ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ナーオ・ロウ国編Ⅰ

馬車の中から、こんばんは

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 どうせ、仮眠している3人は、カレーの匂いで起きて来るだろうしと、カーナさんと先にカレーを食べました。馬車を止めるように言ったら、馬車が停車しました。

 御者の1人と騎士団の2人を先に呼んで、交代にカレーを食べる様に声をかけたら、とっても喜んでくれました。お腹が空いていたんだそうです。魔馬まば(馬みたいな生き物)には、今のうちに水と飼い葉を与えておくそうです。

 カレーの良い匂いに気付いたのか、仮眠室から祥さんと一郎さんの2人が出て来て、「「カレーを食べる。」」とハモって言ったので、3つのカレーのうち、どれを食べるか聞いたら、「「あいがけカレー!」」とまたハモって言うものだから、カーナさんと吹き出してしまいました。

 御者と騎士にはあいがけカレーで、カレーを2つ選んでもらい、唐揚げと煮物を付けたら、カレーもおかずもモリモリ食べています。おかずを付けないと、カレーもご飯も足りなくなりそうだからいいよね。祥さんと一郎さんがおかずを羨ましそうに見ています。

 一郎さんが早食いでおかわりをして2杯目を食べ終わってから、陽太郎さんを起こしに行ったようです。
「一兄に起こされたー。寝ていたかったのにー。」とぶつぶつ文句を言っていたのに、カレーを見た途端、
「一兄、すんません!カレーを逃さないで済みました!感謝!」と言っていました。現金だなぁ。

 御者と騎士の方もしっかりとカレーライスを3杯食べて、おかずも全部食べていきました。交代して入って来た騎士と御者の方にも3つのカレーのうち2つを選んでもらって、あいがけカレーにした上、おかずを添えました。こちらの騎士の方々もモリモリ食べ始めました。

「カレーが選べる。なんて幸せー!」陽太郎さんがガツガツと食べています。

「足りなかったら、他にも出しますので。」と言うと、近衛蒼騎士副団長と紹介されたブロイさんが聞いてきました。

「これ全部、王太子妃様がお作りになったんですか?」

「ええ。ユーイは料理を作るのが趣味なんです。悪阻のカーナ殿を気遣い、1人で全て作ったと聞いています。」祥さんがドヤ顔で私の代わりに答えていますけど。

「良いご趣味ですね。とても美味しいです。きのこのと、根菜ので、おかわりをお願い致します。」

 祥さんも「普通のと、きのこので、おかわりをお願いします。」と言ってきました。

 御者の方も騎士の方もおかわりをして、カレーもおかずも食べ終わってから、馬車の外へ戻っていきました。

「で、父上の意向は?」と、1人だけ残っていた近衛蒼騎士副団長のブロイさんに祥さんが聞くと、
「宰相殿や大臣方の意見も、のらりくらりと交わしておいでです。」ブロイさんが答えてました。
「一兄、動くぞ。」

「ああ、了解。」
 いつの間にか戸口に寄りかかって立っていた一郎さんがそう返事をしました。

「俺も了解した。」
 山盛りのカレーを食べる合間に陽太郎さんも答えました。

 私には何の事だか聞いても分からなかったので、開いた鍋をつけ置きしておいてから、使ったお皿やスプーンにフォークを洗っていきました。

 私の隣に来たカーナさんが、「洗い物を手伝うね。」と言ってくれたけど、一郎さんもカーナさんの顔色の悪い事にも、ちっとも気付いていなかった様だし、カーナさんの耳元で囁いてみた。

「一郎さんが気付いていなくても、同性だから気付きましたよ。一郎さんに気付かれない様、さり気なく移動して休んでいて下さいね。」

「ありがとう。ユーイの順番になったら、手伝うわ。」と、カーナさんが応接間へ移動して行った。

 洗い終わった物に魔法で温風をかけて乾かして、余ったカレーとご飯をどうしようかと、馬車の天井を何気なく見てみた。何か動いたような気がした。え?!私の苦手な黒い虫?!

