39 / 207
異界渡り(ワーオランドーラ国)編
獅子国では1
しおりを挟む
獅子国の王宮の一室では、宰相の白角と、孫娘の白虹が話していた。
「今回は仕方なし。王太子まで出てきてしまった時点で、阻止されるのは9割だったからのう。後は運だけだった筈だがの。あの小娘を国から追い出すのに、散々計画してこちらからも定期的に金を渡して生活させていたのに、あの爺と婆が先に死んでしまいおって、計画がとん挫しおったわ。」
「お爺様、私、あの王太子は好きじゃないの。父の様に母の手の上で踊っているのにも気付かなくて、権力があって贅沢させてくれるなら、多少は目を瞑るわ。私の手の上で踊って満足する男が良いわ。」
「青水仙は、前なら儂のお勧めじゃったが、猫耳娘に狂っておるからのう。今はまだ無理だしのぉ。どうしたもんか…。さて、白虹は気になる男は居ないのか。」
「見てみて、話さないと分かんないわ。お見合いしようかしら。お爺様なら、私の好みを知っていらしてるし。」
「白虹の手の上で踊っているのにも気付かなくて、権力があって贅沢させてくれる、見目も良い男か。そうだの、権力があって金もある男で見た目も良いのだと、中々、白虹の思う通りに動かんものだ。白虹の父の様な男は中々いないと知っておればよいが、難しいのう。洗脳しても、元々の気質が出て来てしまうから、厄介じゃて。」
「お爺様は意地悪ね。」
「白虹は異界渡りをしてでも、相手を探してくる気はあるかの?あっちでなら、白虹の理想な男が居ると報告があった筈じゃ。こっちよりも平和だから、うじゃうじゃ居そうじゃのぉ。」
「そうね、自力で探してくるのも面白いかも!護衛とブレインで、今回失敗した青水仙を連れて行くわ。後は、妹の赤湖をメイド代わりに連れて行くわ。お屋敷も伝手もあっちにはあるんでしょ。」
「赤湖は許可しない!青水仙を執事として、護衛を兼ねて連れて行けばいいじゃろうて。」
「んんもう、お爺様の意地悪!!」
「そんなワガママをいうなら、向こうでの生活費を少なくするぞ。それとも許可を取り消そうかのう。」
「分かりましたわ。赤湖は諦めます。成長を留め置く注射の手配をお願い致しますわ。あっちに言った途端に、何処かの誰かみたいに婆になりたくないし。あ、青水仙の分もね。お願いしますわ、お爺様。」
「それなら、手配しておこうかの。」
「では、失礼いたしますわ。」
白虹が出て行った後、白虹の前では好々爺だった白角は溜め息をついた。その姿が溜め息一つで変化していた。獅子国皇帝、白炎の姿に。
「私がいつ、あの爺と入れ替わった事に気付くのか。白虹では無理か。」白炎が吐き捨てた。
「ええ、あの娘では無理ですわ。あなたの真の実力にも気付かなかった父と同じで、節穴ですわ。」
それに答えたのは、皇帝正妃の赤雪だった。
「まあ、いい。あの問題を起こした青水仙とセットであっちへ送れば、問題ないだろう。」
「それで、あっちでの定期的な注射に細工して、向こうで一生を終わらせると言う脚本ですね。」
可憐な女性が姿に似合わない言葉を述べた。
「赤湖、いや白星。白虹が向こうへ行ったら、立太子の儀を行う。女装もそろそろ年齢的にも限界だろうし、な。」
「父上、母上のおかげで、あの爺に殺されなくて済みましたし、姉もあっちで番の青水仙と幸せに暮らせそうですし、いいんじゃないでしょうか。」
「私も、あの憎たらしい爺の真似をこれ以上しなくて済むので、助かる。」
「ええ、あの使えない頭の悪い父の姿を王家の隠し牢以外で見なくて済むようになるなら、歓迎致しますわ。」
赤雪は艶やかに嬉しそうに笑った。
「では、白虹の異界渡り関連の手配をするか。」
「父上、猫耳の国にも一刻も早く正確な情報を伝えなければ、あらぬ誤解を受けます。」
「その手配も謝罪も既に密書を送って、済んでいる。後は国内の爺の派閥に残っている、ぐうたら貴族を処分するだけだ。」
「そうですか。では、白虹姉上の出国日はいつになるでしょうか?」
ウキウキと楽し気に白星は父に尋ねた。
「明日から準備させて、3日で出そうかと思っている。」
「では、あと3日のうちに、愚かなご令嬢に頭の軽いご夫人の一覧を仕上げておきます。そんな血を獅子国皇家には入れたくありませんので。お見合い一覧から外していただかねば。」
「そうだな。白虹と赤湖が姉妹だと信じて、白虹が後継ぎと勘違いしていたせいで、赤湖に嫌がらせや呪いを仕掛けてきていた愚かな者共達か。外すのは当たり前だ。良い一覧を期待している。」
「勿論です。詳細な一覧を父上にお目にかけますので。」
「母も、その一覧で今までのストレス発散をしたいわ。白星、私にも詳細な一覧をもらえるかしら。」
「父上、母上にもお渡しして宜しいでしょうか?」
「構わん。赤雪、楽しく遊ぶのだぞ。間違っても、じゃれ過ぎて甚振り殺したりするな。でないと、私の楽しみが減るからな。」
「まっ、白炎様ったら。」
「お2人の仲が良くて羨ましいです。今度こそ、頭の悪い兄弟は要りませんので、普通か私と同じ位の兄弟を頼みます。」
「ああ、努力はする。」
「では、父上、母上、私は執務へ戻りますので、失礼致します。」
白星は自分の部屋で、届いたばかりのワーオランドーラでの報告書を読み直す事にした。
