ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

公爵令嬢はツンデレです

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 公爵令嬢はある意味、ワガママでしたし、王に対してだけ発動する所謂いわゆるツンデレでした。

 王が今までの事を謝罪して、その理由を話してくれました。はいはい、お2人は両想いのこじれたやつでしたか。

 その様子を私が緊張から常時魔力を流していたブローチを通じて、ワーオランドーラの王の言い分を一郎さんと祥さん、陽太郎さんが聞いていたと、後からマミ姉さん(加奈さん)に説明されました。が、その事について、私自身には自覚がありません。

 一郎さんと祥さん、陽太郎さんが聞いた後、どうしたのかは分かりません。でも、王から「戦争はしない。済まなかった。番しか目に入ってなかった。」と再度、言われたのが利いたのでしょうか、理由は知らないけど、書簡で戦争しないと書いてあったのに、その事を王様に伝えていなかったんでしょうね。まぁ、戦争を回避出来たようだし、友人が危険な目に遭わなくて良かったーー。

 そのせいなのか、ワーオランドーラの宰相さん達が頑張ったのか分からないけど、異界渡りで到着地点がズレてしまい、困っていた他国のご令嬢をジャンヌ様が偶然見つけ、家で介抱し元気になっても滞在しているのだと、書簡にも書いてあった通り、良い話にすり替わっていましたけど。

 5日後には、その番である祥さんと一郎さんが陽太郎さんを護衛にして、このワーオランドーラへ私達を迎えに来るに、公式訪問する事になったし、これで、国家間の事は何処も丸く収まったようです。

 …祥さんの居る所へ帰りたい。何で私達が痴話喧嘩の様なじゃれ合いに巻き込まれているんだろう…と遠い目をしてしまう程、投げやりで、どうでもいいと思っている私がいます。うん、カップルの甘い空気に当てられてるからだな…。

 マミ姉さん(加奈さん)は、良い意味で開き直っていて、「犬臭くて気持ち悪いから近寄らないで!!」とジャンヌ様から離れない王とジャンヌ様をセットで遠ざけていて、私と2人で、人んちの客間で優雅にお茶を飲んでいます。マミ姉さん(加奈さん)ったら強い。でも、ケーキやお菓子は美味しいなぁ。

 王も妊婦には強気に出れないようで、ジャンヌ様とセットでマミ姉さん(加奈さん)から離れています。ジャンヌ様が叩いても、身体を動かしても、どうやっても、しがみ付いている王様が(物理的に)離れません。凄いなー、どうしたらあんな芸当が出来るのかと獣人の神秘を感じました。あれなら、サーカスも出来そうとコッソリ思いました。

 でも、その仲睦まじい姿をどこかで羨ましく思って見ている私がいて、考えるのは祥さんの事だけ。

 私も祥さんに会いたいなー。と、口から出ていたようです。

「わ、私だって!ごにょごにょ…。」
「ジャンヌ様、ハッキリ仰いませ!」

 うわ!マミ姉さん(加奈さん)からのげきが飛んだ!

「嫌われてなかったら、もっと一杯、会いたかったわ!!」

 ジャンヌ様のシャウト(心からの叫び)です。デレですか。

「よろしい。女性の素直さは男性にとっての美徳ですわ。」したり顔でそう告げるマミ姉さん(加奈さん)。

 ワーオランドーラの王が嬉しそうに頷いている。ジャンヌ様は真っ赤な顔で王様の居る側とは反対の側へ向いている。ふぅ、やっとくっついたバカップルは勝手にどっかでイチャコラして欲しい。

 それにしてもルー家がドタバタしている。落着きがないと言うか、慌てて何かの準備をしていると言うか、マミ姉さん(加奈さん)に聞いても、「明日には分かるでしょ。のんびりしましょうよ。」と言うだけだった。