「お話し中、えろぅすんません。ジャンヌ嬢ちゃんから、あんさんの専属護衛に就くように言われたロートちゅう者です。紹介状はクロード王とジャンヌの嬢ちゃんからです。これですわ。中を見てくれたら、わいの身元と護衛の履歴ちゅうんが書いてありましてん。それが保証になりますわ。」

 黒い虫じゃなくて良かったー!!人間で良かったよー。ちょっと涙目になっちゃったー!!(人間でなく、正しくは獣人です。ユーイは混乱しています。)

「ユーイお嬢はん、その余った分をわいが食べてもいいですか。旨そうな匂いで我慢出来なくぅてな、つい動いてしもうたわ、そんでお嬢はんに見つかったんやから。」

「構わないけど、これだけの量だけじゃ、肉体労働するんなら足りないでしょ。好き嫌いはある?」

「ありまへん。」

「じゃあ、残ったカレーを3種かけたカレーライスと、塩唐揚げと醤油味の唐揚げ、根菜が沢山の煮物風肉じゃがを出すから。足りなかったらまだ他にもあるから言って下さいね。」

「ユーイお嬢はん、おおきに。いただきます。」

 ロートと名乗った男性は、凄い勢いでカレーライスや、おかずを食べ始めた。それを見ながら、陽太郎が負けじと唐揚げを食べていく。ロートも陽太郎から唐揚げを奪い返しながら食べている。

「ジャンヌ嬢のお屋敷でずっと感じていた視線のぬしか。」
「ああ、あれか。こってこてだな。」
「腕は良さそうだぞ。ユーイさん、おかわりしたいけど、何かある?」

 陽太郎さんがもっと食べたいって言ってきた。

「えーとね、甘いのも肉も魚も野菜のもあるよ。」
「んじゃ、甘くないやつの肉と野菜の両方!」
「煮豚と煮卵とキュウリもどきを添えたやつと、ポテトサラダ。陽太郎さん、ロートさんの唐揚げを食べたんだから、ロートさんと分けてね。」
「はーい。」
「おおきに。でも、ユーイお嬢はん、お嬢はん専属やから「ロート」って呼び捨てにせにゃ、あきまへんで。」
「ロート、分かりました。呼び捨てにします。」

 私が呼び捨てに了承すると、ロートは頷いていた。陽太郎さんと仲良くおかずを分けて食べ始めましたよ。

「獅子国も父上も信用が出来ないから、あえて今、クロード王がユーイに専属護衛を付けてくれたんだろうな。」

「そうみるのが妥当だろう、祥、これからはどうなるか分からない。キツイぞ。クロード王は仕事が出来る年上だから、色々と考えてくれたんだろう。ジャンヌ嬢を悲しませない様に、な。」

「だろうな。この紹介状も正式な物だし。」

 大鍋を洗っていた私には水音で聞こえていなかった。祥さんがこれから国の中での掃除を始めるので大変な事を。これから、忙しくなる事を。

 私の頭の中では、ブレスレットの中に残った料理を思い浮かべていた。

 焼き鳥(ネギま)。煮豚に煮卵とキュウリもどきを添えた物。根菜が沢山の煮物風肉じゃが。唐揚げに千切りキャベツを添えた物。大根もどきに長ネギもどきの味噌汁。

 塩唐揚げに醤油味の唐揚げ。肉と野菜の串焼き。焼きお握り2種。ポテトサラダ。根菜をたっぷり使った肉じゃが風煮物。ぶり大根。角煮。

 栗の甘露煮を真ん中に入れた栗バターまんじゅう。苺大福。ミカン大福。栗の甘露煮を入れた羊羹。フルーツ寒天。ミルク寒天。

 抹茶白餡栗刻みのパウンドケーキ、抹茶チョコチップパウンドケーキのパウンドケーキが4本のうち、1本消費したから、あと3本分。

 お祝いの会で作った物の余りの材料。自分で買った日本の食材や調味料他。

 これだけかー。あとはワーオランドーラで見付けて買った材料や調味料だしなー。と。
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