ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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虎の国、小国群編

困ったにゃ…

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 困ったにゃ…。ユーイが攫われちゃったにゃ。

 ショウや王太后には、偉そうな口のきき方をしてにゃ、あたいの動揺を悟らせないで押し切ったけどにぃ、女神さまに聞いてもらわなくっちゃにゃ!

 
「うえーーーーん!!女神さまーー!!あたいが感知出来なかったからー!!ユーイが攫われちゃったんだよぉーー!!助けてにゃー!!」


 あたいは一目散に女神さまの居る場所へ転移したんにゃ!!

『よくぞ知らせてくれた、黒百合よ。女神たる私の世界へこっそりと入り込んだ不届きモノがいてな、どこに紛れ込んでいるのかと捜していたのだが、上手く姿を消していて、見つからなかったのだよ。

 その異物の力のせいで、願いを叶えるとかなんとか言いくるめられたであろう人間の計画によって、ユーイが攫われたのだろうて。

 どこの神がつかわせたモノか分からんが、私の作った世界を、私の愛し子を、この世界を壊す犠牲にしようとしているのだと地球神おっとにも警告をされたのだ。

 それで、な、私も気を付けてはいたのだが、どこに異物がいるのかが不明で困っておった。

 黒百合が魔馬車で気配を消していてくれたおかげで、黒百合が魔馬車内にいた事を不届きモノには気付かれなくて済んだのだ。
 不届きモノの痕跡を黒百合経由で私が掴んだので、な、不届きな異物モノがどこにいるのかも分かったし、追い掛けていけるようにもなったのだ。

 そんなに落ち込むものではないぞ。ユーイもどこにとらわれているのか、誰が首謀者なのかの情報を黒百合に教えようぞ。』

「本当ですかにゃ!」

『ああ、本当だとも。』

「女神さまじゃなく、あたいが感知出来なかったってのは、その異物は、あたいのような聖獣と同じような存在なのかにゃ?」

『多分、そうだろうな。私もはっきりとは掴めていなかったが、魔馬車での痕跡を見る限り、同じように造られたモノだと言えよう。』

「なるほどにゃ。あたいと同じ聖獣にしては、やけに存在自体がこの世界の聖獣とは違うんだにゃと、違和感があったのだと納得したにゃよ。」

『聖獣の姿を真似ていたのか。』

「そうにゃ。見たことのない聖獣だったにゃ。真っピンク色で、ぬめぬめした動物だったにゃ。この世界にはいない動物にゃ。

 濃い灰色のフードを頭から被っていたから、一見、人間の様に見えるけどにゃ、この世界の人の形態とは違う人型だったにゃ。

 幻影でこの世界の人のように見せかけていたけどにゃ、あたいの目は誤魔化せなかったにゃよ。

 この世界の人の人間形態では、頭としっぽに獣人の名残が出るけれどそれ以外の全身は、地球の人間のようにゃ。

 だけど、あの聖獣モドキはにゃ、頭全体が獣のままにゃ。首から下が人の姿にゃったにゃよ。

 素敵なしっぽもなかったけどにゃ、手足が獣のままで、どピンクのぬめぬめだったにゃ。」

『異物の姿は、同じような存在である聖獣の真実を視る目を誤魔化せられなかったという訳か。』

「同じように思われるのは不快にゃ!でもにゃ、あたいのヒゲで感じる違和感センサーからは逃げられないのにゃよ!にゃふっ!」

『では、その正体を教えてくれたご褒美も何がいいのかを考えておいて欲しい。私も、その姿までは捉えられなかったのだ。黒百合の目撃情報で助かった。』

「ユーイを助けるにゃ!情報をくださいにゃ!」

『この情報は、番の王太子だけでなく、王太后と先王にも伝えるのだぞ。よいな。』

「はいにゃ!」

 そうして、ユーイの情報を女神さまから聞かせてもらって、急いで、ショウの所に戻ったのにゃ。

 あたいの情報を元に、ユーイをどうやって助けるのかを相談したにゃ。

 これで、あたいの大好きなユーイを助けるんにゃ!!と、気合を入れた聖獣の黒百合こと、クー様は、皆と話し合いと言う名の救助作戦を立てていた。



 同じ頃、黒百合の報告を受けた女神は、夫である地球神へ報告がてら訪ねて、思いついた事を相談していた。

 女神の世界を壊そうとしている者と同じ者が動き、地球と女神の世界の両方に災厄を起こしているのではないかと、地球神おっとに相談していたのだ。

 女神がその考えに至るまでの共通点が多過ぎるのだと。

 違う世界から頼まれて転生した者は、何も問題が起きていないのだ。違う世界と言っても、一つや二つではない。幾つもの世界からなのだ。それなのに、地球からの転生した魂だけが異変を起こしている。

 それもつい最近、立て続けに。それまで、地球から転生した魂は、何も起こしてきてはいなかったのだから。

 夫である地球神も、女神の話した内容に思い当たる事があったので、つい最近、神々の話として伝えられた事を話したのだ。

 災厄を起こすつもりで動いていたと把握さればかりの大神の一柱が、捕縛されるのを嫌うように、消息不明になったという話をしたのだ。

 相手は大神だ、女神はまだ若い神だから、対抗出来ないだろうと、何かあればすぐに連絡するようにと、地球神は妻である女神を気遣った。

 誰が味方で、誰が敵なのかが分からない状態で、それぞれ自分が担当する世界を守るしかないのだとお互いに気持ちを引き締めた所で、女神と地球神はそれぞれの世界に戻って行ったのだった。
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