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ガオン・ロード国編
アルクトス王太子の苦悩
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我が王家には秘密があった。
聖獣ブラウス様が女好きであるのだと。それも、番を持つ女性に横恋慕する質だと言う厄介なモノだ。
そのせいで、城下では「女好きの間男希望の名誉騎士団長の伯爵様」と言う呼び方をされる程、有名だった。
だからか、王家やそれに近い公爵家や侯爵家、伯爵家辺りまでは聖獣様から番の女性を隠すのが当たり前だった。
わたしの母上である王妃もわたしが産まれるまでは、あのブラウス様に『キスしろ。』と迫られていたのだと聞いていたのだ。お婆様もそうだったそうだ。
その話を聞いていたので、わたしの番であった婚約者に会うのは、もっぱら、婚約者である彼女の家、ブリュンヌの住む侯爵家でばかりだった。
わたしが心配していたのは、ブリュンヌとわたしが結婚した後の生活だった。
その心配が現実となったのは、わたしとブリュンヌの蜜月が終わってからすぐだった。
私のブリュンヌが、クソ男のブラウスに『キスをしろ。』『胸を揉ませろ。』と言われたそうだ。それも、ブリュンヌが私と一緒でない時を狙って待っていた様だと聞いた時ははらわたが煮えくり返そうだった。
彼女がすっかり怯えてしまい、わたしの後ろへ隠れるようになってしまったのは可哀想だったが、その後も何度か似たような事を言われたようだ。
父上や母上にも相談し、子が出来る様に協力してもらったのだ。そのおかげか、王家では異例の速さでブリュンヌが妊娠した。
わたしには『おめでとう。』とか、『どっちが産まれるでしょうか?』と、話しかけて来ていたが、無難な受け答えを返すだけにしておいた。
わたしの目がない事を良い事にして、ブリュンヌの所へ面会をしたいと何度もしつこく訪れているのを知っているのだぞ!とはおくびにも出さないで。
次代様からは、番様があわや寸前!の所でギリギリで助け出されたとかで、一緒に居ないと震えて動けなくなってしまっている話を聞いていたのだ。わたしの番のブリュンヌの貞操も守らなければ!あの色情魔から!
その間にも、女神さまからの護符の追加を賜わったり、次代様とも色々と相談して、もし姫が産まれた場合には女神さまからの介入もあるだろうと言われていた。
そんな中、産まれた子供達が王子であったことに安心していた矢先に、再び、ブリュンヌが忙しく、護符を持ち忘れた隙を狙い、我が妃に接触したのだ。
その際に、自分の子供を産めとか色気が出て来たとか言われた彼女が動けなくなったと護衛がわたしを呼びに来たのだ。
ブリュンヌが怯えて、その後に言われた事を覚えていなかったのは、幸いであった。私が駆けつけるまでの間に言われた言葉は、周りにいた者達が聞き漏らさずに憶えていてくれたのだが、それを聞いたわたしは、もうこれ以上は無理だと思ったのだ。
悍ましい言葉で、色々と言っていたそうだ。
『私の子を孕み易くするように王太子の子を産んだのだろう?子を一度でも産めば、出来やすいからな。』
『王太子の見ている所で可愛がってやろう。きっと楽しいぞ。慣れれば凄く気持ち良くなろぞ。』
『王太子よりも私と出会うのが早かったのなら、私専用の妾としてたっぷりと可愛がってやったのになぁ。』
『姫でも産めば、親子で私専用の穴として使えたのに。残念だ。』
『私の好みのど真ん中だったのに、惜しい事をしたな。王太子から寝取れば良かったか。』等々、寝言をほざいていたそうだ…。
その夜、次代様も今代であるブラウスのその言葉を聞いたと言われ、女神さまへ猶予はないのだと明日の出もこの事を報告してくるのだと、息巻いていらした。
翌日、何故か、クソ男のブラウスが隣国へ1月ほど出かけて来ると言い、ふらっといつも通りに気楽に出掛けて行ったので、女神さまへの報告が出来たのだと、次代のクーマク様がわたしの所へやって来たのだった。
