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辺境編
第四話 ダンジョン
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ダンジョンの情報を得た一行は、取り合えず内部を見てみようとダンジョンの入口へ向かった。
「では、伯父上は基本的に戦闘行為には参加せず、防御に徹するという事で」
「分かってるわよぅ……」
セスの言葉に、ルシアンがバツの悪そうな表情で了承の意を返す。
ルシアンは強い。そして、『殲滅公』の名に相応しく、広範囲に渡る攻撃魔法が得意なのだ。このダンジョンは、ただでさえ規模が大きくなりそうだと分かっているのに、テンションが上がったルシアンにドカンとやられて、更に大きくなられたら困るのだ。ダンジョンは大きくなればなるほど、管理にかかる手間も費用も大きくなるのである。
「は~……。じゃ、行くわよ」
大きなため息を一つ吐き、テンション低く領主一行はダンジョンへ入って行った。
ダンジョンの中は薄暗いが、ヒカリゴケやヒカリ茸といった植物が薄っすらと辺りを照らしていた。
ダンジョンは不思議な事に全くの暗闇という事は無く、何かしら周囲を照らす鉱石や植物が存在し、専門家の見解では、ダンジョンが外からやってくる獲物を何度もおびき寄せるための物の一つだろう、との事である。
さて、そんなダンジョンを一行はサクサクと進んでいく。
飛び出したゴブリンを一太刀の元に首を落とし、襲ってくるホーンラビットを串刺しにする。
流石元からダンジョンを抱える領主付きの騎士や兵士と言うべきか、手慣れた様子で魔物を狩り、それを回収していく。
上層階は不安など欠片も感じず、ルシアンはもちろんのこと、セスも何もせずに終わり、セーフポイントと呼ばれる魔物の湧かない階層へと辿り着いた。
騎士や兵士達が装備をチェックするなか、ここまで守られて、装備の減りようがないセスとルシアンはポツポツと雑談をする。
「第一セーフポイントは七階層なのね」
そこは、ダンスホール位の広さの何もない空間だった。冒険者らしき人間が数組居るが、チラチラとこちらを見て来るだけで、話しかけてこようとはしない。
「他のダンジョンは違うのですか?」
セスの言葉に、ルシアンは頷く。
「うちの領にあるダンジョンは五階層ずつだけど、未だに最下層が判明しない世界最大級と言われているダンジョンは三十五階層までは七階層ずつで、その後は五階層ずつらしいわ」
何とも言えない一致である。
「……ここ、どれだけ深くなるんでしょう?」
「さあね……」
規模の大きなダンジョンになるだろうとは聞いたが、まさかその世界最大級レベルになるのではないだろうかという不安が頭をもたげる。
騎士や兵士達の装備チェックに終わりが見え、セスがそろそろかと姿勢を正したとき、ルシアンがポツリと呟いた。
「まあ、貴方なら、ここが何階層あるかは分かるんじゃない?」
思わず身を固くしたセスに、ルシアンがにんまりと笑い、肩を叩く。
「さ、そろそろ行くわよ」
スタスタと歩いて行くルシアンの背を見つめ、セスは呟く。
「やられた……」
セスは、ルシアンに己の特殊スキルを把握され、今まさに確信を持たせてしまった事に気付き、苦々しい顔で呻いた。
ルシアンは、恐らくセスの性格や行動から、特殊スキルは知識系統だと辺りを付けていたのだろう。特殊スキルは、本人の性質から派生するので、その辺はセスも把握されているだろうとは思っていたが、ここまで核心に迫られるとは思わなかったのだ。
十中八九、ルシアンはセスの特殊スキルを『鑑定』系統だと確信している。それも、ダンジョンを『鑑定』出来る程の規格外の代物であると。
ルシアンの予想は、大体当たっている。しかし、正解ではない。確かに多くの情報を得ることが出来るスキルではあるが、力を持たない者が持てば、すぐさま身の破滅を迎える厄介なものだったのだ。
そんな特殊スキルなものだから、セスは幼少期にそれはもう苦労した。自分の持つスキルが他者に知られたら、ただでは済まないと簡単に予想できたからだ。
そんな、情報管理の大切さ、難しさで胃を痛めた幼少期は、セスに今でも疲労を思い起こさせる程に張り詰めた毎日だった。
そんなセスの特殊スキルだが、不幸中の幸いなのは、ルシアンが『鑑定』から派生するスキルだと思っている事だろう。
「さて、どうしたものか……」
つまり、まだ誤魔化しが効くという事だった。
※ ※ ※
現在、ダンジョンの第三セーフポイントである二十一階層にセス達は居た。
騎士や兵士達はそれはもう優秀で、セスはもちろんの事、ルシアンが手を出す隙を与えなかった。
「アタシだって時と場合くらい弁えて力を振るえるわよぅ……」
ルシアンが不貞腐れた様子で思わずそう呟くほど、彼等の仕事は完璧だった。しかし、時間は有限で、疲労も溜まる。凄まじいハイペースで此処まで来たが、そろそろ帰ろうという事になった。
そうして準備する面々を眺めながら、ルシアンがそっとセスに尋ねた。
「で、このダンジョンって全部で何階層あるの?」
セスが知っていると確信をもって尋ねられたその内容に、セスは一つ溜息を吐き、答えた。
「……今のところ、七十二階層ですね。副ギルドマスターの予想が正しければ、まだ増えるかもしれませんが」
セスの答えを聞いて、ルシアンはしばし呆然とした後、目元を手で覆い、天を仰いだ。
「嘘でしょ……、でかすぎる……」
