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虎の国、小国群編
その頃、ワーオランドーラでは
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いやはや、寝耳に水だった。
宰相補佐のロックとマシロも、ナーオ・ロウのショウ王太子殿からの書簡には驚いたのだった。
我が国から出奔した姉上の子供である自称王子を名乗っているイエンスやその娘達、いわゆる、私にとっては甥と姪達、それらの消息をそれとなく常時、見張るように手配していたので、その定時連絡を私がいつも受け取っていた。
だが、今回、受け取るはずだった定時連絡を受け取る前に、ナーオ・ロウ国のショウ王太子から送られてきた書簡の内容に驚いたのだった。
書簡の中に書いてあった、「自称王子のイエンス殿が、私の大事な番であるユーイ王太子妃を攫って、子を産ませるつもりで監禁している。貴殿の国ではそのような非常識な事を認めるつもりがあるのだろうか?」との内容に驚き、固まっていた私の元へ、宰相補佐のロックとマシロが緊急で送られてきたんだと言って、私に渡してきた定時連絡の内容を確認した。
緊急だと送られてきた定時連絡も、ショウ王太子の書簡に書いてあった内容と同じ事が書いてあった。即座にこれを事実として、ロックとマシロにも伝えたのだが、2人もその書簡を呼んでも、その事態を、その事実をすぐには信じられないでいたのだから。
姉が出奔する原因、この国がそれを肯定も否定も出来なく、あやふやにしていたのは事実だ。
おおっぴらに出来ない事実なのは、それが事実でも認める訳にはいかないからだった。
姉が夫との閨事で起きた原因は、姉がSで、その夫がMだったせいなのだ。
激しい行為の途中で、姉が夫を間違って殺してしまったのだ。
こんなスキャンダラスな話はどこへも話せないし、漏らせないではないか。だから、事実を知らせる訳にはいかず、急死した原因は公には病死。貴族達には心筋梗塞だったと発表したのだから。
それでも、王家の醜聞にならないよう、姉が周りから気付付けられないように事実を隠していた所へ、突然、姉が国から出奔したのだ。
姉が出て行ったからと、口さがない宮廷のおしゃべりオオカミ共が面白おかしくある事ない事の噂を振りまいたのだ。
だからか、発表と噂の合わせ技の結果として、(病死でも王家が肯定も否定もしなかったのもあって、)もやもやした、はっきりしない噂だけが残ったのだった。
行き過ぎた行為の中で番を間違って殺してしまったショックで、姉は体調を崩していたので引きこもっていたのだ。
引きこもっている姉を気遣ってはいたが、まさか、出奔する幾日か前に、子を身ごもっている事に姉自身が気付いたようで、子を犯罪者の子として産みたくないので、この国から出ていきます。と、こに事を姉の残した私宛の書簡に書いてあったから知ったのだったが。
その上で私の姉上は、この国から出奔する前に、ワーオランドーラの王位継承権を己自身とその身内の継承権を永久に破棄する手続きと、なお且つ、王族の身分を子孫も放棄する手続きを済ませていたのだ。
だから実際には、いや今現在、あの者達は、我が国ワーオランドーラとの関係がないのだ。弟である私、クロードとその子孫へ、姉上達やその子孫が私達への遺恨を残さないようにとしてくれたのだから。
それでも、姉の子達へ言える事はひとつだけ、元ワーオランドーラの民だったと言うだけなのだから。
その当時、姉や姉を慕って付いて行った者達を支援すると言って、姉の後を追って、この国から出て行った一族も少なからずいたのだ。
追従して出て行った一族の者達に取り残されたり、反対して出て行かなかった者達は、王家に反逆しないという魔法による契約書をこの私と交わしている。
契約を破れば、あるのは死のみという厳しい契約書なのだ。
破らずに生きれば何も問題はないのだが、残っていた中に幾人かの大バカ者がいたのだがな。
その一族の残りも、今はもう問題ないほど従順に生きているので、ひとまず安心していられる。
王妃である私の番のジャンヌも、私が呼びだした後に、ユーイ殿の事について話すと、私やロック、マシロと同様に「ユーイ殿が攫われ監禁されている」事実に少しの間、驚いていたのだが、すぐさま、友人であるユーイ殿の心配をしていた。
「私!ユーイを攫った馬鹿を許せませんわ!あんなのが私の元甥だなんて!認めませんわ!クロード様もそう思うでしょう?
あぁ!ユーイったら、どんなに心細いのでしょう!辛いんでしょう!私のお友達を攫うなんて…!そんな奴は、極刑で始末されればいいわっ!!」
何やら、幾つか不穏な言葉も聞こえた気もしたが、他国の王族、それも子を産む大事な番を攫ったのだから、ジャンヌの言うように、イエンスが捕らえられたなら、そののちに極刑になるだろう。
我が国とナーオ・ロウ国で結ばれた国交にもその影響が出るのは王としての私とて、マズいと思うのだから。
ヤキモキしていると、慌てた文官がロックやマシロ、王の私と王妃のジャンヌがいる部屋の中へ飛び込んできた。
今度は何だと身構える一行へ「ショウ王太子様から追加の書簡でございます。」と告げたのだった。
そのナーオ・ロウの王太子のショウ殿から届いた追加の書簡を奪うような勢いでロックが受け取り、文官を下がらせると、ロックから私が受け取り、急ぎ、その追加の書簡を読んだ。
追加の書簡の方には、どのようにしてユーイ殿が攫われたのか、誰が何の意図で攫ったのかが書かれていた。
主犯を捕まえたなら、ワーオランドーラの方はどうしたいのかとの問いもあったのだが、「ナーオ・ロウのショウ殿の好きにするとよい。元ワーオランドーラの民だっただけなので、今はもう関係がないのだ。」との返信をクロード王として急ぎの書簡で返送した。
私も愛しい愛しい番であるジャンヌが攫われたら、その相手をなぶり殺すか、じわじわと殺るであろうという想像が簡単に出来るのだ。だからこそ、ショウ殿も、イエンスをなぶり殺したいと思っているだろう。
宰相補佐のロックとマシロも、ナーオ・ロウのショウ王太子殿からの書簡には驚いたのだった。
我が国から出奔した姉上の子供である自称王子を名乗っているイエンスやその娘達、いわゆる、私にとっては甥と姪達、それらの消息をそれとなく常時、見張るように手配していたので、その定時連絡を私がいつも受け取っていた。
だが、今回、受け取るはずだった定時連絡を受け取る前に、ナーオ・ロウ国のショウ王太子から送られてきた書簡の内容に驚いたのだった。
書簡の中に書いてあった、「自称王子のイエンス殿が、私の大事な番であるユーイ王太子妃を攫って、子を産ませるつもりで監禁している。貴殿の国ではそのような非常識な事を認めるつもりがあるのだろうか?」との内容に驚き、固まっていた私の元へ、宰相補佐のロックとマシロが緊急で送られてきたんだと言って、私に渡してきた定時連絡の内容を確認した。
緊急だと送られてきた定時連絡も、ショウ王太子の書簡に書いてあった内容と同じ事が書いてあった。即座にこれを事実として、ロックとマシロにも伝えたのだが、2人もその書簡を呼んでも、その事態を、その事実をすぐには信じられないでいたのだから。
姉が出奔する原因、この国がそれを肯定も否定も出来なく、あやふやにしていたのは事実だ。
おおっぴらに出来ない事実なのは、それが事実でも認める訳にはいかないからだった。
姉が夫との閨事で起きた原因は、姉がSで、その夫がMだったせいなのだ。
激しい行為の途中で、姉が夫を間違って殺してしまったのだ。
こんなスキャンダラスな話はどこへも話せないし、漏らせないではないか。だから、事実を知らせる訳にはいかず、急死した原因は公には病死。貴族達には心筋梗塞だったと発表したのだから。
それでも、王家の醜聞にならないよう、姉が周りから気付付けられないように事実を隠していた所へ、突然、姉が国から出奔したのだ。
姉が出て行ったからと、口さがない宮廷のおしゃべりオオカミ共が面白おかしくある事ない事の噂を振りまいたのだ。
だからか、発表と噂の合わせ技の結果として、(病死でも王家が肯定も否定もしなかったのもあって、)もやもやした、はっきりしない噂だけが残ったのだった。
行き過ぎた行為の中で番を間違って殺してしまったショックで、姉は体調を崩していたので引きこもっていたのだ。
引きこもっている姉を気遣ってはいたが、まさか、出奔する幾日か前に、子を身ごもっている事に姉自身が気付いたようで、子を犯罪者の子として産みたくないので、この国から出ていきます。と、こに事を姉の残した私宛の書簡に書いてあったから知ったのだったが。
その上で私の姉上は、この国から出奔する前に、ワーオランドーラの王位継承権を己自身とその身内の継承権を永久に破棄する手続きと、なお且つ、王族の身分を子孫も放棄する手続きを済ませていたのだ。
だから実際には、いや今現在、あの者達は、我が国ワーオランドーラとの関係がないのだ。弟である私、クロードとその子孫へ、姉上達やその子孫が私達への遺恨を残さないようにとしてくれたのだから。
それでも、姉の子達へ言える事はひとつだけ、元ワーオランドーラの民だったと言うだけなのだから。
その当時、姉や姉を慕って付いて行った者達を支援すると言って、姉の後を追って、この国から出て行った一族も少なからずいたのだ。
追従して出て行った一族の者達に取り残されたり、反対して出て行かなかった者達は、王家に反逆しないという魔法による契約書をこの私と交わしている。
契約を破れば、あるのは死のみという厳しい契約書なのだ。
破らずに生きれば何も問題はないのだが、残っていた中に幾人かの大バカ者がいたのだがな。
その一族の残りも、今はもう問題ないほど従順に生きているので、ひとまず安心していられる。
王妃である私の番のジャンヌも、私が呼びだした後に、ユーイ殿の事について話すと、私やロック、マシロと同様に「ユーイ殿が攫われ監禁されている」事実に少しの間、驚いていたのだが、すぐさま、友人であるユーイ殿の心配をしていた。
「私!ユーイを攫った馬鹿を許せませんわ!あんなのが私の元甥だなんて!認めませんわ!クロード様もそう思うでしょう?
あぁ!ユーイったら、どんなに心細いのでしょう!辛いんでしょう!私のお友達を攫うなんて…!そんな奴は、極刑で始末されればいいわっ!!」
何やら、幾つか不穏な言葉も聞こえた気もしたが、他国の王族、それも子を産む大事な番を攫ったのだから、ジャンヌの言うように、イエンスが捕らえられたなら、そののちに極刑になるだろう。
我が国とナーオ・ロウ国で結ばれた国交にもその影響が出るのは王としての私とて、マズいと思うのだから。
ヤキモキしていると、慌てた文官がロックやマシロ、王の私と王妃のジャンヌがいる部屋の中へ飛び込んできた。
今度は何だと身構える一行へ「ショウ王太子様から追加の書簡でございます。」と告げたのだった。
そのナーオ・ロウの王太子のショウ殿から届いた追加の書簡を奪うような勢いでロックが受け取り、文官を下がらせると、ロックから私が受け取り、急ぎ、その追加の書簡を読んだ。
追加の書簡の方には、どのようにしてユーイ殿が攫われたのか、誰が何の意図で攫ったのかが書かれていた。
主犯を捕まえたなら、ワーオランドーラの方はどうしたいのかとの問いもあったのだが、「ナーオ・ロウのショウ殿の好きにするとよい。元ワーオランドーラの民だっただけなので、今はもう関係がないのだ。」との返信をクロード王として急ぎの書簡で返送した。
私も愛しい愛しい番であるジャンヌが攫われたら、その相手をなぶり殺すか、じわじわと殺るであろうという想像が簡単に出来るのだ。だからこそ、ショウ殿も、イエンスをなぶり殺したいと思っているだろう。
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