その後、隣国でも色々とやらかし、ナーオ・ロウ国の王太子様ご夫妻の王太子妃様にも、番以外に乗り換えろとしつこく面会を迫ったらしく、色々あったそうだ。女神さまの愛し子である王太子妃様への不敬で女神さまもお怒りになったそうだ。その関連で、女神さまからはブラウスを消滅させるとの事前報告が次代様と私達王家に報告があったのだった。
その時に、何をする為にブラウスが隣国まで定期的に言っていたのかを知り、皆はその内容に衝撃を受けたのだった。
だからなのか、次代様を忙しく仕事で動けなくしておいて、密偵やスパイを強制転移させていたのは、国の為ではなく、外の情報がこの国へ入って来ない様にしていたのだと。
王家の者達は、密偵やスパイ、暗殺者から、この国を守っていたからだと思っていたから、長年、我慢に我慢を重ねてしていたと言うのに!結局は自分の横恋慕の為にかっ!何たることだと!父上も母上もわたしも妃も泣いた。
次代様まで泣いていた。番様もだ。
長年のブラウスというクソ男の呪縛のせいで、城下は昼間でも女性が歩く姿が少ない。若い女性は番と一緒でないと家から出れない状態だ。
王家からは、「名誉騎士団長の伯爵は地位と爵位を取り上げ、処刑した。」と発表した。続けて、「城下でも貴族でも、他国の様に自由に歩けるようになった。困った事があれば、騎士団の者達が犯罪者や不審者を取り締まる。」とも、公布したのだ。
少しずつ、その効果は表れているが、わたしの妃であるブリュンヌは、その一歩を踏み出せないでいるのだ。
今は今代様になった次代のクーマク様は、番様のツラい記憶を女神さまに消してもらって、自由に動けるようになったのだと、わたしに教えて下さった。さて、わたしはどうしたらいいのだろう?妃もどうするのがいいのだろう?
ナーオ・ロウ国の王太子様ご夫妻との茶会や交流で、わたし達にも活路を見出せればいいのだが。
聖獣ブラウス様が女好きであるのだと。それも、番を持つ女性に横恋慕する質だと言う厄介なモノだ。
そのせいで、城下では「女好きの間男希望の名誉騎士団長の伯爵様」と言う呼び方をされる程、有名だった。
だからか、王家やそれに近い公爵家や侯爵家、伯爵家辺りまでは聖獣様から番の女性を隠すのが当たり前だった。
わたしの母上である王妃もわたしが産まれるまでは、あのブラウス様に『キスしろ。』と迫られていたのだと聞いていたのだ。お婆様もそうだったそうだ。
その話を聞いていたので、わたしの番であった婚約者に会うのは、もっぱら、婚約者である彼女の家、ブリュンヌの住む侯爵家でばかりだった。
わたしが心配していたのは、ブリュンヌとわたしが結婚した後の生活だった。
その心配が現実となったのは、わたしとブリュンヌの蜜月が終わってからすぐだった。
私のブリュンヌが、クソ男のブラウスに『キスをしろ。』『胸を揉ませろ。』と言われたそうだ。それも、ブリュンヌが私と一緒でない時を狙って待っていた様だと聞いた時ははらわたが煮えくり返そうだった。
彼女がすっかり怯えてしまい、わたしの後ろへ隠れるようになってしまったのは可哀想だったが、その後も何度か似たような事を言われたようだ。
父上や母上にも相談し、子が出来る様に協力してもらったのだ。そのおかげか、王家では異例の速さでブリュンヌが妊娠した。
わたしには『おめでとう。』とか、『どっちが産まれるでしょうか?』と、話しかけて来ていたが、無難な受け答えを返すだけにしておいた。
わたしの目がない事を良い事にして、ブリュンヌの所へ面会をしたいと何度もしつこく訪れているのを知っているのだぞ!とはおくびにも出さないで。
次代様からは、番様があわや寸前!の所でギリギリで助け出されたとかで、一緒に居ないと震えて動けなくなってしまっている話を聞いていたのだ。わたしの番のブリュンヌの貞操も守らなければ!あの色情魔から!
