71 / 207
ナーオ・ロウ国編Ⅰ
囚われの皇妃
しおりを挟む
貴族牢に入れられている赤雪皇妃は、「白様!お許しを!」と何度か同じ言葉を叫んで飛び起きてから、憂鬱な気持ちに囚われて、周りを気にする余裕がなくなっていた。
茶会のあの時、私に切り付けてきた刺客は獅子国にいた筈の私の愛人だった。あの愛人は、私の一番贔屓にしていた男で、私に一番懐いていた#男__こ__だったのに、#その男が切り付けてきた事に驚いて、思わず、興奮してしまったから、鎮静剤の注射を打たれたんだろう。
大国の皇妃なんぞしている時点で、毒や薬に対する耐性なんぞあって当たり前。鎮静剤からも早々に覚めたわ。
赤雪は茶会で愛人に切り付けられた事を考え始めた。
誰にも言わず、勝手に数人の護衛とメイドと共に、お忍びで国外へ出たのだから。その私に、白様が白炎様に指示して私を狙うように仕向けたのだろうと。私の命を狙わずに、傷をつける事が目的だったのだろう。
それが私に対する仕置きなのだろうと考えていたから、その後に眠ってしまって見た夢の中でも魘された気がしたし、「白様!お許しを!」と何度も叫んだのであろうな。
だから、今まで獅子国の奥宮の更に奥にいらっしゃる白獅子様を隠し通せてきたと言うのに、私が叫んだ内容で、ナーオ・ロウ国に白獅子様の存在が知られてしまった。今までは、ただの噂話で済んでいたのに、なんという事をしてしまったのだ、私は!憂鬱だ、今度はどんな仕置きをされるか分からない、憂鬱だ。
白様が何もしなくても、白炎様が、勝手に飛び出て余計な事をして、使い道のなくなった私を殺そうとするだろうな。
まぁ、この貴族牢にいる限りはナーオ・ロウ国の立場や威信もあるのだろうし、他国の妃に死なれない様にするだろうから、私は生きていられるだろうな。この牢から出されて馬車に乗せられた瞬間から、私は命を狙われる。それもまた私の生きざまだろうし、ここまで来たんだもの、この流れに自分を任せてみるのも一興でしょう。
そうだ、獅子国から連れて来た者はどうなっただろうか。私は自分が死ぬのを自分で決められるが、付いて来た者達は自分がどうなるか不安であろうな。今回は王宮へ来て日の浅い者達を選んで、情報が漏れないようにしたからな。私にしては珍しいが、たまには慈悲深い皇妃だと演出するのも楽しそうだし、あの者達の命乞いをしておいてやろう。
牢番が何人もいるな。様子見をしておるのだろうな。さて、慈悲深い皇妃を演じるか。
「あの、もし…。」
牢の見張りをしている者が近付いて来た時を狙って、弱々しく呼び止めた。
「いかが致しましたでしょう?」
少し躊躇ってから、上目遣いで身体全体は弱々しく、でも、これだけは聞きたいの!って目に力を込めて聞いた。
「私に付いて来ていた者達はどうしているでしょうか。
あの者達は私のワガママで無理矢理付いて来させられた者達でございますの。心配なので、つい、お呼びだてしてしまったのですわ。」
言い切った後は、シュンとした姿で、どうしましょうと、迷っている振りを見せた。
「確認をしてきますので、しばらくの間、お待ち下さい。」
「お願い致します…。」
弱々しく返事をしておいた。これで、あの牢番は私に少しは良い印象を持っただろうな。上司の指示を受けに行っただろうから、時間が掛かるだろう。
「赤雪皇妃様。お気付きになられたのですか。遅くなりましたが、朝食はいかが致しましょうか?」
次の牢番が来たか。日の当たり方で言えば、もうすぐ昼だろうな。朝食とはいえ、皇妃である私の為に、それなりの物が用意されているのだろう。ふむ、流れに任せるか。私には多少の毒でも平気だからな。
「そうですね。用意されているのでしたら、捨てるのは忍びないので、いただけますか?」
「すぐにご用意致します。」
「お願いしますわ。(ニッコリ)お気遣いありがとうございます。」と、嬉しそうに微笑んでおいた。
