ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ナーオ・ロウ国編Ⅱ

白花のお見合い1 男共の話し合い

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 ナーオ・ロウの王弟は、自身がナーオ・ロウ国の王になれる筈だと、有りもしない甘言に乗って、リンクス王になり替わろうとして失敗。

 その王弟は、貴族牢から、罪を犯した王族が入る事になっている王城敷地内の王族幽閉専用の塔へ入れられ、生涯幽閉になったのであった。

 だが、幼少時から、獅子国の白星皇太子の婚約者として獅子国に滞在していた王弟の娘の白花であったが、ユーイの説得により?!改心した白星皇太子が白花を人質から解放したので、極秘にナーオ・ロウへ帰国の準備をしていたのである。

 犯罪を犯した王弟は、大公としての地位を国によって強制的に返上させられたが、王弟の犯罪に関与出来ぬ立場であった白花は、獅子国へ人質として向かう前に、リンクス王の養子となっていたし、何も処罰を受けずに済んだのであった。

 リンクス王も大臣達も、元王弟の娘と言う立場だけで、まだ成人前の白花を王弟と連座でその罪の責任をとらせるのは、酷だと思っていたのだ。他国にいたのだから無関係なのも分かっていたし、王家の影の報告からも、王弟とは連絡も取っていなかったという、その裏も取れていた。

 その上、長年の人質生活を送った事で国に貢献したし、貴族令嬢である白花が市井で生活出来ぬのも明らかであり、王族の血を市井に放つ事も簡単に出来ぬと結論付けされたのであり、リンクス王の義娘なのだ。

 これらの事を加味して、白花には、何らかの理由で絶えた貴族位の中から伯爵ぐらいでの貴族の地位を与え、婿を取らせて、その生活を保障するつもりである。

 ただし、王位簒奪がこの先に起きないように、白花の子は、女児しか産まれない事に事実上、扱われる予定なのだが。

 要するに、男児が産まれたら死産扱いで内々で処理をして、白花やその結婚相手には死産とし、真実を知らせない事になっているし、その白花が産む女児も、結婚相手は国外の相手を探し出して結婚させ、国内での新たな簒奪の火種にならないようにする所まで決定していたのであった。

 そこまで王家の血が薄まれば、他の貴族の家と変わらないでしょう、そういう扱いにする事になった。

 勿論これらの事は、聖獣である黒大猫のクーちゃんに、王太子であるショウと王太子妃になるユーイとの間に王位を継げる子供が出来るのか否かをリンクス王が内々にお伺いをたてて、「できる」という返事を受けてから決まった事であったのだが、そのお伺いは、リンクス王と宰相であるカッツェ・ビューンだけが知る秘密とされたのだ。

 大臣達には、「黒大猫様からは、白花が女児しか産まなくても問題ないと言う返答をもらっている」と真実をボカして伝え、王と宰相で王太子夫妻に王子が生まれるかの伺いをたて、肯定の返事を頂けたので、と話した上で、白花のこれからを内密に決めたのだ。

 王太子であるショウ、宰相補佐であるイッチェン、近衛騎士団長のリヨウの3人には、大臣達に伝えられた話と、決定した話を後から聞かされたのだった。

 その3人と、ユーイの専属護衛のロートの4人が王太子と宰相補佐の仕事をしている、王太子の執務室に集まって話していたのだ。

 王や大臣達に、年若い者達への配慮と言う名の言い訳をされ、加えてもらえなかった話し合いから、3人は排除されていたのであったが、その場に居ても、同じ様な結論を出すであろうと3人は思った。

「相変わらず、俺達を子供扱いするから、仕方ないか。」と、不貞腐れるように言葉を吐き出すリヨウ。

「ウチの父は、もうすぐ孫が産まれるから、私をそんな話し合いには参加させたくなかったんだろう。」と、苦笑しながら話すイッチェン。

「あー、陛下ちちは私達の結婚を王命で延期しているから、結婚絡みの話を私にして、揉めたくなかったのだろうな。ま、私とユーイの間に王子が生まれるという話が肯定されたので安心だ。」と、ショウ王太子が言った。

