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5章
しおりを挟む宰相エドワード・レクサルとの対話を終えた後、私たちは新たな挑戦へと歩みを進めることを決意した。
エドワードの支持を得るには、彼が求める「王家を超える力」を証明する必要があった。
しかし、王家を凌駕するにはただの暴露では足りない。
もっと決定的な証拠と、確実な実力を示す必要がある。
「リリアーナ様、次の手はどうお考えですか?」
カイルが静かに問いかける。
彼の瞳には不安の色が見え隠れしていたが、私は冷静な表情で答えた。
「そうね、力については問題ないわ、我がベルトワール家に伝わる秘伝。ーー闇の魔法については、貴方も知っているわね?」
「ええ、もちろんですとも」
カイルが静かに頷いた。
「まず、私たちがすべきことは、魔族との契約の証拠を手に入れること。そして、その証拠をエドワードに見せる。彼が望むのは単なる噂ではなく、王家を揺るがす決定的な証拠よ」
「でも、王家がそれほどまでに慎重に隠してきた証拠をどうやって見つけるつもりですか?」
カイルの質問に、私は微笑んだ。
「王家がいくら慎重でも、長い間秘密を隠し通すことはできないわ。これほど大きな秘密なら特に、ね」
私たちはまず、王家の古い文書や伝承が保管されている「禁書の塔」と呼ばれる場所へ向かうことにした。
その塔には、王国の歴史にまつわる全ての真実が記録されていると言われている。
しかし、その場所は王家の血筋にしか立ち入ることが許されておらず、外部の者にとっては完全に閉ざされていた。
---
夜が明ける前に、私はカイルと共にその禁書の塔へと向かった。
入り口には王家の護衛兵が厳重に警備をしていたが、カイルの巧みな工作で何とか侵入することに成功した。
「リリアーナ様、急ぎましょう。ここで時間をかけすぎると見つかる恐れがあります」
私は頷き、塔の中にある古びた階段を駆け上がった。薄暗い灯りの中、私たちは古い巻物や書物が積み上げられた部屋にたどり着いた。
「ここにあるはずよ…」
私は震える手で古い書物を漁った。
ーーやがて一つの巻物に目を留めた。
それは、王家と魔族の契約の証である、血の刻印が記された、禁忌の文書だった。
「これが…証拠」
その瞬間、背後から重い足音が聞こえた。
振り返ると、そこには鋭い眼差しを持つ一人の男が立っていた。
「見つけたぞ、リリアーナ・ベルトワール」
王家の護衛長官であり、王太子レオナードの右腕とされる男、**ヴァルター**が冷たい笑みを浮かべていた。
彼の手には、鋭く光る剣が握られている。
「これ以上、王家に逆らうつもりなら…お前の命はここで終わりだ」
緊張が一気に高まった。
私は巻物をしっかりと握りしめながら、カイルに目配せをした。
「カイル、行くわよ!」
カイルは頷き、私たちは塔からの脱出を試みた。
ヴァルターの追撃をかわしながら、私たちはなんとか外へと逃げ出すことができたが、背後から追いすがる足音は止まらなかった。
---
私たちは必死に逃げ続け、ついに王都の外れにある安全な隠れ家へとたどり着いた。
息を整えながら、私は巻物を開き、その中に記された真実を確認した。
「これで、エドワードに証拠を見せることができる…」
その時、カイルが苦しそうに肩を押さえているのに気がついた。
彼の服には血が滲んでいた。
「カイル、大丈夫!?」
彼は笑みを浮かべながら、静かに頷いた。
「問題ありません、リリアーナ様。これも…あなたを守るための代償ですから」
私はその言葉に胸が締め付けられる思いだった。だが、今は泣いている場合ではない。私たちの戦いはまだ終わっていない。
---
禁忌の巻物を手に、私は再びエドワードの元へと向かう。王家の秘密を暴き、この腐敗した体制を覆すために――。
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