「今回は仕方なし。王太子まで出てきてしまった時点で、阻止されるのは9割だったからのう。後は運だけだった筈だがの。あの小娘を国から追い出すのに、散々計画してこちらからも定期的に金を渡して生活させていたのに、あの爺と婆が先に死んでしまいおって、計画がとん挫しおったわ。」
「お爺様、私、あの王太子は好きじゃないの。父の様に母の手の上で踊っているのにも気付かなくて、権力があって贅沢させてくれるなら、多少は目を瞑るわ。私の手の上で踊って満足する男が良いわ。」
「青水仙は、前なら儂のお勧めじゃったが、猫耳娘に狂っておるからのう。今はまだ無理だしのぉ。どうしたもんか…。さて、白虹は気になる男は居ないのか。」
「見てみて、話さないと分かんないわ。お見合いしようかしら。お爺様なら、私の好みを知っていらしてるし。」
「白虹の手の上で踊っているのにも気付かなくて、権力があって贅沢させてくれる、見目も良い男か。そうだの、権力があって金もある男で見た目も良いのだと、中々、白虹の思う通りに動かんものだ。白虹の父の様な男は中々いないと知っておればよいが、難しいのう。洗脳しても、元々の気質が出て来てしまうから、厄介じゃて。」
「お爺様は意地悪ね。」
「白虹は異界渡りをしてでも、相手を探してくる気はあるかの?あっちでなら、白虹の理想な男が居ると報告があった筈じゃ。こっちよりも平和だから、うじゃうじゃ居そうじゃのぉ。」
「そうね、自力で探してくるのも面白いかも!護衛とブレインで、今回失敗した青水仙を連れて行くわ。後は、妹の赤湖をメイド代わりに連れて行くわ。お屋敷も伝手もあっちにはあるんでしょ。」
「赤湖は許可しない!青水仙を執事として、護衛を兼ねて連れて行けばいいじゃろうて。」
「んんもう、お爺様の意地悪!!」
「そんなワガママをいうなら、向こうでの生活費を少なくするぞ。それとも許可を取り消そうかのう。」
「分かりましたわ。赤湖は諦めます。成長を留め置く注射の手配をお願い致しますわ。あっちに言った途端に、何処かの誰かみたいに婆になりたくないし。あ、青水仙の分もね。お願いしますわ、お爺様。」
「それなら、手配しておこうかの。」
「では、失礼いたしますわ。」
白虹が出て行った後、白虹の前では好々爺だった白角は溜め息をついた。その姿が溜め息一つで変化していた。獅子国皇帝、白炎の姿に。
「私がいつ、あの爺と入れ替わった事に気付くのか。白虹では無理か。」白炎が吐き捨てた。
「ええ、あの娘では無理ですわ。あなたの真の実力にも気付かなかった父と同じで、節穴ですわ。」
それに答えたのは、皇帝正妃の赤雪だった。
「まあ、いい。あの問題を起こした青水仙とセットであっちへ送れば、問題ないだろう。」
「それで、あっちでの定期的な注射に細工して、向こうで一生を終わらせると言う脚本ですね。」
可憐な女性が姿に似合わない言葉を述べた。
「赤湖、いや白星。白虹が向こうへ行ったら、立太子の儀を行う。女装もそろそろ年齢的にも限界だろうし、な。」
「父上、母上のおかげで、あの爺に殺されなくて済みましたし、姉もあっちで番の青水仙と幸せに暮らせそうですし、いいんじゃないでしょうか。」
「私も、あの憎たらしい爺の真似をこれ以上しなくて済むので、助かる。」
「ええ、あの使えない頭の悪い父の姿を王家の隠し牢以外で見なくて済むようになるなら、歓迎致しますわ。」
赤雪は艶やかに嬉しそうに笑った。
「では、白虹の異界渡り関連の手配をするか。」
「父上、猫耳の国にも一刻も早く正確な情報を伝えなければ、あらぬ誤解を受けます。」
「その手配も謝罪も既に密書を送って、済んでいる。後は国内の爺の派閥に残っている、ぐうたら貴族を処分するだけだ。」
「そうですか。では、白虹姉上の出国日はいつになるでしょうか?」
ウキウキと楽し気に白星は父に尋ねた。
「明日から準備させて、3日で出そうかと思っている。」
「では、あと3日のうちに、愚かなご令嬢に頭の軽いご夫人の一覧を仕上げておきます。そんな血を獅子国皇家には入れたくありませんので。お見合い一覧から外していただかねば。」
「そうだな。白虹と赤湖が姉妹だと信じて、白虹が後継ぎと勘違いしていたせいで、赤湖に嫌がらせや呪いを仕掛けてきていた愚かな者共達か。外すのは当たり前だ。良い一覧を期待している。」
「勿論です。詳細な一覧を父上にお目にかけますので。」
「母も、その一覧で今までのストレス発散をしたいわ。白星、私にも詳細な一覧をもらえるかしら。」
「父上、母上にもお渡しして宜しいでしょうか?」
「構わん。赤雪、楽しく遊ぶのだぞ。間違っても、じゃれ過ぎて甚振り殺したりするな。でないと、私の楽しみが減るからな。」
「まっ、白炎様ったら。」
「お2人の仲が良くて羨ましいです。今度こそ、頭の悪い兄弟は要りませんので、普通か私と同じ位の兄弟を頼みます。」
「ああ、努力はする。」
「では、父上、母上、私は執務へ戻りますので、失礼致します。」
白星は自分の部屋で、届いたばかりのワーオランドーラでの報告書を読み直す事にした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる