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番外編・すいーと・ぱにっく

プロローグ

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森。
 それは、生命の宝庫。
 太陽の光を求めて木々が聳え立ち、草木が茂る。虫は葉を食べ、甘い蜜を求めて花々の間を飛び回る。それを鳥が啄み、落ちた果実を動物が食べる。それを食すのは肉食獣だ。
 そして、それらとは一線を画し、生態系の頂点に立つのは魔物だ。
 魔物の始まりは、魔素が生態系に影響を及ぼしたのが原因ではないかと言われている。
 最初は動物ばかりの森だったが、どこからか魔物が現れれば、あっという間にその森は魔物だらけの森へと変わってしまう。魔物ではない生物は、虫や鳥、小動物のみとなってしまうのだから、魔物は恐ろしい。
 そして、魔物は人間を――魔力をより多く持つ生物を好んで食べる。
 それは魔核という魔力を多分に含む心臓を持つからだ。
 魔物は普段は他種族の魔物を食べるが、一度人間が縄張りに入ればそちらを優先して襲う。何故なら、本能で魔物より人間の方が弱いと知っているからだ。
 さて、そうやって増えてきた魔物だが、やはり彼等にもヒエラルキーというものがある。
 力の大きい者、体の大きい者が頂点に立ちやすいが、それがひっくり返る場合がある。
 それが、集団。

 群れであった。



   ***



 辺りが一望できる草原の丘の、爽やかな朝。
 ネモとあっくんは朝食を摂るため、大きな岩に腰を下ろしていた。
 あっくんはネモから半分に割った丸パンに、バターと蜂蜜がたっぷりつけてもらい、それを受け取る。
最近のあっくんのマイブームは、蜂蜜だ。
とろりと甘い黄金色の蜜が、バターの塩気とマッチして、大変素晴らしいハーモニーを奏でている。
 うっとりとしながら食べていると、ネモが蜂蜜壺をのぞき込み、呟いた。

「あらら。あっくん、蜂蜜、それで最後だわ」
「きゅきゃっ!?」
 
 ガーン‼
 バックにそんな擬音が流れそうな分かりやすい顔をするあっくんに、ネモは笑う。

「あはは! あっくんたら! 町に着いたら新しいのを買うから、ちょっとの我慢よ」
「きゅ~……」

 無い物は仕方ない。
 あっくんは涙目になりながら、大切に蜂蜜バターパンを味わった。

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