ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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虎の国、小国群編

あんさん、これからどうするつもりなん?3

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 ユーイ様と、自称王子に何かしらの魔法がかけられていないか、危険な魔道具を仕掛けられていないかを調べてから、ユーイ様と自称王子は離された。

 自称王子は魔力封じと捕縛を兼ねて、当人の魔力を使って捕縛し続けるという魔法の縄で、逃げられないように縛り上げられたのだった。

 ユーイ様はロートのいる部隊が一足先に連れ帰り、俺らは、その後始末をしたのだった。

 部下たちの報告や、暗部との業務連絡を済ませたところで、その場で立って、考えていた。

 やれやれ、これなら、ショウには危険手当をはずんでもらわないとな!俺、結構な活躍をしたんだから。それと、部下達をどうやっていたわろうか。それから、これから先、ショウはどうするんだろうか?と。

 俺がそう思っていると、俺の足元へクー様が突然、現れたのだ。

『あたいと女神さまからの特別手当てを後から、参加した皆にあげるにゃ。ショウから特別手当を貰わなくてもいいにゃよ。』

「ははっ、聖獣様には俺の考えはお見通しって事ですか。」

『聖剣を遣える者は少数にゃ。その中でも、今回は女神さまの愛し子を救出したんにゃよ。その感謝の気持ちをあらわす為ににゃ、女神さまからは小さいながらも、加護にゃスキルが与えられるだろうからにゃ。

 リヨウは日頃の貢献もあるんにゃから、妻子へも多少にょ、何かしらを与えるって女神さまからの伝言があったにゃ。良かったにゃ!』

「わーお!女神さまは太っ腹ですね!」

『あたいからも女神さまにお話ししたんにゃ。日常生活においてもにゃ、リヨウの嗅覚や野生感覚は頼りになるってにゃ。』

「そうですか。俺の危機感覚は役に立っているようで良かったですよ。」

『ショウに相談するとにゃ、血なまぐさくなるんでにゃ、リヨウに相談したいんにゃけど。』

「何でしょう?」

『自称王子をどうするにゃ?』

「どうにもしませんよ、俺らは。最初から、自称王子と血縁のある、ワーオランドーラの国へ引き渡すつもりでいましたから。」

『王太子とあの王様との密書で取り交わした内容かにゃ?』

「そういう事です。あの自称王子が何をしようとも、我々がアノ男の罪状を知らせて、あちらの王の下す結論に委ねるのは、密書と言う書簡を交わす前の最初から、国家間で元々決まっているようなものですから。」

『それでショウが納得するのかにゃ?』

「個人としては出来ないでしょう。でも、ナーオ・ロウ国の王太子としては納得するしかないのですよ。」

『人間って、不便だにゃ。ユーイには目に見えるような危険はなかった筈にゃ。なんていったって、女神さまの愛し子にゃ、女神さまがお許しにならない筈にゃ。』

「それでも、ユーイ様が最後に気を失うような目には遭っています。のでしょう?」

 俺がそういうと、クー様がやれやれという表情をしたのだ。やっぱりか…!最後に何かしらの違和感を感じたのは間違いではなかったし、俺の感覚が間違っていたのではないのだと証明されたのか。違和感はそのせいだったか…!!

『はぁ、皆には内緒にゃよ。あたいはこっそりと、リヨウに「そうにゃ。」と肯定するけどにゃ、女神さまはこの件については何もおっしゃらないつもりにゃからにゃ。』

「女神さまが手を貸してくれたのは、他神の遣いがらみだからですか…。」

『!…あ、あたいからは何も言えないにゃ!…うにゃ。』

「その件の口封じも兼ねて、俺の家族へも、そのお目こぼしがあるんですね…。ま、いいですけど。

 俺にとっては、家を留守にしがちの仕事だし、妻子に寂しい思いもさせているし、その妻子への守りが増えるのは大歓迎ですよ。

 それに、うちの家は代々王族を守る家なので、何かしらが有れば王族を優先するので、妻子の所へは行けないんですよ。知ってますよね、クー様なら。

 俺的には、お目こぼしでも何でも、妻子が無事でいられる確率が上がるのなら、ドンと来い!ってなもんです。」

『あ、皆、引き揚げちゃったにゃね。リヨウと転移で帰ろうかにゃ。』

「魔馬車内ではし難い話でしたから。ここなら多少、話し込んでも、他には漏れないですからね。」

『リヨウには気楽でいられるにゃね。助かるにゃよ。…魔馬車では、ユーイから離れないとするショウが居るだろうからにゃ、この手の話がし難いにゃ。』

「んで、本当の所は?」

ていよく使われたアノ男を女神さまの監視下に置きたいのにゃ。どこかに何かしらの痕跡や仕掛けがされていない保証がアノ男にはまだ見つからないからにゃ。』

「それをイッチェンと話し合って、ワーオランドーラの王にも知らせた後でショウに告げろと、ショウには事後承諾にしろと言いたいんですね?」

『リヨウは話が早くて助かるにゃ!ショウなら、あの自称王子を証言を引き出すと言って、手加減を間違えたと殺しかねないとあたいも女神さまもそう予想をしていてにゃ、こうやって動いているんにゃよ。』

「…それはあり得ますね。いいでしょう。クー様達、聖獣様方が協力して下さるのでしたら、出来るでしょう。で、アノ男は今どこに?」

『女神さまの施した結界の中にゃ。女神さまの居る場所だと女神さまが危険にゃ!我々、聖獣達が反対したにゃ!

だから、しかるべき場所に隔離されてるにゃ。その場所で、女神さまから施された結界の中に閉じ込めてあるにゃ。』

「それで、この作戦の指揮である俺が、アノ男の場所を把握するのと同時に、俺が今回の作戦に参加した者達へ、どうしてアノ男がこの場にいないのかの説明をして欲しいんですね?」

『話が早いんで助かるにゃ!』

「その見返りの加護やスキルですか…。はぁ。」

『一人一人に合わせたモノにするにゃ!だから、時間はかかるけどにゃ、皆には満足してもらえると思うにゃ!』

「大盤振る舞いをしても大丈夫なんですか?」

『大丈夫、大丈夫にゃ!過去にも女神さまの愛し子を守る為に、大盤振る舞いがされていたという前例が何度もあるのにゃ!エッヘンにゃ!』

「さいですか。それなら、いいんですが。イッチェンには何もないんですか?」

『イッチェンの一族へは色々と代々、便宜を図っているんでにゃ、今更なんだにゃ。

 その代わり、リヨウの家族にはイッチェンの一族へと与えている分とのバランスが取れていないんでにゃ、そろそろ、何かしらの手を打とうと思っていたのにゃ。にゃー。』

 猫がニヤリと笑うのは、怖いモノなんだとこの時に思った。

 見かけは可愛らしい子猫の姿でも、聖獣と呼ばれて、一国を任されている守護の獣なのだと、背筋がゾッとしたのだった…。

『話が済んだからにゃ、転移するにゃよ!リヨウ!何、ぼぉーっとしてるんにゃ。行くにゃよ!』

「は、はい!どうぞ!」ビ、ビビったー!!

 深呼吸をしているうちに、俺らの乗ってきた魔馬車の中の通路に転移していたのだった。

 聖獣様にはお礼を言ってから、俺は通路を歩き出した。

 その時の俺は、得体のしれない他神の遣いに何かしらをされたアノ男の処遇をチラッと考えたのだが、寒気が止まらなくなりそうだったので、これ以上は考えるのを止めたのだった。後は女神さまに任せようと。
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