此処までの規模のダンジョンは、世界でも上から数えた方が早い大きさである。しかも、まだ大きくなるという予想まであり、ルシアンは今後のダンジョンの管理について増加するだろう仕事の量を思い、頭を抱えるのであった。
「では、伯父上は基本的に戦闘行為には参加せず、防御に徹するという事で」
「分かってるわよぅ……」
セスの言葉に、ルシアンがバツの悪そうな表情で了承の意を返す。
ルシアンは強い。そして、『殲滅公』の名に相応しく、広範囲に渡る攻撃魔法が得意なのだ。このダンジョンは、ただでさえ規模が大きくなりそうだと分かっているのに、テンションが上がったルシアンにドカンとやられて、更に大きくなられたら困るのだ。ダンジョンは大きくなればなるほど、管理にかかる手間も費用も大きくなるのである。
「は~……。じゃ、行くわよ」
大きなため息を一つ吐き、テンション低く領主一行はダンジョンへ入って行った。
ダンジョンの中は薄暗いが、ヒカリゴケやヒカリ茸といった植物が薄っすらと辺りを照らしていた。
ダンジョンは不思議な事に全くの暗闇という事は無く、何かしら周囲を照らす鉱石や植物が存在し、専門家の見解では、ダンジョンが外からやってくる獲物を何度もおびき寄せるための物の一つだろう、との事である。
さて、そんなダンジョンを一行はサクサクと進んでいく。
飛び出したゴブリンを一太刀の元に首を落とし、襲ってくるホーンラビットを串刺しにする。
流石元からダンジョンを抱える領主付きの騎士や兵士と言うべきか、手慣れた様子で魔物を狩り、それを回収していく。
上層階は不安など欠片も感じず、ルシアンはもちろんのこと、セスも何もせずに終わり、セーフポイントと呼ばれる魔物の湧かない階層へと辿り着いた。
騎士や兵士達が装備をチェックするなか、ここまで守られて、装備の減りようがないセスとルシアンはポツポツと雑談をする。
「第一セーフポイントは七階層なのね」
そこは、ダンスホール位の広さの何もない空間だった。冒険者らしき人間が数組居るが、チラチラとこちらを見て来るだけで、話しかけてこようとはしない。
「他のダンジョンは違うのですか?」
セスの言葉に、ルシアンは頷く。
「うちの領にあるダンジョンは五階層ずつだけど、未だに最下層が判明しない世界最大級と言われているダンジョンは三十五階層までは七階層ずつで、その後は五階層ずつらしいわ」
何とも言えない一致である。
「……ここ、どれだけ深くなるんでしょう?」
「さあね……」
規模の大きなダンジョンになるだろうとは聞いたが、まさかその世界最大級レベルになるのではないだろうかという不安が頭をもたげる。
騎士や兵士達の装備チェックに終わりが見え、セスがそろそろかと姿勢を正したとき、ルシアンがポツリと呟いた。
「まあ、貴方なら、ここが何階層あるかは分かるんじゃない?」
思わず身を固くしたセスに、ルシアンがにんまりと笑い、肩を叩く。
「さ、そろそろ行くわよ」
スタスタと歩いて行くルシアンの背を見つめ、セスは呟く。
「やられた……」
セスは、ルシアンに己の特殊スキルを把握され、今まさに確信を持たせてしまった事に気付き、苦々しい顔で呻いた。
ルシアンは、恐らくセスの性格や行動から、特殊スキルは知識系統だと辺りを付けていたのだろう。特殊スキルは、本人の性質から派生するので、その辺はセスも把握されているだろうとは思っていたが、ここまで核心に迫られるとは思わなかったのだ。
十中八九、ルシアンはセスの特殊スキルを『鑑定』系統だと確信している。それも、ダンジョンを『鑑定』出来る程の規格外の代物であると。
ルシアンの予想は、大体当たっている。しかし、正解ではない。確かに多くの情報を得ることが出来るスキルではあるが、力を持たない者が持てば、すぐさま身の破滅を迎える厄介なものだったのだ。
そんな特殊スキルなものだから、セスは幼少期にそれはもう苦労した。自分の持つスキルが他者に知られたら、ただでは済まないと簡単に予想できたからだ。
そんな、情報管理の大切さ、難しさで胃を痛めた幼少期は、セスに今でも疲労を思い起こさせる程に張り詰めた毎日だった。
そんなセスの特殊スキルだが、不幸中の幸いなのは、ルシアンが『鑑定』から派生するスキルだと思っている事だろう。
「さて、どうしたものか……」
つまり、まだ誤魔化しが効くという事だった。
※ ※ ※
現在、ダンジョンの第三セーフポイントである二十一階層にセス達は居た。
騎士や兵士達はそれはもう優秀で、セスはもちろんの事、ルシアンが手を出す隙を与えなかった。
「アタシだって時と場合くらい弁えて力を振るえるわよぅ……」
ルシアンが不貞腐れた様子で思わずそう呟くほど、彼等の仕事は完璧だった。しかし、時間は有限で、疲労も溜まる。凄まじいハイペースで此処まで来たが、そろそろ帰ろうという事になった。
そうして準備する面々を眺めながら、ルシアンがそっとセスに尋ねた。
「で、このダンジョンって全部で何階層あるの?」
セスが知っていると確信をもって尋ねられたその内容に、セスは一つ溜息を吐き、答えた。
「……今のところ、七十二階層ですね。副ギルドマスターの予想が正しければ、まだ増えるかもしれませんが」
セスの答えを聞いて、ルシアンはしばし呆然とした後、目元を手で覆い、天を仰いだ。
「嘘でしょ……、でかすぎる……」
此処までの規模のダンジョンは、世界でも上から数えた方が早い大きさである。しかも、まだ大きくなるという予想まであり、ルシアンは今後のダンジョンの管理について増加するだろう仕事の量を思い、頭を抱えるのであった。
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