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3章
しおりを挟む「誰……?」
振り返った瞬間、そこに立っていたのは一人の男だった。
黒いマントに身を包み、冷たい光を放つ瞳が私たちをじっと見つめていた。
カイルがすぐに身構え、警戒をしている。
「…待ちなさい、カイル」
私は手を上げて彼を制止した。
相手は明らかに強力な魔力を持っている。
それに、わざわざこの場に現れる者が単なる敵であるとは思えなかった。
「貴方は…」
その男は微笑んだ。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「久しぶりだな、リリアーナ・ベルトワール」
その声に私は驚愕した。
目の前にいるのは、かつての友、そして幼い頃に私を守ってくれた存在――**アーサー**だった。
「アーサー…? なぜここに…?」
「君を守るためだ、リリアーナ。だが、今や君は危険な道を進んでいる。この禁忌の書を手にするということは、王家と対立する覚悟があるということだ」
アーサーの言葉は静かだが、その裏には深い憂慮が感じられた。
彼は、私が何を求めているのか、そしてこの書物が何を意味するのかをすべて理解しているようだった。
「私は…真実を知りたいだけ。私の家が、そして王家がどうしてこうなったのか、その全てを知る必要がある」
私は強い意志を込めて言い返した。たとえ誰が相手であっても、私の決意は揺らがない。
「真実を知るということは、その代償も背負わなければならない。それが君にできるか?」
アーサーの瞳が鋭く光る。彼は本当に私を試しているのだ。
「私は、その代償を背負う覚悟でここにいる。王太子に捨てられた今、私はベルトワール家を守るために、そして自分のために真実を手に入れる」
アーサーは短く息をつき、やがてその表情を緩めた。
「分かった、リリアーナ。君の覚悟を信じよう。だが、俺が見守っていることを忘れるな」
そう言い残すと、アーサーは再び闇の中へと消えていった。
思わぬ再会に、彼の存在が消え去った後も、私はその言葉の余韻を感じていた。
---
「…リリアーナ様、大丈夫ですか?」
カイルが心配そうに問いかけるが、私は微笑んで彼に頷いた。
「ええ、問題ないわ」
私は再び『血統の秘儀』の書に目を落とす。
この本が示す真実は、これからの私の運命を大きく変えるに違いない。
だが、その道は決して簡単なものではないだろう。
---
書を読み進めていくと、本の最後のページには、衝撃的な事実が記されていた。
「王家の血統は、精霊の加護ではなく、魔族との契約によって成り立っている…?」
その言葉を目にした瞬間、私の胸の中に恐怖と興奮が同時に湧き上がった。
これは、王家を根底から覆す事実だ。
「この真実を知った以上、もう後戻りはできないわ…」
私はその本をしっかりと抱え、決意を新たにする。
私の戦いは、今まさに始まったばかりだ。
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