ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

三者三様2

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 その日の昼過ぎだった。無事に書簡が2人の手元に届いたのを通信で確認したと聞いた直後に、
 「ルー家に王が前触れもなく突撃訪問したのが、通信で判明したー!だから、すぐ来い。」と陽から緊急で知らせが来た。

 急いで、通信室へ駆け込んでみると、陽が涙を流して笑っていた。何故に大爆笑を?

「…とにかく、今までの通信を隣の部屋で聞いてから、この部屋に戻って来てくれ…。」
 陽が笑いながら、途切れ途切れ話した通りに、隣の部屋、通信第2室へと一兄と私で入って、録音されたモノを聞いた。

ーーー『音声再生』ーーー

「…お止め下さい!」「いや!ジャンヌ嬢に会うまでは帰らない!!」「会いたくないって言ってるでしょ!!」
「でも!会いたかった!!」「クロが王様だって知らなかった!!騙したんでしょ!!」「騙してない!!大人が会いに行ったら、ジャンヌが怖がるかと思って、獣の姿で会っていただけだ!!」

【いやいやいや、わざわざ断りに出て来て、会ってるでしょーに!!(by・2人祥と一の心の中の声and突っ込み)】

「いくら王でもしていい事と悪い事は分かりますわよね!帰って!」「帰らない!!話を聞いてくれ!!」

「ジャンヌ様、話を聞くだけでいいなら、聞いてみてはいかがかしら?王妃教育では、どんな方からでも話を聞くようにと言われていたのではなくて?私も王から直接、今回の話を伺いたかったんですもの。ね、ジャンヌ様。」

【加奈(さん)ナイス突っ込み!!これで事情が分かる!!(by・2人祥と一の心の中の声)】

「まずは、上手く言えないから、これを聞いてくれ!昨日の、私と使者と宰相補佐で、した話だ。」

 カチッ!(音声再生魔道具を起動した音の様だ…。)

『「では、今回、王単独で計画した『ヤキモチ焼かせてラブラブ作戦』は、まれにみる、大失敗ですね。使者マシロ殿、もう一度、ご令嬢の言った事を再生して下さい。」

「はっ!では再生致します。」

「『心底嫌っている私に、王が断った女性の嫌がらせや呪いを向けさせる様にして、ワザと私が苦しむ様にしていたのでしょうに、何故、今になっての王命での結婚なんですか。私は王の女性関係の尻拭いする道具ではありません。嫌われている方に嫁ぐのは、死んでも嫌だとお伝え下さい。強行するなら、死をもって対抗致します。私は今回、番の居る女性を王城の王の寝室へ到着させて、側室にするつもりだった方など、汚らわしくて無理です。今回の事で、ほとほと呆れかえって、憎しみだけになりました。私のこれからを邪魔するつもりでしたら、自害をする覚悟もありますわ。とお伝えください。』」

「「私は今回、番の居る女性を王城の王の寝室へ到着させて、側室にするつもりだった方など、汚らわしくて無理です。」って、あのご令嬢が王の気持を言うように、心底嫌われたね。あーあ、やっちゃったなー。王命での結婚も、もう無理じゃねーのー。」

「宰相補佐ロック殿、おまえは私の味方ではないのか。それにそんな作戦なんて立ててない!!」

「んーんー、私は可愛いご令嬢や妖艶なご婦人方の味方!だから、仕事は王のために働く宰相補佐だけどー、プライベートは女性の味方。(どキッパリ!!)」

「どや顔で言うな。…はぁー、何処で間違えたんだろう、…。」

「そーれーはーねー、最初の顔合わせからだよー。なーんで、固まったまま、声をかけなかったのか、その後、自分で会いに行けば誤解も解けたのに、使者任せで門前払いされているうちに、他の家からは側妃候補の娘を何人も送られているしー。」

「あ、それはだな、婚約破棄の手紙をもらって、書類に署名まで用意されていたから、怖くて会えなかっただけだ。」

「へーターレー。その側妃候補をご令嬢を理由にして断るから、王に出来ない向けられない恨みつらみが、ご令嬢に向かったんでしょーよ。その謝罪もしないうちに、今回の異界渡り地点に何ヵ月も前から自らが術式を張って、見事に誤解されたっと。本当は、ジャンヌ嬢が異界渡りで逃げたらと張っていた罠に、条件が似ていた、とある国の公爵令嬢2人が掛かってしまって、戦争が起きる寸前っとーーー。」

「だって、あんなに陰湿な嫌がらせや呪いが、ジャンヌ一人にへ向かうとは思わなくて、それでジャンヌが異界渡りしたらどうしようと思って、すぐに術式を仕掛けただけなのに。」

「で、どーすんのー?王様ー!!とある国では、王の婚約者と宰相補佐の妻を攫われたと、抗議の書簡や通信がテンコ盛り!!来てるんだけどーー?!」

「私は、死ぬ覚悟をさせる程、彼女に、ジャンヌに、ツラい思いをさせていたんだろうか。」

「仕事の出来る馬鹿はどうしょうもねーなー。王になる勉強や鍛錬がツラいって泣いていたのは、何処の馬鹿だ。もう忘れたか!!ジャンヌ嬢だって、産まれる前に婚約が決まって、産まれてからずーっと王妃教育で気が抜けない日々を過ごして、おまえの隣に相応しくなる様にと、おまえの絵姿をよすがに泣きながら頑張って来たんだぜ。それを15才まで一度も面会せず、会ったら、会ったで泣かせて帰すって、何処の鬼畜だ?!ああん?!」

