ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

帰国の為の馬車に乗りました

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 今日は、ワーオランドーラからナーオ・ロウへ帰国する予定の日です。生まれた国はどんな場所だろう。

 昼にワーオランドーラを出発しても、夜遅くにはナーオ・ロウへ着くそうです。あっちの世界で例えると、ヨーロッパ諸国の様に国が陸続きであると言ったら想像しやすいでしょうか。昨日、勉強の合間に、地図でザッと国の位置関係を教えてもらいました。私から頼んで、また昨日もメイドさんが本屋に行って、各種図鑑に地図等を買ってきてもらったんです。今日乗る馬車の中でも読んで勉強するつもりでいますから。

 今朝から私とカーナさんは、ジャンヌ様、ルー家当主、王様、護衛のロックさん、マシロさん、何故か宰相さんからも、お土産をもらってしまいましたー。私はカーナさんを立ち合いにして、付箋を付けたお土産をブレスレットに入れていきました。カーナさんは私を立ち合いにして、もらったお土産をブレスレットへ入れていきました。

 乗って帰る馬車は、昨日のうちにナーオ・ロウから来ていて、御者と護衛はルー家で泊まったそうです。だから、昼食後に出発するのだと祥さんから聞きました。その際、御者と護衛の方々を紹介されました。

 御者が2名。2名共、近衛黒騎士団の騎士様だとか。護衛には近衛蒼騎士団副団長とその部下の方で5名。あわせて7名の方を紹介されました。私は簡易ドレスに髪と化粧で武装していたので、いつもの自分とは別人だと思って、ご令嬢らしく挨拶が出来たと思いますよ。私の横にいた祥さんが笑顔でいましたし。

 そうそう、今朝早く、私とカーナさんの部屋まで来た祥さんと一郎さんが腰を折り曲げて誠心誠意、謝ってくれたので、、仲直りをしました。ただし、話をしても最低限か、それとも普通に話をするかどうかは相手次第で、私もカーナさんも具体的にどうするかは決めていませんけどね。

 私は完全に許した訳ではないです。初めての時も、祥さんは暴走して寝込みましたから。当分は様子見します。

 昼食は王様とジャンヌ様が一緒でした。食後に3人で抱き合って泣いて、また会おうね。って約束しました。手紙も書いて送る約束もしたし、カーナさんのデジカメで写真を一杯撮りましたよー。

 護衛でお世話になったロックさんとマシロさんも一緒に写りました。カーナさんが王様とジャンヌ様の写真を撮って、その場でプリンターで印刷して、早速渡していました。

 デジカメで撮った物は、他の人にはデーターも写真も渡さないと約束しました。絵と違って、替え玉を整形で作られたら困るからです。データーを悪用されない様にと、お二人が私とカーナさん以外は見れない様に、封じの魔法をかけてくれました。私達3人で撮った写真をジャンヌ様にだけ渡したら、「写真立てに入れて飾るわ。」って、デレてくれましたよー。

 私とカーナさんは泣いた顔の化粧直しをしてから、5人で馬車に乗り込みました。王様とジャンヌ様、滞在させてくれたルー家の皆さん、護衛でお世話になった方々がルー家の玄関前に見送りに集まってくれて、その人達に見送られながら、馬車は出発しました。

 馬車の中は外から見たよりも、想像していたよりも、凄ーく広かったです。ブレスレットで使っている空間魔法の応用で、外見よりも中が広く使える様に出来ているそうです。魔法って凄い。

 馬車の中に乗って直ぐ応接間があるのにビックリして、あんぐり口を開けたままの私を見て、4人に笑われました。だって、小さい頃は乗っていたかもしれないけど、覚えてないし、こんな物理法則無視した物、日本には無かったもの!ううっ、みんなで2、3才の子供みたいで無邪気だね。って笑うなー!

 いじけた私のご機嫌をとるように、祥さんが馬車の中を案内してくれました。

 馬車の中は、簡易台所にトイレが4つ、シャワ-室4つ、仮眠室4部屋に、テーブルのある部屋、そして、今、座っているソファーのある応接室がありました。まるで一軒家の家の様でした。仮眠室やトイレが多くあるのは、護衛に人達も使うからだと説明がありました。何かあれば、救護室代わりにもなるので、多くしてあるんだと追加で言われましたけど。

 だから、馬車の中に5人居ても余裕なんだな。と納得しました。最後に祥さんから、「さっきは、ごめん。国であんなに無邪気に驚く子供を見ていないから、嬉しくなっちゃってさ、それに可愛かったから揶揄からかったんだ。ごめん!」「知らない!私はお茶を飲まないからね。」って、やり取りをしましたが。