「!」小走りで、私がいる牢から離れていった。
今度の牢番は、女慣れをしていない様子。上手く手懐けられるだろうか。
「何かご要望はございますか?」
3人目か。朝食後に今の状況把握をしておこうか。
「私の朝食後に、今の私の状況を説明して下さる方をお願い致しますわ。でも、そんな事が出来るの?大丈夫かしら?」
不安そうに見える様に、語尾を小さくして尋ねてみた。
「分かりました。上にはそう伝えておきます。」
こいつは、私に引き摺られないタイプか。仕方ない。今の状況を知りたいのは本当の事だからな。
私に話しかけてきた牢番は、もう一人いた(4人目の男の)牢番と何かを話した後、私の見張りが出来る様にと、所定の位置へ戻っていった。
*****(3人目の牢番)*****
あれが毒婦って言うんだな。1人目と2人目は誑し込まれる可能性が高い。今さっきのだけで、皇妃に好意を持っただろう。4人目は直感タイプだから、皇妃の側に近付くのも寄るのも嫌がったしな。
申し送りの時に不用意に牢へ近づかない様にと、皆に釘を刺しておかなければ。
デッドリー殿とバルバドス殿は、この様子を遠くから見ていて、ほくそ笑んでいるだろうな。1人目と2人目は皇妃の正体を暴く為の仕込み人員だって、本人達にも知らされていないのだから。
牢に近付けさせるのは、最初から、あの2人だけの予定なのだから。
2人目が戻ってから、報告へ行くか。俺が報告に行かなくても、上司達は何が起こっているか知っているだろうに。この変装も、部下が俺だって分からない様にしたからいいが、バレたら大変なんだからな!
「ヨタロー、済まないなー。俺っちの代わりに聞きに行ってもらってさ、あの女性なんだか苦手だし、怖いんだよぉ。」
「仕方ねえよ。どっかの国の妃だって聞いたぜ。俺も怖えよ。」
あー、これを見て、一兄(イッチェン)と祥(ショウ)が笑い転げるんだろうなぁ。愚痴は総騎士団長へ言うか。
茶会のあの時、私に切り付けてきた刺客は獅子国にいた筈の私の愛人だった。あの愛人は、私の一番贔屓にしていた男で、私に一番懐いていた#男__こ__だったのに、#その男が切り付けてきた事に驚いて、思わず、興奮してしまったから、鎮静剤の注射を打たれたんだろう。
大国の皇妃なんぞしている時点で、毒や薬に対する耐性なんぞあって当たり前。鎮静剤からも早々に覚めたわ。
赤雪は茶会で愛人に切り付けられた事を考え始めた。
誰にも言わず、勝手に数人の護衛とメイドと共に、お忍びで国外へ出たのだから。その私に、白様が白炎様に指示して私を狙うように仕向けたのだろうと。私の命を狙わずに、傷をつける事が目的だったのだろう。
それが私に対する仕置きなのだろうと考えていたから、その後に眠ってしまって見た夢の中でも魘された気がしたし、「白様!お許しを!」と何度も叫んだのであろうな。
だから、今まで獅子国の奥宮の更に奥にいらっしゃる白獅子様を隠し通せてきたと言うのに、私が叫んだ内容で、ナーオ・ロウ国に白獅子様の存在が知られてしまった。今までは、ただの噂話で済んでいたのに、なんという事をしてしまったのだ、私は!憂鬱だ、今度はどんな仕置きをされるか分からない、憂鬱だ。
白様が何もしなくても、白炎様が、勝手に飛び出て余計な事をして、使い道のなくなった私を殺そうとするだろうな。
まぁ、この貴族牢にいる限りはナーオ・ロウ国の立場や威信もあるのだろうし、他国の妃に死なれない様にするだろうから、私は生きていられるだろうな。この牢から出されて馬車に乗せられた瞬間から、私は命を狙われる。それもまた私の生きざまだろうし、ここまで来たんだもの、この流れに自分を任せてみるのも一興でしょう。
