ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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虎の国、小国群編

あんさん、これからどうするつもりなん?2

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 俺、リヨウの率いる近衛騎士達は、俺を隊長として今を動いている。

 ユーイ様が攫われてから、ショウが王太子の仮面を被り続けられなくなり、俺とイッチェンで、フォローに回ったのだったが、ショウが使い物にならない程、憔悴しょうすいしているのだから、国元から転移で送られてくる通常業務の方を引き受け、奪還作戦のフォローをイッチェンがしているのだ。

 俺は元々、ショウの、王太子専属の警護担当責任者なのだから、このくらいの書類業務も出来ないと、無能呼ばわりされるんだよ。なんてたって、日本では弁護士をしていたんだ。脳筋だけじゃ騎士の隊長クラスは務まんねーからな。

 そうそう、ロートは、さ、聖獣様方にお会いした時に、個別で話をしてもらえたからか、文字通りに燃えている。
 比喩でも例えでもなく、な。あいつ、隠れ熱血派だったのかと俺は驚いたけど。イッチェンは、やっぱりなと納得していたのが不思議だったけど、これで、確実にユーイ様を救い出してくれるだろうし、な。

「リヨウにロートの気持ちは解らなくても、ショウがロートの心の中を解っているから良いんだよ。」と、イッチェンに慰められたんだ。

 そうして、今日あたりに事態が動きそうだと、人化して見えていないのに、ヒゲの先の毛がチリチリしてたんで、何かあるだろうと思っていたんだが、早速、物事が動いたようで、女神さまから、他神の遣いを生け捕りにしたとナーオ・ロウの魔馬車内にいた者達に一斉に伝達されたので、それを合図に奪還作戦が開始したのだった。

 ユーイ様を助けて、またあの美味いおやつや夜食を作ってもらえるように頑張るんだと、俺の率いてる近衛騎士達も俺も燃えているんだぜ。


 幼馴染のショウが番を取り戻さなくちゃ、俺も心からのんびり出来ないからな。国へ帰っても、子供達に父として任務を達成したと、幼馴染の番を助けたのだと、誇れるように頑張らないといけないしな。

 ロートがユーイ様の奪還をメインにした部隊で動いているうちに、俺らは陽動と、危険な思想の者達を出来るだけ片付けるという働きを期待されている。

 ま、皆が動き易くなるようにと動く、余分なモノを払う、露払い部隊だけど。


 いっちょ、やりますか!「邪魔なもん全部を!蹴散らして行くぞ!いいか!行くぞ!お前ら!」

「「「「「おぉーおーっ!!!」」」」」

 大声で気合を入れて、待機していた場所から部隊ごと飛び出すと、わらわらと自称王子に仕えている騎士と名乗る荒事を熟している傭兵達が湧いてきた。

 俺の部隊の騎士達で、切り捨ててゆく。こいつらは思想にかぶれて、使い捨てにされている下っ端だから、切り捨てる分には遠慮はしない。

 その中をナーオ・ロウの暗部の者達が俺の部隊の者達と同じ制服で駆け回っている。俺達に切り捨てられた者達の所持品を探るのだ。それで少しでも証拠が出れば、御の字だけど、な。

 傭兵達の実力は程々ってとこか。俺らの国の近衛騎士達に届くには物足りない実力しかないけれど。


 暗部の者だろう騎士服を着た者へ目配せをすると、首を横に振った。

 証拠になるようなモノが出てこなかったのだという合図だ。

 後はこの屋敷の中にユーイ様がいるのだと調べがついているので、俺達も中に入るのだ。

 屋敷の中に入るので、その後を頼んだぞ。と、目線で暗部の者へ会話をし、屋敷の中へ入るのに、正面の大きな扉を魔法と剣技で吹き飛ばして突入したのだった。

 俺達は派手に動いて、陽動する役目も担っているのだから。ド派手に行くんだぜ!

 吹き飛ばされた扉で、数人が吹っ飛んだみたいで、扉の近くには人がいなかった。

 入りやすくなったんで、一石二鳥だったな♪

 ご機嫌に襲い掛かってくる者達を切りつけたり、気絶させたりして、戦意を失くしていった。暗部の奴らが捕縛してくれるだろうと読んで。

 これで、証拠が出るだろう。屋敷の中にいるぐらいだから、自称王子の手足になる者達だろうし、大なり小なりユーイ様を攫ってきた経緯を知っているだろうし、な。

 おお!屋敷の中にいる者達は、外にいた傭兵達より骨があるぞ!でも、まだ俺ら、近衛に勝てない実力でしかない。こんなんじゃ、王族を守り切れず、サクッと王族を殺される実力しかないってーのっ!

