限りなく白に近い黒

はるまき

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メールでのやりとり

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『誠さん、瑞樹です』
営業後に急いで誠さんにメールを送った。
文字を打つ手が震えて、何度もこれで合ってるよな?と確認してから送信ボタンを押した。

「お疲れ様でした」
「お疲れ様~またよろしくね~」

ママに挨拶をしてからお店を出た。

早朝5時頃の空気はひんやりしていて、薄っすらと湿気が漂っていた。

チラホラと人が歩いてる道をそそくさと歩いてく。朝早いにもか変わらず人の存在があるのは都心部ならではだ。

イアフォンを着けながら街を歩くと自分が主人公になったかのように感じる。

(さしずめ僕は恋愛漫画の主人公かな)

なんて妄想で旨を膨らませては帰路につく間中、返事を期待してそわそわしていた。

ドキドキ…ルンルン…ソワソワ

恋が、始まり出す音がする。

久し振りに恋の切なさを胸に感じた。

(もう、夜遅いし…寝てるよな)

当たり前だけど、返信は来ていなかった。

僕はお気に入りの曲を流しながらとぼとぼと歩いた。






改札を潜り抜けて停車している車両のガラガラの車内に僕はゆっくりと腰を下ろした。バイト後はどっと疲れが押し寄せてくる。このまま眠りにつきたいーーと考えて居るうちに、寝落ちしていた。

ハッと目を覚ますと、最寄駅の2つ前の駅だった。危ない危ない。

それから、駐輪場に停めた自転車で移動をして実家に帰ってからシャワーを浴びて、自室で眠りこけた。

疲れ果てた身体にベットはとても心地が良い。沈みこむように体重を預けて僕は暫くしないうちに眠りに落ちた。




ピピピピ…ピピ

けたたましくアラームが鳴った。僕を起こしたアラームが少し憎い。

変なタイミングで目が覚めてしまったせいか心臓が嫌な感じでばくばくした。

13時、6時間くらいは眠れた。寝惚け眼で着替えて僕は学校に向かった。

(もっと学校の近くに住みたい)

自分が男が好きだということに、ゲイということに悩んでたことがあって、未成年のくせに入り浸っている事があった。

やっと仲間に出会えた醜いアヒルの子のように、悩まなくていいんだって分かって本当に嬉しかった。

その時にお世話になったママにバイトを紹介されてお店で働かせて貰っている。

家から新宿までは30分、家から学校までは40分かかる。

新宿あたりにでも引っ越して一人暮らししたい。




学校に着いて、15時からの講義を受けている所に誠さんから連絡が来た。

『今度会えるかな?…二人きりで』

スマホのメールが届いたという通知を見て、居ても立っても居られなくなり、講義中に携帯を弄って、誠さんに返信した。

『水曜と金曜以外の平日の夜からなら空いてます』

僕はそわそわした気持ちで浮き足立った。そんな気持ちを鎮めようと難しい講義をひたすら真剣に受けた。

授業後には誠さんからのメールが届いていた。

『じゃあ、急だけど明日とか空いてる?僕もちょうど暇してるんだ』

僕はそそくさと
『空いてます!!!!』

とだけ書いて送信した。明日誠さんに会えるんだ。そう思うと胸がぎゅーっと苦しくなった。
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