その間にも、女神さまからの護符の追加を賜わったり、次代様とも色々と相談して、もし姫が産まれた場合には女神さまからの介入もあるだろうと言われていた。
そんな中、産まれた子供達が王子であったことに安心していた矢先に、再び、ブリュンヌが忙しく、護符を持ち忘れた隙を狙い、我が妃に接触したのだ。
その際に、自分の子供を産めとか色気が出て来たとか言われた彼女が動けなくなったと護衛がわたしを呼びに来たのだ。
ブリュンヌが怯えて、その後に言われた事を覚えていなかったのは、幸いであった。私が駆けつけるまでの間に言われた言葉は、周りにいた者達が聞き漏らさずに憶えていてくれたのだが、それを聞いたわたしは、もうこれ以上は無理だと思ったのだ。
悍ましい言葉で、色々と言っていたそうだ。
『私の子を孕み易くするように王太子の子を産んだのだろう?子を一度でも産めば、出来やすいからな。』
『王太子の見ている所で可愛がってやろう。きっと楽しいぞ。慣れれば凄く気持ち良くなろぞ。』
『王太子よりも私と出会うのが早かったのなら、私専用の妾としてたっぷりと可愛がってやったのになぁ。』
『姫でも産めば、親子で私専用の穴として使えたのに。残念だ。』
『私の好みのど真ん中だったのに、惜しい事をしたな。王太子から寝取れば良かったか。』等々、寝言をほざいていたそうだ…。
その夜、次代様も今代であるブラウスのその言葉を聞いたと言われ、女神さまへ猶予はないのだと明日の出もこの事を報告してくるのだと、息巻いていらした。
翌日、何故か、クソ男のブラウスが隣国へ1月ほど出かけて来ると言い、ふらっといつも通りに気楽に出掛けて行ったので、女神さまへの報告が出来たのだと、次代のクーマク様がわたしの所へやって来たのだった。
その後、隣国でも色々とやらかし、ナーオ・ロウ国の王太子様ご夫妻の王太子妃様にも、番以外に乗り換えろとしつこく面会を迫ったらしく、色々あったそうだ。女神さまの愛し子である王太子妃様への不敬で女神さまもお怒りになったそうだ。その関連で、女神さまからはブラウスを消滅させるとの事前報告が次代様と私達王家に報告があったのだった。
その時に、何をする為にブラウスが隣国まで定期的に言っていたのかを知り、皆はその内容に衝撃を受けたのだった。
だからなのか、次代様を忙しく仕事で動けなくしておいて、密偵やスパイを強制転移させていたのは、国の為ではなく、外の情報がこの国へ入って来ない様にしていたのだと。
王家の者達は、密偵やスパイ、暗殺者から、この国を守っていたからだと思っていたから、長年、我慢に我慢を重ねてしていたと言うのに!結局は自分の横恋慕の為にかっ!何たることだと!父上も母上もわたしも妃も泣いた。
次代様まで泣いていた。番様もだ。
長年のブラウスというクソ男の呪縛のせいで、城下は昼間でも女性が歩く姿が少ない。若い女性は番と一緒でないと家から出れない状態だ。
王家からは、「名誉騎士団長の伯爵は地位と爵位を取り上げ、処刑した。」と発表した。続けて、「城下でも貴族でも、他国の様に自由に歩けるようになった。困った事があれば、騎士団の者達が犯罪者や不審者を取り締まる。」とも、公布したのだ。
少しずつ、その効果は表れているが、わたしの妃であるブリュンヌは、その一歩を踏み出せないでいるのだ。
今は今代様になった次代のクーマク様は、番様のツラい記憶を女神さまに消してもらって、自由に動けるようになったのだと、わたしに教えて下さった。さて、わたしはどうしたらいいのだろう?妃もどうするのがいいのだろう?
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