断罪の華は夜に散る

はるまき

文字の大きさ
6 / 8

5章

しおりを挟む

宰相エドワード・レクサルとの対話を終えた後、私たちは新たな挑戦へと歩みを進めることを決意した。

エドワードの支持を得るには、彼が求める「王家を超える力」を証明する必要があった。

しかし、王家を凌駕するにはただの暴露では足りない。
もっと決定的な証拠と、確実な実力を示す必要がある。

「リリアーナ様、次の手はどうお考えですか?」

カイルが静かに問いかける。

彼の瞳には不安の色が見え隠れしていたが、私は冷静な表情で答えた。

「そうね、力については問題ないわ、我がベルトワール家に伝わる秘伝。ーー闇の魔法については、貴方も知っているわね?」
「ええ、もちろんですとも」

カイルが静かに頷いた。

「まず、私たちがすべきことは、魔族との契約の証拠を手に入れること。そして、その証拠をエドワードに見せる。彼が望むのは単なる噂ではなく、王家を揺るがす決定的な証拠よ」

「でも、王家がそれほどまでに慎重に隠してきた証拠をどうやって見つけるつもりですか?」

カイルの質問に、私は微笑んだ。

「王家がいくら慎重でも、長い間秘密を隠し通すことはできないわ。これほど大きな秘密なら特に、ね」

私たちはまず、王家の古い文書や伝承が保管されている「禁書の塔」と呼ばれる場所へ向かうことにした。

その塔には、王国の歴史にまつわる全ての真実が記録されていると言われている。

しかし、その場所は王家の血筋にしか立ち入ることが許されておらず、外部の者にとっては完全に閉ざされていた。


---

夜が明ける前に、私はカイルと共にその禁書の塔へと向かった。

入り口には王家の護衛兵が厳重に警備をしていたが、カイルの巧みな工作で何とか侵入することに成功した。

「リリアーナ様、急ぎましょう。ここで時間をかけすぎると見つかる恐れがあります」

私は頷き、塔の中にある古びた階段を駆け上がった。薄暗い灯りの中、私たちは古い巻物や書物が積み上げられた部屋にたどり着いた。

「ここにあるはずよ…」

私は震える手で古い書物を漁った。

ーーやがて一つの巻物に目を留めた。

それは、王家と魔族の契約の証である、血の刻印が記された、禁忌の文書だった。

「これが…証拠」

その瞬間、背後から重い足音が聞こえた。
振り返ると、そこには鋭い眼差しを持つ一人の男が立っていた。

「見つけたぞ、リリアーナ・ベルトワール」

王家の護衛長官であり、王太子レオナードの右腕とされる男、**ヴァルター**が冷たい笑みを浮かべていた。

彼の手には、鋭く光る剣が握られている。

「これ以上、王家に逆らうつもりなら…お前の命はここで終わりだ」

緊張が一気に高まった。
私は巻物をしっかりと握りしめながら、カイルに目配せをした。

「カイル、行くわよ!」

カイルは頷き、私たちは塔からの脱出を試みた。

ヴァルターの追撃をかわしながら、私たちはなんとか外へと逃げ出すことができたが、背後から追いすがる足音は止まらなかった。

---

私たちは必死に逃げ続け、ついに王都の外れにある安全な隠れ家へとたどり着いた。

息を整えながら、私は巻物を開き、その中に記された真実を確認した。

「これで、エドワードに証拠を見せることができる…」

その時、カイルが苦しそうに肩を押さえているのに気がついた。

彼の服には血が滲んでいた。

「カイル、大丈夫!?」

彼は笑みを浮かべながら、静かに頷いた。

「問題ありません、リリアーナ様。これも…あなたを守るための代償ですから」

私はその言葉に胸が締め付けられる思いだった。だが、今は泣いている場合ではない。私たちの戦いはまだ終わっていない。

---

禁忌の巻物を手に、私は再びエドワードの元へと向かう。王家の秘密を暴き、この腐敗した体制を覆すために――。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...