ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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日本編

私は日本人じゃなかったようです

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「あれ?私、耳が生えて来た話をした覚えはありませんけど、どうして渡辺祥太郎さんは知っているんですか!?」

 ニッコリ笑って答えてくれない渡辺祥太郎さん。

「その質問に私が答える前に、私からの質問をしても構いませんか?」

「ええ、構いませんが、私が答えられるならって返事をします。」

「そうですか。それでいいです。まずは、最初の質問です。貴女は本当の事情を知って、ご両親に会いたいと思いましたか?」

 祖父や祖母のクズっぷりを知る前なら、答えはノー!一択だったけど、真実は違っていた。今は…。

「今の私は、本当の両親に会いたいと思いました。」

「二つ目の質問です。実は貴女が日本人でなく外国人だったら、本当の国で暮らしてみたいですか?」

 は?私が外国人だったから、日本人と波長が合わなくて、日本人の知り合いが出来なかったの?!そんなまさか!でも、それが本当なら、今度こそ友人も恋人も結婚相手だって見つかるかもしれない!

「仕事を辞めて、移り住むのが前提ですよね。」

「はい、それが前提になります。」

「迷いますが、今の寂しい一人暮らしから離れられるのなら、移住します。」

 移住するなら、身辺整理をしないと!墓の管理維持費なんてもう払わないで、合祀してやる!

 貯金も貴金属品や日本製品に変えて、国外持ち出しをしよう!

 会社には自己都合で辞職しよう。
 元々、子会社に出向扱いされていたから、2週間分の休暇を消化すれば、誰も何も言わないだろうし。
 でも、給与に付く筈だった資格手当や家賃補助が全くなかったから、周りを気にしなくても良くなるから請求したいな。取り戻したいな。

「では、三つ目の質問です。貴女には親が決めた婚約者がいます。その方と付き合って結婚してもいいと思ったら、結婚するでしょうか?」

「へ?!!結婚?!婚約者?!ええーっ!!」

 ちょっと待ったー!!結婚なんて考えた事なかったー!!そりゃあ、小さな頃は綺麗な花嫁さんを見て、憧れた事はあるけど、友人もいない私には分かんないーーーっ!!
 でもでも、付き合って好きになれたら結婚しても良いかもしれない。何て答えよう。

「友人もいない私には想像もつかない、ハードルの高い質問ですが、前向きに検討したいと思います。」

 何だか頬が赤くなっている気がする。

「では、四つ目の質問です。貴女が知りたがっていた耳が生えてきた理由を私が話したら、私の願いを1つだけ叶えてくれますか?」

「え?!どうして私の質問に貴方が答えるだけで、貴方の願いを私が叶えなくちゃいけないんですか?質問が変ですよ!」

「変でも答えて下さい。」

 う、うーん、どうしよう、私が叶えられる事前提ならいいけど、奇想天外な願いは叶えられないよー。どうしようー。どーしたらいいのーっ!!

「私に叶えられる前提の願いならって答えでいいですか?」
「ええ!貴女だけにしか叶えられない願いです。」


「質問は幾つあるんですか?」

「五つ目の質問です。これで最後です。貴女の中の常識を覆す出来事が起こっても、私だけを信じてくれますか?」

「渡辺祥太郎さんが嘘をつかない限り、両親と祖父と祖母の真実を教えて下さった貴方を信じましょう。」

「では、3週間後の月末までに引っ越す準備を整えて下さい。その時に、色々な質問に答えます。」

「今、教えてくれないんですか!どうして?!」

「また来週の土曜日にお伺いいたします。その時は移住の相談に乗りますので、ご心配なく。」

 そう言って、渡辺祥太郎さんは帰って行った。

 月曜日に子会社では口頭で事情を説明して、本社の方には、退職願を出しながら、「急遽、両親の転勤に付いて行かなくちゃならなくなったんです。月末には両親と海外赴任します。どうか宜しくお願いします。有給休暇も消化したいので、出勤も今週いっぱいでお願いします。」と頼んだ。

 会社帰りに、アパートの管理会社である不動産屋へ寄って、両親の海外転勤に付いて行くので、今月いっぱいの契約で終了をお願いしますと話をしました。

 家の私の荷物をどうするのかと、週末に来る予定の渡辺祥太郎さんへ相談せねば!!と意気込んでいました。
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