「もう、一生独身でいい。番のジャンヌに嫌われるだけでもツラいのに、死なれでもしたら、生きていたくない。だけど、王を辞めるにも次を用意していないから、辞められない。」

「バーカ!!バーカ!!……私は王命を伝える使者が戻って来たので、その返事である伝言を伝えるだけの為に王の執務室まで来たんです。…仕事してるんだーよ。…それでは、私は伝言を伝えたので、宰相室へ戻ります。では、陛下、仕事をサボりませんように。…お前にゃそれしか残ってないんだろーが、仕事だけはしろよ!!」

「頼みの宰相補佐にも見放されたか。仕方ない、仕事だけは出来る馬鹿と言われているし、な。仕事をしよう。」

 バサバサ、カリカリ…。

「……あれ?涙で書類がよく見えない。書類に涙の痕なんて付けたらダメだろ。でも、目の前がにじんでしまう。」

 バタンッ!!!「あー!!うっとおしいわーーー!!やっぱり泣いてやがる!!幾つになっても泣き虫じゃねーかー。」

「さ、宰相補佐。」
「今だけは、幼馴染のロックとして、忠告してやる!!私の質問に必ず答えろよ!いいか!」
「ロック、ありがとう。うん、じゃなくて、はい。」
「じゃあ聞くが、この国をジャンヌ嬢だと思って想像しろ。その国を他の誰かのモノにして許せるか?」
「無理だ!奪い返す!」
「国が手元から無くなりそうな時にはどんな事をしても、手放さないと言えるか?」
「放さない!しがみ付いてでも!」

「ジャンヌ嬢が他の男性と初夜を迎えるのは許せるか?」
「無理だっ!相手を殺してでも奪わせない。」
「ジャンヌ嬢が手元から無くなりそうだ、手放すのか?」
「しがみ付いてでも離さない。」

「んじゃ、やる事は決まってんだよ。仕事を放り出してでも、ジャンヌ嬢に縋りついて、今までの事を恥をかいてでも、全部話して来い!!全部話すまで、王城には帰れないと、ルー公爵家には使いを出しておく。」
「恥ずかし「言ってる場合じゃないんだ!おまえにとっての国家存亡の危機なんだぞ!形振なりふりなんて構うな!後で、一緒に言い訳を考えてやる!!すぐ行けっ!!追い返されても、凹んでる暇なんてない!!諦めんな!!すぐ行けーーーーーっ!!!」分かった。行って来る!!」』

 カチッ!

「ここまで録音された魔道具を幼馴染のロックに、私が今日、渡された。ロックが私の使えなさを考えて渡してくれたんだと思うので、活用してみたが。巻き込まれたお二方には大変済まない事をしたと思っている。申し訳なかった。番の方にも私が詫びるので、どうか戦争を回避する様、力添えをお願い致したい。私は、ただ、ジャンヌを何処にも行かせたくなかったゆえの、私単独の暴挙であったのだ。」

「ジャンヌ!!今まで私は、貴女に嫌われたくなくて動けずにいた!でも、このままでは貴女を永遠に失うかもしれないとその一心だけでここまで来た!!王命でもなく、私が心から結婚したいのはジャンヌだけだ!!結婚してくれーー!!でないと、私は王城には帰らないっ!!」

「…(小声で。)ヘタレ返上したのね。リアル恋愛小説だわ。ふふっ。いちにも聞かせたいわ。」

【…裏がなかったよ、さすがイヌ科。素直だ。ジャンヌ嬢はツンデレの様だが、王はジャンヌ嬢の主でなく、狼もとい犬だな。加奈(さん)、一人言が大き過ぎる、通信機器に入ってますよ。戦争回避したのは王に伝えてないのか。(by・2人祥と一の心の中の声)】


「わ、わたくしは、す、すぐには許しませんわ!」
「許さなくても、結婚してくれればいい!!」
「し、仕方ないですわね!結婚だけならしてあげても良くってよ!!」

 ドタバタ、ドタバタ、「お嬢様の結婚が決まったぞー!!用意をー!今夜の準備をー!」「全力で準備するんだー!」「はい!」「各所に通達だー!」ドタバタ、バタバタ…。

 隣の部屋で笑って涙を流していた陽の肩を叩いて、「お疲れさん。」と言うと、「俺も婚約者にプロポーズしてくるわ!明日は休むから!仕事は明後日以降な!」と、通信室から凄い勢いで走って出て行った。

 一兄も「陽も当てられたようだな。明日は陽、仕事出来ないだろうから休みは仕方ない。5日後、2人を迎えに行くついでに、公式訪問するよう予定を組んでおくから。」と、言って出て行った。

「70年も番が現れなかったら、ヘタレにもなるさ。私だって、20年近く待っていただけでも、凄く怖かったよ。」誰に聞かせるまでもなく、そう呟いて、通信室を後にしたのだった
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