ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

滞在延長が延長されました

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 私とカーナさんは番の暴走で、延長を聞いたその日の夜から熱を出して寝込んでいました。甲斐甲斐しく世話をしてくれるメイドさん達に、ルー家の侍医であるグウェン先生のおかげで、3日目には起き上がれました。

「更に3日、滞在延長になったって、さっきいちから聞いたわ。」

 私より半日早く起きあがれたカーナさんから、更に滞在延長になったと言われましたけど、不安がぎります。

「私達のせい?」
「茶屋の後始末があるんだって。あれから更に調べ、ザクザク色々と出て来たから。って教えてくれたわ。」
「仕事の方だったんだ。あー、よかった。」
「ほんとよね。私達のせいだって思わずに済んで。帰国してから、足を引っ張ったって陰口を言われなくって済んだわね。」

 滞在延長が私達のせいでなくて、よかった…。

 私自身、どうしても自己評価が低くなってしまうのは自覚してるけど、急には直せないし。祥さんの隣にいる為には、もう少し自信を付けないとならないのも分かってる。

 ああっ、もう!私って自分に甘いんだよね。甘やかしてくれる人がいなかったから、自分を自分で甘やかしていたから、仕方なかった部分もあるけど、さ!はぁあ、どうしたらいいか分かっているのに、動けない自分が嫌だ!情けなくて、また落ち込みそうだなぁ…。

 ああ、だから、暗いって言われてたんじゃない!無愛想って言われてたんじゃない!どうして、こんなどうしようもない事でグダグダしてるのよっ!

「何を悩んでいるの?」カーナさんが声をかけてきた。
「えーと、自己嫌悪?!自分に甘い自分が嫌だって、祥さんの隣にいたいから頑張らなくちゃならないのにって、分かっていても動けない自分が嫌で、落ち込んでましたね。」
「自覚があるのは良い事よ。でもね、努力はしていかないと、あなたを守るだけの彼になってしまうわ。守られて一緒に居るのと、同じ道を歩くパートナーとして一緒に居るのと、どっちがいいかユーイが判ってる?どっちで生きていくかで、彼の負担も気持ちもこの先、大分違ってくるわよ。」

 そうだよね、おんぶに抱っこのパートナーじゃ王になる祥さんの負担も、気持ちも、私が重荷になるんだよね。その上、子供が出来たらその心配や負担の分の重荷が増えてしまうのも分かってる。どっちがいいかなんて解ってる、私が祥さんに望んでいるのは、祥さんと一緒に歩けるパートナーになりたいって事だから。

 落ち込んでも泣いてもいいから、自分が出来る事をしていかないと、いつまで経っても進めないよね。

「カーナさん、文字を教えて下さい。祥さんに教えてもらったけど、まだまだだから。」
「暇だし、勉強するのもいいわね。こっちなら、書店に辞書やドリルがあるから、買ってやってみればいいわ。」
「ああ!小学生が字を習って、覚える時みたいにするんですね。」
「そう。そんな感じ。じゃ、メイドに言って、買ってきてもらうわね。」

 カーナさんがメイドさんに言ったら、3種類の言語の辞書と山盛りのドリルを買ってきてもらえました。

 この世界は3種の言語が使われているのだそうです。主に使われている言語はヌイン語で、私達が日頃、使っている言葉です。獅子国だけで使われているのが、グルミン語です。そして、ウサギの耳のラーン・ビット国と、熊耳のガオン・ロード国とその周辺国で、山に囲まれた場所に住んでいる人達が使っているのが、サンビット語と言う説明が、カーナさんからありました。

「その3種の言語を話して書いて読めないと、王太子妃としてはキツイと思うから、辞書と山盛りのドリルを買ってきてもらったの。」とカーナさんに言われました。

 大変そうだなー、でも目の前に、自分がやる事が出てきたので、さっきの様に悩んでいる暇はないと思う。まずは、ドリルを見ながら、100円ショップで買っておいたノートへ書いて練習していく。

「でも、ユーイってヌイン語は、喋れているのよね。」
「へ?私?日本語で話しているのだと思ってましたよ。」
「へぇ?!嘘!日本語じゃないわよ。大丈夫?」
「…小さい頃、日本へ行くまで使って話していたから、今も話せるのか、な?」
「ちょっと待って。もしかして…。ユーイ話しかけるから、答えてね。」
「はい。」
「(グルミン語で。)こんにちは。今、あなたは何をしていますか?」
「(グルミン語で。)こんにちは。カーナさんと話しています。」
「(サンビット語で。)喋る内容が分かるの?」
「(サンビット語で。)どうしてか分かりませんが、話す内容が分かります。」
「うわ!ユーイ。日本へ行く前に、話す言葉を教えられていたんじゃないかしら。どこへ誘拐されるか分からないから、せめて、話せて戻れる様に。って教育されていたんだわ、多分だけど。」

 私、日本へ行くまで、大事にされていたんだ…。嬉しい。

「話せる事は内緒にしておいた方がいいわ。暫く、知らない振りをしていた方が有利かもしれないの。色々な情報を知るためにも。城に入ったら、誰が良い人か悪い人か、味方か敵かも分からないでしょ。それが分かるかもしれないわ。「日本にいたので、知りません。」って顔をしていれば、他の言語で話をされても分からない振りで、相手がどんな人か判断し易くなるんだもの。活用しなくっちゃ。」

「そっか。その手が使えるなら、使わないとですね。」
「祥にも黙っていたら、本音が聞けるかもね。」
「カーナさんこそ、一郎さんや陽太郎さんへ話しちゃダメですよ。」
「もちろん!2人だけの秘密にしましょ。」
「いいですね、秘密って。」
「じゃ、まずはヌイン語のドリルとノートから見るね。祥からは何処まで教えてもらったかを見るわ。」

 カーナさんがノートやドリルを見ている間に、単語を覚えて書いていこうっと。

「結構な所までは教わっているのね。後は実践を重ねれば大丈夫そうだけど、基礎は大事よね。」

 カーナさんが図書館から本を借りて来ると言うので、私は単語の書き取りの続きをしてますよ。ええと、この単語は会議、こっちは話し合い、っと。

 カーナさんが借りてきた本は、こちらの世界の料理本と、旅行案内でした。私が興味があって読みやすいだろう本を選んで来たのだとか。カーナさんも自分も私と交代で読むつもりだったから、と言ってたので、交代で読みましたよー。

 2人して料理の本の内容で話をしてから、夕食と入浴を済ませて寝ましたが、祥さん達3人に会わなかったです。次の日も、勉強と読書で過ぎていき、3人とは会えませんでした。忙しいんですね、きっと。
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