『リヨウ!!手助けしろにゃ!鎖が断ち切れなくって、進めないにゃよ!!』

「はい・はい!どの位の奴がイイですか?!」

『魔法での聖剣使いが2、3人かにゃ?ぶっとい鎖を切って欲しいにゃ!』


「聖剣使えるヤツは~返事しろー!」

「あぁはい!」「はーい!」「せいっっと!はいっ!」「俺も~!」「近衛なら誰でも使えるすっよ!隊長!」忘れないでくださいよ~。」

「んじゃ!上位から3人!俺と一緒に来いっ!」「はい!」「りょーかい!」「へ・へーい!」

「残りの奴は、捕縛と警戒を続けろ!なるべく殺さないようにして、証人にしろよ!出来なければ、バッサリと始末しておけ!」

「「「「「はっ!!!!!」」」」」

 俺と他の3人は、クー様の案内に沿って屋敷の中を進んでいった。所々、切りつけてきた奴もいたが、サックリと次々に始末していった。

『その先にゃ!聖剣で、そこから30センチ先の見えない壁を切り捨てる感じで頼むにゃ!』

「上からですか?」

『天井から床までにゃ!あたいの目を眩ませた仕掛けがしてあったんにゃ!くぅやしいにゃ!』

「おまえら!息を合わせて切るぞ!そこのお前は、俺らの背後の見張りを聖剣で頼む!」

「背後からバッサリと切り付けて来られると困りますからねー!分っかりやしたー!」

「せーのっ!」「「「せいっ!!!」」」ガキンッッ!!ガガッ!!

 手応えはあった、けど、まだ切り捨てるには足らない感触だった。

 俺らの背後からも剣で撃ち合う音がしている。俺らの背後を狙っているモノがやっぱりいたのか。その気配は薄く小さくでも、幾つかあったからな。

「隊長~!4人いるっすー!1人くらい、誰かに頼んでもいいっすかぁー?」

「俺が行きます!」「あぁ!」

 もう一度、魔法で作られた聖剣を構えた。

「じゃあ、もう一回、切っておこうか!見えないけど、分厚い感じがする壁だからな!」

「うっす!」「次もすぐ切れます!」

「んじゃ、せーのっ!」「「「せいっ!!!」」」

 パキッ!!バリッ!!…ガラガラガララ…!!!

 見えない壁が崩れたような音がした。俺のすぐ横で、『頼んでよかったにゃ!』と、クー様の声がした。

 空中に宙吊りに浮かんでいるクー様が俺の横にいた。「うわっ!どうしたんですか?」

『この先にユーイの気配がするにゃよ!でも、先に進めないようにと、邪魔をするような、また似たような見えない壁があったのにゃ。』

「んで、浄化を兼ねて、また聖剣で切り捨てろって事だったんですか。」『そうにゃ!ロートのいる部隊も、もうすぐここに合流するようにしたにゃよ!』

「お前ら!この先の浄化も兼ねて、聖剣で切るぞ!!いいか!」

 俺の合図で、俺らは先に進んでいく。両隣の部屋の扉を開けて、次々と隠れて逃げている者がいないかを探りつつ、進んでいった。

 クー様の案内で、微かにユーイ様の気配がする部屋の前までやって来た。

 ロートの居る部隊も今は一緒にいる。部屋に入るのに邪魔な鍵がかかっていたが、聖剣で切った。これで、仕掛けられていただろう罠も、時限式で出来ていた攻撃魔法も消えたのだと予想した。

 そうして踏み込んだ部屋のど真ん中には、その部屋に似つかわしくない程の大きさの、ドでかいベッドがあった。

 そのドでかいベッドの上にユーイ様がいたが、両手を前に突き出して、青い顔で、ひたすらに首を横に振っていた。

 その姿は、来・る・な!き・け・ん!と、言っているようだ。

 俺達が近付くとユーイ様か俺達に何かが起きるような事があるのだと理解し、その場で警戒しながら待機していた。

『置き土産があるんにゃね!まったく!!今、対処するにゃよ!…女神さま!お手をお貸しくださいにゃ!!』

 クー様の鶴の一声で、ユーイ様がいた場所に上からまばゆいばかりの光が降り注いだ。

 俺は咄嗟に目をつぶり、光あふれる室内での気配を探り、この部屋での危険を探る方法に切り替えていた。

『これで、取りあえずは大丈夫にゃ筈にゃよ!皆、目を開けてもいいにゃ!』

 クー様の声で目を開け、周りを見回すと、ロートの居る部隊がユーイ様の所へ駆けつけたのだ。

 ユーイ様の所へ駆けつけたロートが叫んだ。

「ユーイ様は無事です!ですが、自称王子がユーイ様を背後から刃物で脅していたようです!」と。

 ユーイ様の背後で倒れて気を失っていた男がアノ自称王子で、刃物を握っていたようだったが、女神さまの光を浴びて、倒れたのだろう。そのおかげで、ユーイ様には何事もなかったのだろうな。

 ユーイ様はユーイ様で、ベッドの上で気を失ったように倒れていたが、ロートが無事を確認したのだった。
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