ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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獅子国編

白輝と女神さまと…

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 白輝をあおったおかげで、白輝の力を少しでも早く使い終わらせるように出来そうだと女神がほくそ笑んでいる中、送られてくる映像に、聖獣の村に住んでいる聖獣達、白銀大兎やその次代、白光やその弟子の白洸は、息を呑んでいた。

 白輝が練り上げる神力が禍々しいほど練り上げている、その白輝の姿に、自分だったらどうするのかと問うていた。

 女神としては我が子の様な聖獣を消滅させる事に悲しみやつらさはあった。

 だが、実際は面倒だし、白輝のやった事が酷過ぎて(先代聖獣を殺し、その時の皇帝をも守らずに殺した上、歴代の皇帝を脅していた、聖獣としての仕事も弟子にさせていて、職務放棄であった事などなど)、白輝の消滅を決めたのだ。が、我が子と同じ聖獣を消滅する事のは、どうしても気が重かったのだった。

 だからこそ、嫌な事に早々に決着をつけるべく、白輝の力を最初の方で出し切らせるつもりでいた。

 白輝がえて、女神に向かって、神力を高密度に練った特大の塊を投げつけて来た。

 女神はその塊を片手で受け止め、浄化しながらおのが身に吸い込んでいった。

 地面を殴りながら、白輝が大きな神力の塊を幾つも同時に女神へ投げつけて来るのだが、片手で浄化しながら吸い込むだけであった。

『白輝よ。そなたの力の元になった神力は、元々誰のモノであったのだ?それを考えるならば、答えはすぐにでも出るであろう。』

「うるさい!!くそっ!くたばれっ!!」

 白輝が言葉のまま、八つ当たりで軌道も考えずに放った神力の塊が、四方八方へ飛んでいった。

 私に当たらないで軌道をれた塊が、あちこちをえぐって、建物や家、店などを破壊していく。地面もボコボコになってきている。

 神力では女神である私に対抗出来ないと、白輝が魔力を放ってきたのだが、神力の簡易版としてこの世界の人々に女神の私が与えた魔力である。その力では、私に対抗など出来ぬわ!と、白輝の中に残っている魔力をも浄化して女神である私の身の中へ吸い込んでいく。

 ガンガンと力を吸い込まれた白輝が膝を地について、座り込んだが、『もう終わりか?』『弱いのう。』と、私が口であおっていくと、ムキになって、魔力を放る。白輝のなけなしの魔力を燃料切れになるように使わせたのだ。

 その結果、白輝は地面の上に横たわり、もう起き上がるまでの力もないようで、荒い息をしていた。

 その呼吸の合間に、途切れ途切れで、女神である私に問いかけて来たのだ。

「…猫は、私の事を…何と…言っ…ていた…の、か。」

『生まれかわる前の両親や兄弟を殺した白輝の前々世を知っているから、そなたに好意を持つ事は絶対ないと言っていたな。

 だから、未来永劫、そなたに会うつもりはないと。もし万が一、白輝に出会ったら、殺すつもりでいると言っていた。

 それまでは、今まで味わえなかった、平凡で幸せに暮らして生きて人生をまっとうさせたいと言っていた。』

「…そ、うか…。…私、…いや、俺はど、うな、るの、だ。」

『先代白獅子や皇帝を殺したし、守るべき王の血筋を脅していた。聖獣としての仕事もしないで、先代や弟子にさせていた。自分は暇つぶしにと、人を動かして憂さ晴らしをしていた。

 黒大猫が避けているにもかかわらず、長年、追い掛け回すわ、聖獣達の忠告には耳も貸さない。しまいには、女神に神になると宣言。

 一体、どこにそなたへの救いがあるのだ?』

「は、はっ、…ない、な…。」

 白輝の目から涙が一粒、零れた。目にもさっきまでの怒りも見えない。諦めたような、どこか遠くを見る様な感じであった。

『それに、白輝がけがれたのでな、長期間どこかで浄化をしなければ、転生も消滅も出来ぬ事がさっき、そなたの放った神力から判明したのだ。

 そなたは、ひっそりとドコかで長期間、浄化しなければならない。

 魔力のない国で。

 神力が少しはある所でないと、そなたを浄化出来ぬからなぁ。どこにしようか。』

 私が困っていると、白銀大兎が目の前に現れたのだ。

『女神さま、八百万やおよろずの神がいる国ではどうでしょうか。』

 ああ、あそこか。

『白銀大兎か。それは良いかもしれん。監視の目が多ければ多いほど良いのだ。

 …久方ぶりに、あいつへ頼むか。白輝は私が確保したので、次代と共に、この場の片付けを頼むぞ。』

『『はい。』』

『白獅子は今をもって、白光を今代、白洸を次代とする事を宣言する。白獅子の弟子は今はまだ選考中でな。しばし待って欲しい。』

『『承りました。』』

『して、各国の王には今日起こった事を正確に伝えよ。今回の事で、獅子国が不利になるようでは困るのでな。事実は正確に頼むぞ。』

『白銀大兎として、各国の聖獣へ次代と共に伝えます。』『はい。今代様と一緒に正確な事実を伝えます。』

『では、私はこの者を浄化する準備をしなくてはならない。頼むぞ。』

『『『『はっ!』』』』

 浄化が少しは出来る神力で出来た檻の中に、これまた、神力で出来た浄化作用のある金属の鎖で白輝を縛っている。その檻ごと、女神である私の神域へ転移した。

 私の神域の中で、菓子を食べながら、優雅に茶を飲んでいる男性神がいた。私が頼むつもりでいた「あいつ」こと、地球の神だった。

おれを呼んだだろ?」

「地球の神の仕事も忙しいのだろう?」

「うーん。聖獣でなく、自身の分身たる者がどの国にでもいるから、長期間でなければ、君よりは、融通は利くかな?」

「羨ましいわ。私は聖獣だから、私が面倒をみないとね。」

「女性神と男性神の好む、世界の支配の仕方の違いだから、仕方がないとしか言えないがね。」

おれが引き取るのは、その坊主か。…なるほど。厄介なモンが、まとわりいているな。」

「そうだ。どっちにしろ、長期間の浄化が必要なんだ。」

「坊主は前々世も、厄介な事になっていたか。…前世が良かった分、反動が出たのか。

 しばらく、おれがメインで視ていよう。」

「とり返されない様に頼む。」

「久々に、神らしい仕事だ。任された。

 何かあれば、すぐに連絡する。

 マイハニー、無理すんなよ。」

「アナタこそ、離れているからって、浮気しないでよ。

 そうそう、白輝は眠っているだけだから、このまま連れ帰っても大丈夫。」

「眠っている方が、世界を越えていく時には坊主も楽だろうしな。

 後でまた、この件の話し合いを他の神を招いて、細かい話をしよう。会合の用意は任せてくれ。」

「分かった。」

 地球の男性神が白輝を連れて私の神域から消えた後、私は子を手元から離したのが悲しくて、泣き崩れたのだった。
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