そうだ、獅子国から連れて来た者はどうなっただろうか。私は自分が死ぬのを自分で決められるが、付いて来た者達は自分がどうなるか不安であろうな。今回は王宮へ来て日の浅い者達を選んで、情報が漏れないようにしたからな。私にしては珍しいが、たまには慈悲深い皇妃だと演出するのも楽しそうだし、あの者達の命乞いをしておいてやろう。
牢番が何人もいるな。様子見をしておるのだろうな。さて、慈悲深い皇妃を演じるか。
「あの、もし…。」
牢の見張りをしている者が近付いて来た時を狙って、弱々しく呼び止めた。
「いかが致しましたでしょう?」
少し躊躇ってから、上目遣いで身体全体は弱々しく、でも、これだけは聞きたいの!って目に力を込めて聞いた。
「私に付いて来ていた者達はどうしているでしょうか。
あの者達は私のワガママで無理矢理付いて来させられた者達でございますの。心配なので、つい、お呼びだてしてしまったのですわ。」
言い切った後は、シュンとした姿で、どうしましょうと、迷っている振りを見せた。
「確認をしてきますので、しばらくの間、お待ち下さい。」
「お願い致します…。」
弱々しく返事をしておいた。これで、あの牢番は私に少しは良い印象を持っただろうな。上司の指示を受けに行っただろうから、時間が掛かるだろう。
「赤雪皇妃様。お気付きになられたのですか。遅くなりましたが、朝食はいかが致しましょうか?」
次の牢番が来たか。日の当たり方で言えば、もうすぐ昼だろうな。朝食とはいえ、皇妃である私の為に、それなりの物が用意されているのだろう。ふむ、流れに任せるか。私には多少の毒でも平気だからな。
「そうですね。用意されているのでしたら、捨てるのは忍びないので、いただけますか?」
「すぐにご用意致します。」
「お願いしますわ。(ニッコリ)お気遣いありがとうございます。」と、嬉しそうに微笑んでおいた。
「!」小走りで、私がいる牢から離れていった。
今度の牢番は、女慣れをしていない様子。上手く手懐けられるだろうか。
「何かご要望はございますか?」
3人目か。朝食後に今の状況把握をしておこうか。
「私の朝食後に、今の私の状況を説明して下さる方をお願い致しますわ。でも、そんな事が出来るの?大丈夫かしら?」
不安そうに見える様に、語尾を小さくして尋ねてみた。
「分かりました。上にはそう伝えておきます。」
こいつは、私に引き摺られないタイプか。仕方ない。今の状況を知りたいのは本当の事だからな。
私に話しかけてきた牢番は、もう一人いた(4人目の男の)牢番と何かを話した後、私の見張りが出来る様にと、所定の位置へ戻っていった。
*****(3人目の牢番)*****
あれが毒婦って言うんだな。1人目と2人目は誑し込まれる可能性が高い。今さっきのだけで、皇妃に好意を持っただろう。4人目は直感タイプだから、皇妃の側に近付くのも寄るのも嫌がったしな。
申し送りの時に不用意に牢へ近づかない様にと、皆に釘を刺しておかなければ。
デッドリー殿とバルバドス殿は、この様子を遠くから見ていて、ほくそ笑んでいるだろうな。1人目と2人目は皇妃の正体を暴く為の仕込み人員だって、本人達にも知らされていないのだから。
牢に近付けさせるのは、最初から、あの2人だけの予定なのだから。
2人目が戻ってから、報告へ行くか。俺が報告に行かなくても、上司達は何が起こっているか知っているだろうに。この変装も、部下が俺だって分からない様にしたからいいが、バレたら大変なんだからな!
「ヨタロー、済まないなー。俺っちの代わりに聞きに行ってもらってさ、あの女性なんだか苦手だし、怖いんだよぉ。」
「仕方ねえよ。どっかの国の妃だって聞いたぜ。俺も怖えよ。」
あー、これを見て、一兄(イッチェン)と祥(ショウ)が笑い転げるんだろうなぁ。愚痴は総騎士団長へ言うか。
0
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる