24 / 45
辺境編
第三話 ダンジョン前テント村
しおりを挟む
セス達一行は、突貫工事でなんとか形にした凸凹した道を走る。ダンジョンへ向かう道はどうにか敷いたらしいが、平面への慣らしはまだ終っていなかった。
しかし、それでも人の出入りは有るらしく、人の足跡が多数確認できた。
騎士を先頭にして走る一行は、大した苦も無く馬よりも早く焼けた森の中を走り抜ける。
ルシアンの地位的に、馬車か馬を用意させても良かったのだが、身体強化で走った方が早いと言って、自分の足での移動になったのだ。
そして、ダンジョンの近くの開けた場所が見えてくると、スピードを落とし、足を止めた。
足を止めた先に在ったのは、多数のテントが張ってあるキャンプ村だった。
目を丸くするセスに、ルシアンが教えてくれた。
「目敏い冒険者はもうダンジョンへ入ってるのよ。出来たばかりのダンジョンは危険も有るけど、情報料が貰えるし、初期は魔物の氾濫の名残なのか、上層にそれなりに魔物が残ってるから中級以上の冒険者には美味しい狩場らしいわ」
肩をすくめ、ルシアンが示した先には一際大きなテントが張ってあった。
「あの一番大きなテントは冒険者ギルドのテントよ。あそこでダンジョンの情報や、魔物の素材の買取をしているわ」
そう言って、その冒険者ギルドのテントへ向かって歩き出す。
「どれくらい情報が集まったかは分からないけど、取り合えず魔物の傾向くらいは分かってるでしょ。聞いておきましょう」
そうして、一行は冒険者ギルドのテントへ足を踏み入れた。
※ ※ ※
ギルドのテント内には、数人のギルド職員と、冒険者が居た。中でもひときわ目立つのは、ギルド職員の制服を着た巨漢の狼の獣人だ。
その巨漢はこちらに目を留めると、げっ、とでも言うかのように顔を顰め、コソコソと逃げる素振りを見せたので、麗しの伯父上がそれはもうイイ笑顔を浮かべ、彼を呼び止めた。
「バルトちゃ~ん。ちょっと、いらっしゃ~い」
「うっ……。ハイ、領主様……」
しぶしぶ寄ってきた巨漢に、セス達は苦笑を溢す。
「セス、この子は副ギルド長のバルト・ガラン。この子には貸しがいっぱいあるから、こき使ってやりなさい」
「勘弁してくれ……」
バルドは情けない顔をしてそう溢したが、異論は無いらしい。外見年齢が四十代くらいのバルドに対し、どう見ても二十代後半くらいの若い外見のルシアンが年上ぶって話しているのに少しばかりの違和感があるが、実のところ、その態度は間違ってはいない。
ルシアンの実年齢は、百十八歳なのである。魔族は長命で、更に自身が持つ魔力量によって寿命が変化する種族なのだ。よって、ルシアンはその年齢でも若い体を保っている。
「はぁ……。それで、領主様。何の御用ですか?」
疲れた様子でそう言うバルトに、ルシアンは面白そうに笑う。
「ふふ。ダンジョンの今集まってる情報を知りたいのよ。魔物の傾向位は分かってるんでしょ?」
「ああ、成る程……」
バルトはそう言うと、ウエストバックから書類の束を取り出した。どうやら、ウエストバックは魔法袋らしい。
「これは領主様への提出分の現段階の分かっているダンジョンの情報です。そろそろ提出に行こうと思ってたんで、丁度良かったですね」
そう言ってバルトは書類をルシアンに渡し、ルシアンはそれに目を通す。
「あら、珍しいわね。このダンジョン、マルチ型なのね」
ダンジョンという物は、凡そ湧いて出て来る魔物の傾向が決まっている。その為、あらゆる種類の魔物が湧くダンジョンは珍しいものだった。
「はい。それと、マルチ型のダンジョンは規模がでかくなる傾向があります。今のところ、十七階層まであるのは確認してますが、どうにも、最下層はもっと深くなりそうです」
それを聞き、ルシアンは目を丸くした。
現在辺境にある二つのダンジョンは、十八階層と二十三階層までしかないのだ。しかし、バルトの言いようから、今回のダンジョンは、もっと深く、規模の大きいものになりそうだという事が分かった。
「それから、どうにもこのダンジョンは、まだ成長を続けている可能性があります」
「えっ!?」
どういう事かと尋ねれば、バルトは少し言いにくそうにしながらも、告げた。
「恐らく、危機感を感じたのではないかと……」
「危機感?」
疑問符を飛ばす一同に、バルトは説明する。
「ダンジョンは超大型の魔物である、という説を聞いた事は?」
「ああ、有るわね。確か、ダンジョンの心臓をも言えるダンジョンコアを魔物の心臓である魔核と見て、魔物を生み出す様から、そういう魔物であるという、アレね」
ルシアンの披露した知識に肯定の意を込めて、バルトが頷く。
「今回、このダンジョンの発見は魔物の氾濫から始まり、そして、それを領主様がそれを殲滅する事で治めたわけですが……」
その言葉を聞き、ルシアンを除く一同が何か気付いた様子でルシアンに視線を向けた。
「その殲滅をダンジョンも察知し、危機感を抱いたらしく、最下層にあるダンジョンコアが、さらに深く、奥へと潜り始めた様です」
一同の視線がじっとりとルシアンに突き刺さり、ルシアンはその視線から逃れるように視線を明後日の方向へ投げ、目を合わせようとはしなかった。
