理もお菓子も作れるけど、食べさせる相手もいないし、一人分だけを作るのは材料費とかガスや水道料金がかかってしまい、私には高くなるだけなので、経済的ではないし、値下がりした総菜を買って帰るぐらいが丁度いいのです。

 気ままな一人暮らし。好きな総菜を安く手に入れて食べる。それが、私に合っているのでしょう。少ない収入でも貯金が出来ています。もうすぐ貯金が200万になるんですよ。ボーナスも年に2回、10万ずつしか出ませんけど、全額貯金に回してます。毎月の収入を支出が上回らない様に気を付けて過ごしていますし、本も雑誌も図書館で読んでますし、コンビニも誘惑が多いので、行かない様にしています。

 祖父と祖母の貯金なんて、2人の葬式をして墓を建てたら、残りなんてありませんでした。生活費がどこから出ていたのかも知りませんでしたし、私もずーっと公立の小中高で、大学は奨学金で通いました。

 それも、祖父と祖母が亡くなった事を聞いた祖父母の知人が、一括で奨学金を返済してくれた事を大学の教務課に呼びだされて教えてもらったのです。私自体にはお金が無かったし、生活費をバイトで稼ぎながら講義を受けていた大学生でしたから。あの時の知人さん、あなたは私の救世主でした!!でなければ、今現在も奨学金の返済に追われていたでしょう。

 帽子とヘアターバンで猫耳を誤魔化せたおかげで、金曜日までを過ごせました。

 気が抜けたのか、土曜の朝は昼近くまで寝坊をしていましたけど。

 昼になったら、私の部屋のドアが叩かれました。

 仕方なく、ほんとーに仕方なく、「セールス、新聞の勧誘お断り!!」と、大声で断りました。
「違います。」とドアの外から男性の声がしました。
「宗教にもセミナーにも興味は一切ありません!!」と、またしても大声で断りました。
「宗教でもセミナーでもありません。表札が無いので、お尋ねしますが、ここは渡辺結衣子わたなべゆいこさんのお宅でしょうか。渡辺恭太郎さんのお孫さんでいらっしゃいますよね。」

 確かに、渡辺恭太郎は祖父の名前だし、私が孫だって知っているようだし、ドアを開けてもいないから、私の顔も知らないだろうし、まずは返事だけをしてみよう。

「祖父の知り合いの方ですか?」
「恭太郎さんから、生前から自分に何かあったらば、孫の世話をして欲しいと頼まれていましたが、私が恭太郎さんの事を知ったのが先週だったもので…。先週お伺いした時にはお留守だったようで、結衣子さんにお会いできませんでしたが、お話しだけでも聞いていただけませんでしょうか。」

 どうしよう、強盗だったりアルアル詐欺師だったりしないだろうか。何か身分を証明するものを見せてもらえないだろうか。

「あの!天涯孤独なので、誘拐しても身代金もありません!騙しても、騙し取れるお金もありません!」
「そういうつもりは一切ありません。私の身分証明書をお見せすれば、信用出来るかと思います。」
「どうやって私は確認すればいいのでしょうか!」
「このドアに付いているポストに私の身分証明書を入れます。確認したら、私を部屋の中に入れて下さい。」

 ここまで言われたら、私には失うものもないし、盗られる程の財産もないし、覚悟を決めよう。
「では、証明出来るものをお願いします!」

 カタンと小さな音がしたので、ドアに付いているポストの中身を取り出してみた。
『東西大学教授 渡辺祥太郎わたなべしょうたろう』と書いてある写真付きの身分証明書だった。写真に写っている人はイケメンでまだ若そうに見えた。イケメンだからではなく、大学教授ほどの人なら、何かあっても賠償金とかも取れそうだって思ったし、祖父の知り合いって言うから、確認もしたい。

「確認しました!今日は休みで、まだ部屋着のままなので着替えます。少しだけお待ち下さい!」
「わかりました。待っています。」

 Tシャツとジ-パンに着替えて、猫耳を隠せる様にキャスケットを被ってから、玄関のドアを開けたら、写真よりもイケメンの男の人が居た。

「どうぞ。」
「おじゃまします。」

 部屋の中に人を上げたのは、祖父や祖母がこの部屋に訪ねて来た時だけだったな。久しぶりかも。
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