「で、3人で私に話しとは何でしょうか?」

「さっき説明した通り、明日、白花の見合いが王城の一室で行われるんだが、そこにユーイを近付けたくないんだ。」

 溜め息をつきながら、ショウ王太子がロートへどうして欲しいのかを伝えたのだった。

「では、私は護衛任務をしながら、ユーイ様をその場所へ近付けない事になりますか。」

「ロート、いつもの様に話してもいいぜ。俺もショウもイッチェンも気にしないからさ。お前が丁寧な話し方をすると、慣れなくてさ、何か鳥肌がたつんだよ。」

 鳥肌の出た腕をさすりながら、リヨウが言った。

「そりゃないわ。リヨウはん、ヒドい言い方やな。わいは、こう見えて繊細なんやで、心が傷付いてしもうたわ。」

「リヨウ、話をらす様な事を言うな。まだ、肝心な理由をショウ王太子が話していないだろうに。」

「はい、はい。」

「王太子様、その理由とは?」

「えーと、国の中で、適齢期なのに婚約者がいない者と言えば、ロートならどういう想像をする?」

「そうでんな、番が未だ見つかっていない者。まだ婚約者を決められる年齢でない者。婚約破棄をされた者。もしくは、婚約出来ない程か、婚約破棄される程の問題がある、素行や態度が良くない人物。って所でしょうか?」

「その最後に挙げたような良くない人物で、王城に勤めていて、王太子妃が内定しているユーイに、隙あらば言い寄って口説こうとしている者が2人程いて、な。そのせいで、ショウがカリカリしているんだよ。」

「そ!イッチェン兄が言ったけど、仕事をきっちりしているから、女遊びが激しくても、出入り禁止には出来ないから、さ。

 一人は、女なら自分になびくと豪語するほど女遊びが激しい奴で、さ。もう一人は、ユーイ様に一目惚れして、ある種のストーカーになっているんだよ。」

「…もしかして、いつも視線をユーイ様に向けて来る人物になら、わいにも心当たりがありますわ。」

「どさくさまぎれで、ユーイに何かあっても困るんだよ、頼む!ユーイが信用しているロートなら、任せられると思って、この話をしたんだ。」

「ショウ王太子はん、そないにしおれんでもええですわ。

 ユーイお嬢はんの警護はわいの仕事やし、情報共用出来るんは助かりますわ。

 その二人の絵姿はありまへんか。わいも万全を期しておきたいんで。」

「あー、これだ。」

 ショウの手元には問題のある二人の絵姿が握られていた。それをロートがショウから受け取ると、その絵姿をまじまじと見るのであった。

「こっちの方は、ねちっこい視線の奴や。んで、こっちが、メイド達が話していた一夜の相手をするのに丁度良い相手だと噂になっていた奴ですわ。」

「女なら、誰でも口説く節操なしだって話だ。この間は、城下で熟女を口説いて夜の闇の中へ消えていったって、騎士団で見回りをしていた者から話が回ってきたよ。

 俺は、婚約者だけでいいんだけどさ。

 もし間違って、俺の婚約者に手を出したら、男性器をちょん切ってやるが、な。」

「ふふふ、カーナは力技でそいつを二度と近寄らせないように、排除したそうだから、近寄って来なくなったと聞いているんで、大丈夫。」

「王太子はん、ストーカーの方はどうするつもりでいるんですか?」

「明日を乗り切れば、遠い地へ飛ばす準備を内々で進めているから、心配ないのさ。ふ、ふ、ふ、ふ、ふっ。」

「うわ!ショウ!あくどい顔してるぞ!こえー!」

「リヨウはん、それは違いますって。ユーイお嬢はんの危険が減るんやから良い事じゃないですか。ふふふっ。」

「…ロート、お前も充分こえーわ!」

「イヤやわ、近衛騎士団長のリヨウはんがそないな事を言うなんてー。

 王太子はんは王太子妃はんの危険を減らすだけやのに。」

「そうそう、スト-カー気質なら、うちのカーナもリヨウの婚約者にもストーカーする可能性、いや、危険性がこの先にあるんだぞ。そこの所をよーく考えてみろ。

 赴任先の遠い地で、さっさと結婚してくれた方が面倒も手間も、私達にはかからないだろう?」

「…そうだな。そうか。その可能性に至っていなかったよ。さすが!

 イッチェン兄は、宰相補佐だけはあるな。」

「赴任先に慣れた頃に、な相手を送り込む予定も、ショウ王太子様と話し合いが既についているから。」

 ニタリと微笑んで、「これで解散だな。」と話を終わらせて、仕事に戻ったイッチェンとショウ王太子だった。
リヨウは王太子の警護でその場で部屋の隅に移動して、気配を薄くして、警護に戻ったので、ロートも挨拶をして、執務室を出たのであった。

 わいも明日はいつもよりも気を付けなくちゃならんな!と、気合を入れたロートだった。
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