ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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ラーン・ビット国編

ナーオ・ロウ国では4 リヨウは父になりました

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 ショウの外遊に付いて行く事になって、気にはなっていたんだ。妻の出産がいつ始まるのかと。

 外遊に付いて行くので、子供の産まれる時に妻の側にはいられないかもしれないと、妻には話していたし、出産に立ち会うことも出来ないのだと諦めていたんだ。

 それがどうだ、聖獣様のおかげで、いや、ユーイ様が女神さまの愛し子のおかげで、俺にも聖獣様が気を配って下さって、仕事も安心出来る者と一時的に交代出来たし、心置きなく妻と子に会えるように、妻の出産に間に合うようにと、転移までしてもらえたのだ。

 凄え!俺、ショウとユーイ様のためにこれからも働く!

 その話を妻や父母にも聞かせ、皆で、凄いなと感心して、晩飯もたらふく食べ終わってから、妻と二人で子供の名前を話していると、妻の陣痛が始まったのだ。

 慌てて、父や母のいる部屋へと駆け込んでから、執事に助産師の手配を至急に頼むと、俺から話を聞いていたので、客室にて待機しておりますと答えられた。

 俺も浮かれて、そこまで気が回らなかったんだと気付き、母に笑われた。

「お父様よりは役に立っていますよ。」と、言われたので、俺が産まれる時に父がどうしていたかを聞くと、

「ふふふふふっ!陣痛の起きた私の周りを走り回っていたので、それに気付いた執事が手配して、助産師が来たら、ね、今度は私の唸り声に合わせて、筋トレを始めたのよ。」

 親父、馬鹿だったのか?それとも、脳筋でどうしていいのか分からなかったのか?と考えて、頭が痛くなった気がした。

 はっ!それよりも、妻の側についていなければ!

「母上!俺は妻の手を握るか、痛みを逃す様に指圧するかして来ますっ!」

 家の中では緊急時は走ってはならないとの家の中でのルールが母上によって、決められているのだ、早歩きなら母上の怒りの魔法での雷は落ちないだろうと、早歩きで妻の元へ戻った。

 必死に妻の痛みに耐える手が俺の手を強く掴んでも我慢し、腰が痛いと言うので、痛みを逃す所を助産師から教えてもらって、指圧し、気付くと、周りが明るくなっていたのだ。朝になったのか。

 初産だが、そこからは早かった。

 夜から朝まで耐えていた分、1時間もしないうちに、子供が生まれた。

 妻の出産に立ち会えた俺は、感動の涙を流した。

 女性って、凄え!それに、妻の産んだ子なのに、俺にも似てるぞ!凄え!

「ありがとう!」と俺が言うと、妻が嬉しいと言って、涙を流した。

 当初、妻の腹にいるのは1人だけだと言われていたが、妊娠期間が長かったので、2、3人産まれるだろうと言われていたのだ。

 産まれてみれば、双子だった。それも男女1人ずつの。

 親父も母上も俺達と子供達がいる部屋の中で、狂喜乱舞している。

 親父はスクワットをしているし、母上はその場でグルグルと回っている。

 何だか俺の子なのに!とじわじわと怒りが湧いた。

「俺の子だからな!孫可愛がりし過ぎるなよ!イッチェンの所みたいな鬼婆やクソ爺にはなるなよなっ!」

「「…はい。」」

「分かってくれればいい。俺には仕事があるんだ。5日間の休暇をもらったが、俺しか出来ない仕事を子供達にしていると誇れる父でありたい。だから、休暇後は仕事に戻る!」

「…理解していますわ。それなのに、戻って来て、ワタクシの出産にも立ち会って下さいましたもの。リヨウ様、ワタクシ、嬉しかったですわ。」

「俺はお前を愛している。勿論、産まれた子供達もだ。」

「父よりも立派だ。それこそは、この家の後継ぎだ!うおん!うおん!」

 親父が大きな声で泣きだした。

「孫達が起きてしまいますし、出産直後で疲れているのに、騒がしくして、ごめんなさい。

 おめでとう。私達はあなた達と孫たちの幸せな姿を見れるのが幸せよ。」

 そう母上が言って、親父を引きずって俺達夫婦の部屋から出て行った。

 相変わらず、母上の力も凄えな。親父を引きずっていけるんだ。

「子供達の名を親父達に任せたくないんだ。俺達が子供達に渡せる初めてのプレゼントは名前だと思っている。」

「はい。ワタクシも同じくそう思いますわ。」

「乳母の手配も済んでいるから、何も心配するな。聖獣様も一緒だから、死ぬような事もないだろう。」

 妻を安心させるように言いながら、子供達の名前を考え、妻と2人で決めたのだった。

 子供達は全身が黒い子供達だった。

 ああ、これは、息子は王家から嫁を迎える事になるんだろうな。娘は王家へ嫁に行くんだろうな。と、思った。

 ユーイ様が姑なら、まだそこいらに嫁へ行くよりかは安心か。

 俺の言いたい事が妻にも伝わったのだろう。

「何事も塞翁が馬。過ぎたるは及ばざるがごとしですわね、リヨウ様。」

「幸せに暮らしてくれれば、構わないさ。」

「ええ。」

 そうして、妻や子供達と俺、親父や母上も孫達と過ごして、俺が留守中の事を両親に頼んだ。

 妻の実家にも、子供達が生まれてすぐに使いを出し、妻と俺の所へ祝いにすぐ来てくれたのだ。

 その時に、俺の両親が妻へ無理強いをしない様に見張ってもらえるように頼んで、留守中の懸念を減らしたのだった。イザとなったら、妻と子供達を初孫フィーバーの俺の両親達から守って欲しいと。

 義父や義母、義兄達は笑って、二つ返事でその申し出を引き受けてくれたので、更に安心したのだが、両親には内緒だ。

 もしもの場合に備えて、妻と子供達が実家へ避難しても、俺からの意向であると書いた紙を妻の実家へと3通作り、託しておいたからな。

 ふはははははっ!一兄イッチェンの様にはなるまい!

 有意義な休暇を過ごした俺が、聖獣様の転移でショウ達の所に戻ってから、俺の妻に付き添った体験や、何をしたかを話し、ショウからは参考にすると言われ、イッチェンからは、次こそは!名誉挽回するぞ!と言われたのだった。
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