ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ラーン・ビット国編

今代の白銀大兎の事情

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 獅子の小僧、先代の白獅子であった白輝の残した嫌な置き土産の痕跡を女神さまが浄化して下さった。

 ラーン・ビット国内で壊された物は、聖獣であるわらわと次代の神力と魔力で直しておいたわ。避難させていた人や動物など、あらゆる物を元に戻したので、後始末で疲れたのは、わらわと女神さまとわらわの次代と、その弟子だけであった。

 獅子国の次代であった者も、その弟子も被害者なのだから、その者達もまた国内を平定するのにも時間が、いや、落ち着くまでは長い年月がかかるであろうなぁ。獅子の小僧の後始末で新しくその地位に就いた今代も次代も、その弟子も疲れるであろうな。

 女神さまも白輝を抑え込んだ直後に浄化をされていた時は、お疲れの様であったが、ご夫君である地球の神にお会いになられたので、今はもう元気に過ごされているだろう。

「母上~!」

「何じゃ、娘。いや、次代の弟子よ。わらわに何用かの?」

「も、申し訳ありません。今代様。次代様からの伝言です。ラーン・ビット国王が今代様を呼んでいるとの事です。」

「気を付けよ。わらわが聖獣でいる時は今代様と呼ぶのじゃ。王城で総侍女長の時は、母と呼んでも構わぬが、兄上達の仕事の邪魔をせずに、王女として、また、この世界の事を学ぶためにも、勉学に励むのじゃぞ。」

「はい、今代様。次からは気を付けます。それと、王城では人として名付けられた名を呼んで頂きとうございます。」

「あい、分かった。王城で会おうぞ。」

 今代の白銀大兎は、大きな兎の姿から、人の姿へ変化へんげすると、妙齢の綺麗な美女になった。

 そして、自身が人の姿に変化へんげしている間の役職に合わせて与えられた部屋へ転移し、総侍女長の制服を着こんでから、ラーン・ビット国王の私室へと訪れた。

 扉をノックして、王の私室へ入ってから、声を出す。

「次代様から、私をお召しと聞きました。如何いかようなご用事がおありでございましょうか?」

 今代がそう声をかけるのを待っていた様な顔で、ラーン・ビットの王であるアマウデス王が手をひらひらさせて、今代を近くへ呼んだ。

「一人寝が寂しくてな、今宵の夜伽に一人しかいない妻を呼んだのだ。今夜は私の添い寝をしてくれぬか?」と、のたまった。

「それでは、私を呼んだのは公務でないという事ですね。私のプライベートの方でのご用事でしたか。今夜は何時頃までに、アマデウス王の所へうかがえば宜しいでしょうか?」

「いつも通りでよい。ファネスの都合の良い時間で。
 それとな、今度の休みに、王子達との茶会をしてくれ。息子達が寂しがっていた。いつも教育係で母上と一緒に居られる妹のシルビアが羨ましいなどと、ヤキモチを妬いていたわ。あはははは!いい年になった息子共がな!」

「承りました。母として、王子達に返答しておきます。それでは、夜の10時過ぎに王の寝室へ、おうかがい致します。」

 お辞儀をしてから、王の私室から退出した。

 今代の白銀大兎は、ラーン・ビット国の今の王の番として存在している。今代自身も女神さまに指摘されるまで、自身が人の番だとは気付いていなかったのだ。

 今代が聖獣の地位に就いてから、周りの国々では聖獣の代替わりを何代もしているが、このラーン・ビット国ではその世代交代をするなと、女神さまから言われていたので、その言い付けを守っている。

 今代の聖獣という役目と、ラーン・ビット国の王の番で、妻なんぞをしているのだ。アマデウス王を愛しているからこそ、3人の王子と1人の姫を産んだのだし。

 長い今代の聖獣の地位に飽きて始めた、王城での侍女と言う仕事も、次代に仕事を8割ほど委譲しているから出来るのだが。いつの間にか、侍女長から、総侍女長にまで上り詰めた私が見つけた恋。

 聖獣から引退後は、女神さまと約束した通り、願いはアマデウス王の妃、唯一の正妃になると決まっている。そして、アマデウス王と同時に亡くなるようにとの願いもしている位、アマデウスをただの男として愛している。

 ただし、娘は、成人後に次代の弟子として正式に、聖獣の地位に就く事になっているので、今は見習いで、次代の元で修行を積んでいるのだ。

 息子達が引き継ぐ筈だった神力を娘であるシルビアが産まれた直後に一手に引き受けてしまったからだ。あの子が今代として聖獣の地位に着く頃には、私達の子孫であるだろう事を母として祈っている。

 そうすれば、娘のシルビアが、ラーン・ビット王家を自分の兄弟の子孫だと大事にしてくれる筈だ。

 私は、自身の神力を引退する時に娘へ譲ればいいが、何処かの国の王太后は、人として生まれ変わると決めた後、自身の身の内に溢れていた神力をどうしたのだろうか。

 女神さまにその辺りを聞いたのだが、黒大猫との約束で誰にも話せないのと言われ、内緒にされてしまったままだった。

 頭の中では違う事を考えながら、手元では、息子達だけを招く内輪での茶会の招待状を書いていた。明日の朝に渡せる様にと。

 シルビアは、王女としての勉強もあるし、次代とその弟子として、3人だけで茶会をするつもりだと、頭の隅へ追いやった。

 総侍女長の自室へ、神力で作られた自身の分身が王城での仕事を終えて戻ってきた。分身から情報を受け取り、湯浴みをして、王の寝室へ行く時間まで居眠りをして、体力の温存に努めた。何せ、夜は長いのだ。抱き潰されない様にする為にも、体力は必要だから。

 分身には、「9時半には起こしてちょうだい。」と頼んで。

 その夜、抱き潰された。いい年でしょうに!アマデウスったら!加減をしないんだから!もう!
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