ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ラーン・ビット国編

第1王子アルと第2王子ライの番について

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ラーン・ビット国第1王子で王太子であるアインハルト・A・ランビットと、第1王子と双子である為、同じく王太子である第2王子のラインハルト・A・ランビットは、番候補であり、有力な候補が見付かったのだとの報告を執務室で双子2人の部下の1人から受けていた。

 今、話題のナーオ・ロウ国の王太子妃の兄嫁が産んだまだ幼い3兄妹の内の2人の娘なのだとの事を。

 そして、この世界の常識では、王家の王太子の番が出た国には、その王太子の兄弟の番はいない。その国の王太子の兄弟とは違う国の番の女性になるようにと、この世界が出来た時から女神さまに決められている。

 国々のパワーバランスを均等にしつつ、何処かの国で他国へ嫁ぐその血や血統での差が出ないようにするのと、その国への不満が出ない様にと調整する為に決められているある種のおきてなのであった。

「ライ、私達の番がナーオ・ロウ国ならば、ベルの番がナーオ・ロウにはいないって事だよ、な…。」

「アル、私達兄弟の番が出た国とは違う国でベルの番が存在している事は常識だろう?仕方ない。
 ベルには他国で番を探してもらうだけさ。気に病むな。」

「この絵姿と魔力の波長だけで、顔が緩むとは…。番とは強力な繋がりなのだな。キツイよ。成人までお預けか。」

「2人して耐えよう。だが、自分好みで番を染められると考えたらどうだろうか?アルも私もそこが良い所だろうね。」

「…自分好みに成長する番…ライ、イイかもしれない。堪らないよ。」

「私だって、絵姿と魔力の波長で興奮してしまった。今まで出会った女性が霞んでしまったね。凄いや…。アル。」

「2人一緒に写っている絵姿だから、どっちが私で、どっちがライの番か分からないのがもどかしいよ。」

「…あの、報告が終わったので、きゅ、休暇をお願いしますっ!!番休暇ですっ!!」

「そうだったね。君は結婚を控えていたんだっけ。王家からも祝いの言葉と贈り物を送ろう。」
「ああ。今回の功績をたたえて。私達の番を見つけて来たんだから。助かったよ。」

「ナーオ・ロウ国のリンクス王からも、公式で王太子の番だと聖獣様が認めたあかしの公式文書とアマデウス王への書簡を預かって来ましたっ!!王太子様方からお渡し頂けますようにお願い致しますっ!!
 番休暇後に結婚式なのでっ!!すぐに帰りたいのですっ!!」

 アルとライは、番恋しさで暴走寸前の部下を見て笑ったが、羨ましかった。

 でも、王子として、見栄を張る所だろうと、にっこり微笑んで、「書簡と公式文書を私達から王へ渡そう。だが、私達と一緒に茶を飲んでからではダメか?」と、帰る時間を遅らそうとしたのだが、部下も必死だった。

「アル様、ライ様、あちらの聖獣様から番が見付かった祝いという事で、ナーオ・ロウ国の聖獣の黒大猫様から祝いを渡すように言いつかった王太子様から、我が国の王太子様方に預かったモノがございますっ!!こちらをお渡し致しますので、すぐに私めを家に帰して下さいっ!!」

「ふーん。そんな物があるんだ?」

「あちらの王太子様が、王太子妃様の実家から手に入れた物と聞いております。アル様とライ様が私をすぐに開放しない時のみ、渡すようにとの事でしたっ!!中身は知りませんのでっ!!ではっ!失礼致しますっ!!」

 大人の手よりも少しだけ大きい包みを2人に渡すと、部下が走ってこの部屋から出て、すぐに帰って行ったようだ。走って遠ざかっていく足音がしたから。

 この部下は番休暇をナーオ・ロウへ派遣する前から申請していたし、こちらもそれを理解して、事前に許可も出していた。だから、部下も一刻も早く帰りたかったのだろうと、2人して笑ってしまったのだが。

「ナーオ・ロウ国の王太子も私達に渡す事が前提で、これらを用意していたとはね。アル、どう思う?」

「頭が回るって事だよ、な。ライ並みに。敵にするまい。番の産まれた国だから。番が育つまで、あの国へ通うんだし、友好的にするのは当り前さ。ライもそう思うだろう?」

「この小さな包みから、番の魔力が溢れて来るのが判るから、部下を見逃してあげたんだし、ね。中身は何だろう?」

「メッセージカード付きだ。
 …何々?「ラーン・ビット国の王太子様方へ。

 お二方の番の魔力を込めたブレスレットをお渡し致します。どちらがお二方どちらの番かはこちらでは判別出来なかったので、お二方で判断をしてお受け取り下さい。

 その余分に入れておいたブレスレットにお二方それぞれの魔力を込めてから、番への贈り物として送り返して下さい。
 そのブレスレットに魔力を込める前に王太子様方の番に身に着けた絵姿を同封致しました。

 面会前には必ず、王太子である私宛に是非ともご連絡をお願い致します。ナーオ・ロウ国の王太子ショウ・Y・ナーオロウ」だってよ。ライ、話が分かる男の様だよ。」

「いい仕事をするなぁ。話が合いそうだねぇ。アル、王太子には気ままな黒猫、王太子妃には自由自在の猫が護衛についているから、アルも楽しめそうだね。」

「そうだな。それにしても、この包みを受け取る時に、2人してそれぞれ別の包みに手が伸びて受け取っていたんだ。番を本能で判別しているんだろう。私達は。」

「そりゃ、間違えない、ね。では、中を見てみようか。」

「ライ、待てっ!!この包みは自室へ戻ってから、開けようよ!!色々と込み上げてきているから、さっ!!」

「私もそうする他ないね。アルと同じ理由で。
 …明日、臨時でアルも私も休むから。急ぎのモノはないだろうし、部下の結婚祝いの件も褒美として選びたいので、ね。」

「了解致しました。ここの所、王太子様方がお休みを取られていなかったので、明後日まで休まれては如何でしょう?」

「「そうする。」」

 執務室を出てから、2人は早歩きでアマデウス王に会い、書簡と公式文書を王である父へ渡してから、これまた急ぎ足でそれぞれの自室へ向かっていた。

 歩きながら、「たぎるぞっ、ライ。」「明後日まででコレが治まるかな…。不安だ、アル。」

「無理なら、半日ずつ交代で仕事をしようよ、ライ。」「良い案だね、アル。」

「部下の祝いなんて口実だろう?ライ。」「そうだよ、アル。自家発電オナニーするのに理由が欲しかっただけ。」

「番の魔力と絵姿が楽しみで、ビンビンだよ。」「私もね。王子が使うマントがあって良かった。魔法で偽装しているのは勿論だけど、前の勃起したままの部分をマントで隠せているからね。」

「「まったくだ。」」

「では、明後日に会おう。ライ。」「ああ、明後日だね、アル。」

 …3日後に、王太子2人がゲッソリとして自室から出てきた時、王城の者達は不安になったが、報告を受けていたアマデウス王はその正確な理由を知っているので、笑いをこらえていたようだった。
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