 マミ姉さん(加奈さん)と私は、今、身に着けている髪飾りに消臭する様に魔法をかけているので、マスクをしていません。マスクだと、見た目からして「あんた達が犬臭くて気持ち悪いのよ!」って言っているみたいなので、ジャンヌ様の私室へ着いてから、私達2人が他国の公爵令嬢を名乗っていたので、ドレスに着替えた時、髪飾りに消臭する様に魔法をかけたんですよ。

 私達は目に見える危険が去ったので、旅行気分でのんびりさせてもらいました。緊張が解けたからかもしれませんが、その日は早く寝てしまいました。何度か、遠吠えが煩くて目が覚めましたが、眠さが勝って朝まで眠っていました。

 朝はメイドさんが起こしてくれて、別々の部屋に泊まっているマミ姉さん(加奈さん)と合流して、一緒に朝食を済ませてから、マミ姉さん(加奈さん)の泊まっている部屋に行きました。メイドさんが用意したお茶を飲みながら、マミ姉さん(加奈さん)と話します。

「昨夜から遠吠えが煩くて、何度も起きてしまいました。あふっ…。」と私が言うと、
「まぁ!他ではその事を言ってはダメよ。昨夜は、王とジャンヌ嬢の初夜とマーキングが行われていた筈だから。そのせいで狼の遠吠えが聞こえてたのよ。気にしないのが一番かしら。おめでたいわよね。」
「はわわっ!!」

 顔が瞬時に真っ赤に染まった。初、初夜!?!え?!えーー!!開けっぴろげなの!この世界では!

「ね、他では話しちゃダメなのよ。分かった?私達の首にある痕を見て、2人共、羨ましかったんでしょうね。遠吠えは獣の姿になったから、聞こえたのよ。2人を煽っちゃったかしら。」そんなサラリと…。

「は、はい!話しません…、あ、煽ったつもりは、ないんですが…。」あうあう、顔の赤みが引きません…。

 ミサはそのままでいいわとマミ姉さん(加奈さん)に言われたけれど、もう少し常識を覚えようと思った!

「その用意と準備を急にする事になったから、昨日はお屋敷の中が騒がしかったのよ。」

 昨日の騒がしさ、落ち着かなさの原因が分かって、納得したのでしたが、恥ずかしいモノは仕方ないと、開き直るようにしました。

「多分、王城にもルー家から使いが行っている筈だから、今日は、王が結婚したと発表されて、国中がお祭り騒ぎよ。式はいつ頃かしら?」と淡々と話すマミ姉さん(加奈さん)であった。

「マミ姉さん(加奈さん)って、恋愛小説でも書くんですか?」私がそう聞いたら、私を見ながら目を見開いているマミ姉さん(加奈さん)がいた。

「ミサ!あなたは何ていい子なのかしら!今ね、雷にたれたような衝撃が来たわ!!私、国に帰ったら、娯楽がないって嘆いていたの。でも、私が娯楽を作ればいいじゃないかと今のミサの言葉で気が付いたわ!ありがとう!いち、聞いているわよね!私、作家になるわ!どうせ、家から出れないんですもの、家で出来るんだから許可してくれるわよね!」

 マミ姉さん(加奈さん)のブローチから「家で出来る事をするならいいよ。外へ飛び出さないかと冷や冷やしていたが、家で出来る良い提案をしてくれて助かった。ミサさん、ありがとう。」と、一郎さんの声が聞こえた。

 そして、その日、ジャンヌ様と王様は部屋から出て来なかった、寵愛が羨ましい等と、メイドさん達が噂をしてました。あー、私はこの世界で生きていくのに、意識改革しないと、恥ずかし過ぎて困るかもしれませんねー(棒読み)。

 屋敷に招いたジャンヌ様が不在でも、いつの間にか、私達が2人のキューピッド役になったのだと言う話が広まっていて、私達は屋敷の皆様に親切にして頂きました。…夜には、また遠吠えが煩くて目が覚めましたが、出来るだけ気にしないように意識して、朝まで何とか眠りました。王が90過ぎだし、世継ぎはすぐにでも欲しいでしょうから、仕方ないと、自分に言い聞かせて。
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