 この世界の貴族では知っている常識を、知らないんだって揶揄からかわれたような気がして、悲しかったし、悔しかった。他の人はそう感じなかったかもしれないけれど。

 皆がお茶を飲みながらくつろいでいる間、私は一人離れて、テーブルのある部屋にいました。ドリルとノートへ単語の書き取りをして、飽きたら読書をして、文字に慣れる様にしています。読書をしたら、またドリルとノートへ単語の書き取りをすると言うのを繰り返していましたが、気が付くと、馬車の窓から見える外が暗くなってました。

 お腹も空いたし、さて、どうしようかと応接間を覗いたら、カーナさんしかいませんでした。カーナさんも本を読んでいますね。

「男共は、仕事でろくに寝てなかったからか、お茶を飲まずにすぐ仮眠室へ寝に行ったわ。ユーイはずっと勉強してたんでしょ。大分前に様子を見に行ったら勉強してたんで、邪魔をしない様に私も読書をしていたの。」

 とうとう私のお腹がクゥークゥー鳴りました。えへへ。

「お腹が空いたから、どうしようかなーって思って、カーナさんに相談に来たんですけど。」
「何か作る?それとも、ブレスレットの中から出す?」

 ブレスレットに入れた量で、大人12人は無理だな。そのうち、身体を動かす人の中に陽太郎さんも入れると、8人もの大食いしそうな人がいる状況じゃ、大量に作らなくちゃ足らないしなー。

「護衛5人と御者2人の分を入れて、12人分もないと思うし、体力仕事の護衛の人達が沢山食べそうじゃないですか。だから、野菜と肉を沢山入れたカレーライスでも作ったら間に合うかなって思っていたんですけど。」

「いいわね。カレーなら美味しそうだし、私、悪阻でも病院でカレーを平気で食べていたから大丈夫。それよりも、空腹時の悪阻の方がキツイわ。」
「じゃあ、先にご飯を大鍋に炊いておきますね。その間に、カーナさんは間食して休んでいて下さい。」
「助かるわ。ご飯は食べられるけど、炊ける時の匂いがダメなの。」

 ブレスレットから抹茶のパウンドケーキを何切れか出して、カーナさんに渡しました。

「ありがとう。ご飯が炊けたら、呼んでね。」
「はーい、そうします。」

 とは、言ったものの、カーナさんが悪阻でキツクて、今朝から顔色が良くなかったのを見ていたから、ご飯もカレーも同時進行で作ろうと決めた。簡易台所のコンロは5くちあった。コンロ2つをご飯を炊くのに使おう。もしご飯が足りなかったら、パンも塩握りもあるし。コンロ3つを使って、大鍋3つ分にカレーを作っていこう。カレーやご飯が余ったら、鍋ごとブレスレットに入れるつもり。

 エプロンをして手を洗う。米を研いでから、給水している間にただ只管ひたすら、野菜を切っていく。

 3つの大鍋にカレーを作るなら、鶏肉と根菜のカレー(中辛)と、牛肉ときのこのカレー(辛口)と、豚肉の普通のカレー(中辛)にしようと決めた。ご飯を炊き始めてから、肉を炒めて、野菜を炒めて大鍋にそれぞれ入れていく。水を入れて煮込んでいる間に、ご飯が炊けたので火を止めて、蒸らす。上下を返したら、状態維持魔法をかけて置いておく。

 牛肉ときのこのカレーの方に火が通ったから、辛口のカレーのルーを大鍋に入れていく。味見をして大丈夫だったから、状態維持魔法をかけた。

 魔法を使った調理が出来れば、時間短縮出来るんだけど、魔力が多いと聞いている私が魔力暴走を起こさないと言う保証もないので、カーナさんに教えてもらったもの以外は使っていない。

 じゃがいもと人参、根菜に火が通ったので、片方はカレーのルーを入れ、もう片方は香辛料と粉で作ってストックしてあった物を入れた。どっちも味見をしてから、状態維持魔法をかけた。

 カーナさんの顔色が少しでも良くなっていればいいなと様子を見に行ったら、居眠りをしていたけど、声をかけてみた。

「カーナさん、大丈夫ですか?食べれます?」

 カーナさんは、「ん、カレーの良い匂いがする。食べる。」と返事をしたので、
「牛肉キノコの辛口、鶏肉根菜の香辛料が効いた中辛、豚肉の普通の中辛の3つのどれにします?」と聞いたら、
はっ!として、「普通の!と、鶏肉の!」と答えてくれました。

「作った者特権で先に食べちゃいましょう。食い荒らされる前に。」と言うと、
「そうね、食い散らかされる前に食べましょう。ほんとはね、カレーは大好物なの!」と拳を握って返事をしてきました。カーナさん、年上なのに可愛いなぁ。
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