しかし、それでも人の出入りは有るらしく、人の足跡が多数確認できた。
騎士を先頭にして走る一行は、大した苦も無く馬よりも早く焼けた森の中を走り抜ける。
ルシアンの地位的に、馬車か馬を用意させても良かったのだが、身体強化で走った方が早いと言って、自分の足での移動になったのだ。
そして、ダンジョンの近くの開けた場所が見えてくると、スピードを落とし、足を止めた。
足を止めた先に在ったのは、多数のテントが張ってあるキャンプ村だった。
目を丸くするセスに、ルシアンが教えてくれた。
「目敏い冒険者はもうダンジョンへ入ってるのよ。出来たばかりのダンジョンは危険も有るけど、情報料が貰えるし、初期は魔物の氾濫の名残なのか、上層にそれなりに魔物が残ってるから中級以上の冒険者には美味しい狩場らしいわ」
肩をすくめ、ルシアンが示した先には一際大きなテントが張ってあった。
「あの一番大きなテントは冒険者ギルドのテントよ。あそこでダンジョンの情報や、魔物の素材の買取をしているわ」
そう言って、その冒険者ギルドのテントへ向かって歩き出す。
「どれくらい情報が集まったかは分からないけど、取り合えず魔物の傾向くらいは分かってるでしょ。聞いておきましょう」
そうして、一行は冒険者ギルドのテントへ足を踏み入れた。
※ ※ ※
ギルドのテント内には、数人のギルド職員と、冒険者が居た。中でもひときわ目立つのは、ギルド職員の制服を着た巨漢の狼の獣人だ。
その巨漢はこちらに目を留めると、げっ、とでも言うかのように顔を顰め、コソコソと逃げる素振りを見せたので、麗しの伯父上がそれはもうイイ笑顔を浮かべ、彼を呼び止めた。
「バルトちゃ~ん。ちょっと、いらっしゃ~い」
「うっ……。ハイ、領主様……」
しぶしぶ寄ってきた巨漢に、セス達は苦笑を溢す。
「セス、この子は副ギルド長のバルト・ガラン。この子には貸しがいっぱいあるから、こき使ってやりなさい」
「勘弁してくれ……」
バルドは情けない顔をしてそう溢したが、異論は無いらしい。外見年齢が四十代くらいのバルドに対し、どう見ても二十代後半くらいの若い外見のルシアンが年上ぶって話しているのに少しばかりの違和感があるが、実のところ、その態度は間違ってはいない。
ルシアンの実年齢は、百十八歳なのである。魔族は長命で、更に自身が持つ魔力量によって寿命が変化する種族なのだ。よって、ルシアンはその年齢でも若い体を保っている。
「はぁ……。それで、領主様。何の御用ですか?」
疲れた様子でそう言うバルトに、ルシアンは面白そうに笑う。
「ふふ。ダンジョンの今集まってる情報を知りたいのよ。魔物の傾向位は分かってるんでしょ?」
「ああ、成る程……」
バルトはそう言うと、ウエストバックから書類の束を取り出した。どうやら、ウエストバックは魔法袋らしい。
「これは領主様への提出分の現段階の分かっているダンジョンの情報です。そろそろ提出に行こうと思ってたんで、丁度良かったですね」
そう言ってバルトは書類をルシアンに渡し、ルシアンはそれに目を通す。
「あら、珍しいわね。このダンジョン、マルチ型なのね」
ダンジョンという物は、凡そ湧いて出て来る魔物の傾向が決まっている。その為、あらゆる種類の魔物が湧くダンジョンは珍しいものだった。
「はい。それと、マルチ型のダンジョンは規模がでかくなる傾向があります。今のところ、十七階層まであるのは確認してますが、どうにも、最下層はもっと深くなりそうです」
それを聞き、ルシアンは目を丸くした。
現在辺境にある二つのダンジョンは、十八階層と二十三階層までしかないのだ。しかし、バルトの言いようから、今回のダンジョンは、もっと深く、規模の大きいものになりそうだという事が分かった。
「それから、どうにもこのダンジョンは、まだ成長を続けている可能性があります」
「えっ!?」
どういう事かと尋ねれば、バルトは少し言いにくそうにしながらも、告げた。
「恐らく、危機感を感じたのではないかと……」
「危機感?」
疑問符を飛ばす一同に、バルトは説明する。
「ダンジョンは超大型の魔物である、という説を聞いた事は?」
「ああ、有るわね。確か、ダンジョンの心臓をも言えるダンジョンコアを魔物の心臓である魔核と見て、魔物を生み出す様から、そういう魔物であるという、アレね」
ルシアンの披露した知識に肯定の意を込めて、バルトが頷く。
「今回、このダンジョンの発見は魔物の氾濫から始まり、そして、それを領主様がそれを殲滅する事で治めたわけですが……」
その言葉を聞き、ルシアンを除く一同が何か気付いた様子でルシアンに視線を向けた。
「その殲滅をダンジョンも察知し、危機感を抱いたらしく、最下層にあるダンジョンコアが、さらに深く、奥へと潜り始めた様です」
一同の視線がじっとりとルシアンに突き刺さり、ルシアンはその視線から逃れるように視線を明後日の方向へ投げ、目を合わせようとはしなかった。
12
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる