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二章 新しい生活の始まり
【コミカライズ記念&応援SS】前日
これは物語が始まる前日の話。
その夜、アマダンの街には浮かれた雰囲気が漂っていた。
今日、この街を拠点にしている冒険者パーティー・暁の光が、王国で最も優秀なパーティーを示す称号『勇者』を得たのだ。
多数の魔獣の森を管理しているこの街では、冒険者の存在は好意的に受け入れられている。
街全体で浮かれるのも仕方がない事だろう。
「ご飯だよー」
そんな雰囲気の中、ロアはいつも通りに過ごしていた。
屋敷の母屋の方では祝宴が開かれているが、ロアには関係ない。最初から参加資格は無いものとして扱われているし、準備の手伝いすらさせてもらえなかった。
おまけにウロウロして迷惑をかけるなとまで言われてしまっていた。
「今日はごちそうだからね!」
従魔舎に従魔たちの夕食を運びながら、笑顔で声をかける。
同じ屋敷に住んでいながら祝宴に招かれていないのは、従魔たちも同じだった。
「ばう!」
「ばう!」
双子の魔狼が寝床から飛び出して駆け寄ってくる。
嬉しそうなその姿に、ロアは目を細めた。
ロアは双子の前に大きな器を一つ置く。器の中は大鴨を丸ごと焼いたものだ。腹に香草と穀類を詰め、皮がパリパリになるまでオーブンで焼いたものだった。
その横には薄く味付けされた茹で野菜が盛りつけられている。
こういった大きな塊の場合、双子はそれぞれに取り分けてあるものより、一つの器で分け合いながら食べる方が好きだった。
「さて……」
グリおじさんの所にも同じ物を持っていこうとした時に、ロアは刺すような視線に気付いた。
怒っているような、物言いたげな視線が絡み付いてくる。
「……そんな目で見ても野菜は減らさないよ?」
普通の人間であれば怯えて腰が抜けてしまうような視線を、ロアは笑顔で軽く受け流す。
視線の主はグリおじさんだ。ロアが言葉をかけたにもかかわらず、微動だにしない。
真っ直ぐに見つめる視線は、『そんなことを言っているのではない』と言いたげで、ロアは少し戸惑った。
ヒュイッと小さく短く鳴き、嘴の先で自分の目の前を指す。それは自分の前に来いという意味だ。
「いったい何?」
ロアは困惑しながらも、グリおじさんの前に立った。わがままを言うのはいつもの事だが、こんな態度は滅多に無い。
グリおじさんはロアをじっと見つめる。
じっくりと見つめ、ロアに向かって首を伸ばした。
クルルルルルと、優しく喉を鳴らす。
それから、そっとその頭をロアの頬に寄せた。
「ちょっと……」
ゆっくりと、頬ずりされる。柔らかな羽毛から、グリおじさんの温かい体温が伝わってきた。
頬ずりされるのは久しぶりだった。
昔はよくやってくれたのに、双子が来てからは照れ臭いのか、なかなかやってくれない。
ロアの方から首を抱き、無理やりしても、双子の目があると嫌がって振りほどかれるくらいだった。
「……慰めてくれるんだね。ごめんね」
怒ったような視線と頬ずりの意味を、ロアは理解した。
ここのところロアはずっと不安を抱えていた。
暁の光が力をつけて有名になっていく中で、ロアは何も貢献できていないと思っていた。
このままだといずれはパーティーを追い出されてしまうだろう。
その不安は、今日、暁の光が勇者パーティーになったことでさらに大きくなっていた。
それを隠し、むりやり笑顔を作っていたことをグリおじさんは怒っていたのだ。自分たちの前でまで無理をするなと言いたかったのだろう。
そして、そんなロアを優しく慰めてくれた。
「ありがとう。がんばるから」
ロアはグリおじさんの首に手を回すと、強く抱きしめた。
この後、グリおじさんは双子の魔狼から盛大に冷やかされるのだが、それはまた別の話……。
※ ※ ※ ※
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
本日、5/30(木) 12:00より「追い出された万能職に新しい人生が始まりました」のコミカライズが始まります。
https://www.alphapolis.co.jp/manga/official/852000274
ロア「同じ魔法薬でも環境によって素材や作成方法を変えるのは当然じゃないですか?同じな方が変じゃないですか?」
東堂「そうですよねー!……でも環境に合わせるってどうやるんだろ?」
ということで、私は漫画に最適な素材や作成方法がまったく分からないため、信頼できる専門家の編集様と宇崎鷹丸様にお任せしてしまいました。
小説と少し違った漫画版の「追い出された万能職に新しい人生が始まりました」を楽しんでいただければと思います。
まだ私もまだ未完成原稿までしか読んでいないため、楽しみです。
とりあえず、コラルドさんがハゲカッコイイです!
今後とも、小説、漫画版合わせてよろしくお願いします。
その夜、アマダンの街には浮かれた雰囲気が漂っていた。
今日、この街を拠点にしている冒険者パーティー・暁の光が、王国で最も優秀なパーティーを示す称号『勇者』を得たのだ。
多数の魔獣の森を管理しているこの街では、冒険者の存在は好意的に受け入れられている。
街全体で浮かれるのも仕方がない事だろう。
「ご飯だよー」
そんな雰囲気の中、ロアはいつも通りに過ごしていた。
屋敷の母屋の方では祝宴が開かれているが、ロアには関係ない。最初から参加資格は無いものとして扱われているし、準備の手伝いすらさせてもらえなかった。
おまけにウロウロして迷惑をかけるなとまで言われてしまっていた。
「今日はごちそうだからね!」
従魔舎に従魔たちの夕食を運びながら、笑顔で声をかける。
同じ屋敷に住んでいながら祝宴に招かれていないのは、従魔たちも同じだった。
「ばう!」
「ばう!」
双子の魔狼が寝床から飛び出して駆け寄ってくる。
嬉しそうなその姿に、ロアは目を細めた。
ロアは双子の前に大きな器を一つ置く。器の中は大鴨を丸ごと焼いたものだ。腹に香草と穀類を詰め、皮がパリパリになるまでオーブンで焼いたものだった。
その横には薄く味付けされた茹で野菜が盛りつけられている。
こういった大きな塊の場合、双子はそれぞれに取り分けてあるものより、一つの器で分け合いながら食べる方が好きだった。
「さて……」
グリおじさんの所にも同じ物を持っていこうとした時に、ロアは刺すような視線に気付いた。
怒っているような、物言いたげな視線が絡み付いてくる。
「……そんな目で見ても野菜は減らさないよ?」
普通の人間であれば怯えて腰が抜けてしまうような視線を、ロアは笑顔で軽く受け流す。
視線の主はグリおじさんだ。ロアが言葉をかけたにもかかわらず、微動だにしない。
真っ直ぐに見つめる視線は、『そんなことを言っているのではない』と言いたげで、ロアは少し戸惑った。
ヒュイッと小さく短く鳴き、嘴の先で自分の目の前を指す。それは自分の前に来いという意味だ。
「いったい何?」
ロアは困惑しながらも、グリおじさんの前に立った。わがままを言うのはいつもの事だが、こんな態度は滅多に無い。
グリおじさんはロアをじっと見つめる。
じっくりと見つめ、ロアに向かって首を伸ばした。
クルルルルルと、優しく喉を鳴らす。
それから、そっとその頭をロアの頬に寄せた。
「ちょっと……」
ゆっくりと、頬ずりされる。柔らかな羽毛から、グリおじさんの温かい体温が伝わってきた。
頬ずりされるのは久しぶりだった。
昔はよくやってくれたのに、双子が来てからは照れ臭いのか、なかなかやってくれない。
ロアの方から首を抱き、無理やりしても、双子の目があると嫌がって振りほどかれるくらいだった。
「……慰めてくれるんだね。ごめんね」
怒ったような視線と頬ずりの意味を、ロアは理解した。
ここのところロアはずっと不安を抱えていた。
暁の光が力をつけて有名になっていく中で、ロアは何も貢献できていないと思っていた。
このままだといずれはパーティーを追い出されてしまうだろう。
その不安は、今日、暁の光が勇者パーティーになったことでさらに大きくなっていた。
それを隠し、むりやり笑顔を作っていたことをグリおじさんは怒っていたのだ。自分たちの前でまで無理をするなと言いたかったのだろう。
そして、そんなロアを優しく慰めてくれた。
「ありがとう。がんばるから」
ロアはグリおじさんの首に手を回すと、強く抱きしめた。
この後、グリおじさんは双子の魔狼から盛大に冷やかされるのだが、それはまた別の話……。
※ ※ ※ ※
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
本日、5/30(木) 12:00より「追い出された万能職に新しい人生が始まりました」のコミカライズが始まります。
https://www.alphapolis.co.jp/manga/official/852000274
ロア「同じ魔法薬でも環境によって素材や作成方法を変えるのは当然じゃないですか?同じな方が変じゃないですか?」
東堂「そうですよねー!……でも環境に合わせるってどうやるんだろ?」
ということで、私は漫画に最適な素材や作成方法がまったく分からないため、信頼できる専門家の編集様と宇崎鷹丸様にお任せしてしまいました。
小説と少し違った漫画版の「追い出された万能職に新しい人生が始まりました」を楽しんでいただければと思います。
まだ私もまだ未完成原稿までしか読んでいないため、楽しみです。
とりあえず、コラルドさんがハゲカッコイイです!
今後とも、小説、漫画版合わせてよろしくお願いします。
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