ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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虎の国、小国群編

はにゃにゃ?

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「んー、あんまし面白くなかったにゃあ。とりもちって何にゃ?あたい、知らないにゃ。」

 女神の膝の上に乗ったままの黒百合と女神の話は続いていた。

『ああ、地球神おっとから譲ってもらった地球産のモノで、動くもの、動物や昆虫などの虫を捕まえるのに使う粘着性の物質である。

 黒百合から聞かれるだろうと思っていた。それへ、神力を吸い尽くす効力を加えたのだ。だから、神力を遮断する手袋を使わないと、私でもマズいのだぞ。聖獣であれば、神力を吸い尽くされ、動けなくなるからな。まぁ、神力よりも力が劣り、混じり物が多く、性質が多様化している魔力を吸い出す事はないので、ユーイ達には影響がないのだ。

 あくまで、あの他神の遣いを動けなくする為に用意したのだ。』

「へぇーにゃ。そんなもんがあるんにゃ。この世界ではそんなモノがなくても、魔道具や魔法で簡単に捕まえられるから、そんなモノが地球にあるのも知らなかったにゃ。」

『ああ。地球では魔法も神力も使わない、物質による文明社会が発達しているからな。』

「あたい達、聖獣にとっては、そんな世界があるのが不思議にゃ。不便じゃないのかにゃ?」

『さぁ、どうだろう?地球の日本で暮らしていたユーイに聞いてみるがいい。黒百合とは仲が良いから、色々と教えてくれるだろう。』

「そうにゃ!あたいだったら、一杯教えてくれるし、話してくれるにゃ!日本では猫用品が充実しているって聞いているからにゃ!ショウに今回の働きの謝礼を要求するにゃよ!エッヘンにゃ!!」

『そうか。そうか。それは黒百合が楽しみにするサマが目に浮かぶようだ。』

「んっとにゃ、他神の遣いはどうしているんにゃ?」

『それは、可愛い我が子にも匹敵する聖獣達にも教えられないのだ。済まない。神々の思惑があるのでね。』

「仕方ないにゃ。女神さまも大変にゃんだから。あたいに気を遣わなくてもいいにゃ。分かってるにゃよ。」

『んーんー!黒百合は私の癒しだ。そのままで充分だ。』

「くすぐったいにゃあ。あ、そこを撫でてにゃ。いっぱいにゃ。もっとにゃ。んーんーぅ、ゴロゴロ…。」

『ほんに可愛いのぅ。』

「女神さまぁ、口調がいつもと違うにゃよ。あたいみたいに猫を被らなくてもいいのかにゃ?」

『す、済まん。済まん。ついつい地が出てしまったようだ。気を付けようぞ。」

「いいにゃ。気にしてないにゃ。でもにゃ、他の聖獣だったら機嫌を損ねるかもしれないにゃ。理想と違うって、にゃ。」

『気を付けるから、その辺で勘弁してほしいぞ。

 …黒百合、疲れたであろう?私が黒百合の疲れを癒そう。』

「ありがとにゃ。お願いしますにゃ。」

『可愛い、可愛い、私の黒百合。』

 女神が黒百合を撫でながら、神力を流し込んでいく。

「にゃあ、疲れがとれるにゃあ…。…あが、が。…がぁ!!…。」

 バタッ!!黒百合の身体の力が抜けた。気を失ったようだ。

『私の可愛い子に介入している余所者め!!出ていくがいい!!この聖獣の身体に入り込むとはなぁ。この聖獣の身体を乗っ取り、この世界へ入り込むのが本来の、いや、本当の目的であっただろうが、私の目までは誤魔化せぬ!』

 女神がそう告げると、黒百合の身体から何かしらの薄いもやのようなモノが抜け、蒸発していった。

『済まん、黒百合。お前が狙われる可能性を当初より、低く考えていた。愛し子の近くにいて、私の所へ入り込むのに最適な駒扱いをされたのだから。ナーオ・ロウの弟子と交代して、休息するがいい。』

 女神が言い終わると、女神の膝の上から、黒百合が消え、その代わりに2匹の子猫が現れた。

 どちらも小さく真っ黒な猫、その大きさはまだ子猫のような姿であった。長いしっぽには紫色のリボンと白いリボンをちょうちょ結びにして、それぞれ付けていた。

「呼んだー?」と、紫のリボンをしっぽに付けた子猫が。
「呼ばれたぁ?」と、白いリボンをしっぽに付けた子猫が、それぞれに返事をした。

『黒牡丹に、黒ダリア。2人を呼んだのだ。黒百合を休息させないとならなくなったのだ。』

「ユリ姉、入り込まれたのー?」と、紫のリボンの黒牡丹が返事をした。
「ユリねえ、疲れてたんでしょーぉ。だからぁ、入り込まれる隙が出来たぁ。」へにゃっとした様子で、白いリボンの黒ダリアが返事をした。

『国の方は、黒ビオラと黒薔薇が見ているのだろう?』

「バーラちゃんと、ビーちゃんが見てるからー、大丈夫ー。」「ねー!あの2人がいれば、問題ないよぉ。ユリねえの面倒も見れるからぁ。あ、違った!看病も出来るからぁ。」

 2人は顔を見合わせて、了承した。

「「ねー!」」と。

『では、2人にはユーイの側に黒百合の代わりに付いてくれるよう、私からの仕事を依頼する。』

「任されたー。」と、元気に答えた黒牡丹。「任して下さいなぁ。」と、鼻息荒い黒ダリア。

 顔を見合わせて、力強く「「ねー!!」」と返事をしたので、女神も安心したようだ。

『ただ、今は、愛し子は番との時間を過ごしているのでな、一緒の魔馬車内にいる王太后の元へ事情説明がてら、私が2人を送ろう。』

「「はーい!!」」

 2人は、王太后の元へ送られ、女神からの説明と言う名の最低限の事情を告げられたのちに、魔馬車内にはその本当の事情を話さぬようにしたのだった。

 表向きの事情として、黒百合は国での急用が出来、急遽、挨拶もなく帰国したので、その弟子が代わりに同行するようになったのだとの説明がされたのだった。

 ナーオ・ロウの魔馬車内で、密かに2人の子猫聖獣達のお披露目が行われた。

 これには、寝室に籠ってムフフな状態の王太子と王太子妃以外が、新しい癒しが来たと大歓迎し、この事を知らぬのは、王太子のショウと王太子妃のユーイだけになった。
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