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まっ、間に合った?
「だ、大丈夫ですか?お怪我はございませんか?」
抱きかかえている私の顔をじっと見つめて何も反応しないリナ様に、不安が押し寄せてくる。
「リ、リナ様?」
「す⋯」
す?
「す、すっ、素敵!フィオナ様がカッコイイ!」
え?
いや、カッコイイって⋯⋯私と貴女は同性ですが?
「カッコよすぎるぅ~」
「い、いえ、お怪我は⋯お身体に異常はありませんか?」
もういいや。
これだけ元気なら大丈夫だよね。
それにしても⋯⋯と、誰もいない階段の上を睨む。
また階段から突き落とそうとするなんて芸がない。
ベルティナ様が誰かに押されたと言うのも、何処を探しても目撃者が居ないのも当然だ。
今回のリナ様もそうだろう。
卑怯な手を使う。
死にものぐるいで鍛えてきたからこそ分かる。
オルセロー嬢の使用している魔法は影だ。
これは黒魔法と呼ばれ、使える者は少ない。
聞いた話だと高度術者になると隠密や諜報活動に使われるらしい。
他には犯罪を犯した者を拘束する時などに使用されるとか⋯⋯
でも⋯⋯あの影、まるで生きているみたいだった。オルセロー嬢が使いこなせるほどの技術があるとは思えない。あの子にはまだ隠された何かがあるのかもしれない。
そして、予想していた通り彼女は無効化も使えた。
なるほどね。
そりゃあ学園内で使用しても引っかからないわけだ。
でも、それほど強くはない。
せいぜい影を通して付与を解除する程度。
前回までのフィオナには、それを弾くだけの力はなかった。
だけど今のフィオナならそんなものは通用しない。タネがわかってしまえばどうってことない。
そんなことよりも⋯⋯これで決定した。彼女は私の親しくしている人を狙っている。
だとしたら、次はエル姉様を狙う?
⋯⋯無理だね。エル姉様には通用しないもの。反対に返り討ちにあうわね。
取り敢えず帰ってからジンとサラにも相談だ。
それにしても飛び級をしてまで接点をなくしても、今回もフィオナを殺したいほど憎むのは何でなんだろう?その理由が何なのかそれだけは気になる。
言い逃れ出来ない状況まで追い込んで、本人に聞くしかないか⋯⋯まあ、その時はとことん追い詰めてやるけどね。
それで精神が壊れたとしても自業自得だ。
「そう」
「なるほどね~」
「無効化か⋯⋯」
「だと思った」
エル姉様、アル兄様、ジン、サラの順に納得した顔をした。
だよね~
よく考えたら無効化が1番しっくりくる。
「分かってるわよね。次に狙われる可能性が高いのはエルあなたよ」
「うふふっ、ええ楽しみだわ」
エル姉様!悪い顔になっているわ!
それからの日々は警戒はしているものの、オルセロー嬢からの接触はないまま夏季休暇に入った。
「だ、大丈夫ですか?お怪我はございませんか?」
抱きかかえている私の顔をじっと見つめて何も反応しないリナ様に、不安が押し寄せてくる。
「リ、リナ様?」
「す⋯」
す?
「す、すっ、素敵!フィオナ様がカッコイイ!」
え?
いや、カッコイイって⋯⋯私と貴女は同性ですが?
「カッコよすぎるぅ~」
「い、いえ、お怪我は⋯お身体に異常はありませんか?」
もういいや。
これだけ元気なら大丈夫だよね。
それにしても⋯⋯と、誰もいない階段の上を睨む。
また階段から突き落とそうとするなんて芸がない。
ベルティナ様が誰かに押されたと言うのも、何処を探しても目撃者が居ないのも当然だ。
今回のリナ様もそうだろう。
卑怯な手を使う。
死にものぐるいで鍛えてきたからこそ分かる。
オルセロー嬢の使用している魔法は影だ。
これは黒魔法と呼ばれ、使える者は少ない。
聞いた話だと高度術者になると隠密や諜報活動に使われるらしい。
他には犯罪を犯した者を拘束する時などに使用されるとか⋯⋯
でも⋯⋯あの影、まるで生きているみたいだった。オルセロー嬢が使いこなせるほどの技術があるとは思えない。あの子にはまだ隠された何かがあるのかもしれない。
そして、予想していた通り彼女は無効化も使えた。
なるほどね。
そりゃあ学園内で使用しても引っかからないわけだ。
でも、それほど強くはない。
せいぜい影を通して付与を解除する程度。
前回までのフィオナには、それを弾くだけの力はなかった。
だけど今のフィオナならそんなものは通用しない。タネがわかってしまえばどうってことない。
そんなことよりも⋯⋯これで決定した。彼女は私の親しくしている人を狙っている。
だとしたら、次はエル姉様を狙う?
⋯⋯無理だね。エル姉様には通用しないもの。反対に返り討ちにあうわね。
取り敢えず帰ってからジンとサラにも相談だ。
それにしても飛び級をしてまで接点をなくしても、今回もフィオナを殺したいほど憎むのは何でなんだろう?その理由が何なのかそれだけは気になる。
言い逃れ出来ない状況まで追い込んで、本人に聞くしかないか⋯⋯まあ、その時はとことん追い詰めてやるけどね。
それで精神が壊れたとしても自業自得だ。
「そう」
「なるほどね~」
「無効化か⋯⋯」
「だと思った」
エル姉様、アル兄様、ジン、サラの順に納得した顔をした。
だよね~
よく考えたら無効化が1番しっくりくる。
「分かってるわよね。次に狙われる可能性が高いのはエルあなたよ」
「うふふっ、ええ楽しみだわ」
エル姉様!悪い顔になっているわ!
それからの日々は警戒はしているものの、オルセロー嬢からの接触はないまま夏季休暇に入った。
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