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オーギュスト王国編
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「うわ~素敵~」
「国が変わっても流石公爵家ね」
「ここがリリーシアが生まれた家か」
上からマリエル、リズベット、レイがミラドール公爵家の門を潜って馬車の中から邸を見上げながら発した。
そうなのだ。この三人観光ではなく、一人で帰らせるのは心配だと私に付いてきてしまったのだ。
もちろん、オーギュスト王国学院にも一緒に編入することが決まっている。
まあ、幼い頃から母親の実家にお世話になっていたからね、父親との関係はお察しだ。
マシェリア王国からオーギュスト王国までは日程にも余裕があり、寄り道をしながら楽しい旅路となった。
屋敷の前で馬車が止まると、大勢の使用人がズラリと並んで出迎えてくれた。中には前回のこの時期には、義母によって首になっていたはずのメイドたちがいた。
でも、その中にお父様の姿は見えない。
最初からお父様が出迎えてくれるなんて期待はしていなかったもの、残念だと思ったり落ち込んだりはしない。
「お帰りなさいませリリーシアお嬢様」
「ただいま帰りました。聞いていると思うけれど、こちらは私と一緒に学院に通う友人たちよ。客間に案内してあげて。もちろん丁重に接してちょうだい」
晩餐までは各自の用意された部屋で過ごすことにし、私も4歳まで使用していた部屋に案内された。
ここまで、義母やべティーの気配は感じない。
⋯⋯本当にお父様はあの母娘を迎え入れていないのだろうか?
前回とは変わっている?
いいえ、安心するのはまだ早い。
でも、前回はべティーがヒロインだからといって、全てを諦めていたけれど冷静になった今回、よく考えたら彼女は本当にヒロインだったのだろうか?
自分の母親が義娘の私に暴力を奮っても笑って見ていた。
お母様の形見だって盗られた。
乙女ゲームのヒロインは清楚で可憐で優しい子だった。
だから最初から婚約破棄はともかく、断罪を避けるためにどんなに辛いことにも我慢に我慢を重ねて笑顔で耐えた。
でも、前回のべティーに優しさなんて一度も感じなかった。
もしかして⋯⋯あの子も私と同じ転生者だったとしたら?
⋯⋯あり得るわね。
べティーは本来の、乙女ゲームのヒロインとは顔と名前が同じでも行動も性格も違い過ぎた。
なんて私は馬鹿なの!
⋯⋯だからと言って、前回の私に何が出来ただろうか?
実の父親は私の存在を無視し、学院には友達すら居なかった。
私を助けてくれるような人は、信じてくれる人は居なかった。
誰もがべティーの言葉だけを信じていた。
だから⋯⋯べティーを虐めたと理由だけで処刑された。
処刑される私を見て皆んな嗤ってた。
おかしい!と、異議を唱える人は誰一人として居なかった。
まるで洗脳か魅了にかかっていたかのように⋯⋯
確かに数百年も前には魔法を使える者たちが居たことは資料にも残っている。
魔法大国と呼ばれていたマシェリア王国には魅了使いも居たらしい。
でもそれは数百年も前のこと。
その当時ですら、魅了使いは危険視され監視対象、もしくは魔法を封じられたと歴史書には残されていた。
当然だよね。魅了の力を持った者が国の中枢、最悪国王や王子を魅了してしまえば傀儡の出来上がり。そうなると国の一つや二つ滅ぼしてしまえるもの。
でもこの国、オーギュスト王国の歴史に魔法なんてものはなかったはずだ。
王子妃教育を受けていた私が知らないはずは無いもの。
晩餐の時間まで少しある。
私は書庫に行って魅了について調べることにした。
「国が変わっても流石公爵家ね」
「ここがリリーシアが生まれた家か」
上からマリエル、リズベット、レイがミラドール公爵家の門を潜って馬車の中から邸を見上げながら発した。
そうなのだ。この三人観光ではなく、一人で帰らせるのは心配だと私に付いてきてしまったのだ。
もちろん、オーギュスト王国学院にも一緒に編入することが決まっている。
まあ、幼い頃から母親の実家にお世話になっていたからね、父親との関係はお察しだ。
マシェリア王国からオーギュスト王国までは日程にも余裕があり、寄り道をしながら楽しい旅路となった。
屋敷の前で馬車が止まると、大勢の使用人がズラリと並んで出迎えてくれた。中には前回のこの時期には、義母によって首になっていたはずのメイドたちがいた。
でも、その中にお父様の姿は見えない。
最初からお父様が出迎えてくれるなんて期待はしていなかったもの、残念だと思ったり落ち込んだりはしない。
「お帰りなさいませリリーシアお嬢様」
「ただいま帰りました。聞いていると思うけれど、こちらは私と一緒に学院に通う友人たちよ。客間に案内してあげて。もちろん丁重に接してちょうだい」
晩餐までは各自の用意された部屋で過ごすことにし、私も4歳まで使用していた部屋に案内された。
ここまで、義母やべティーの気配は感じない。
⋯⋯本当にお父様はあの母娘を迎え入れていないのだろうか?
前回とは変わっている?
いいえ、安心するのはまだ早い。
でも、前回はべティーがヒロインだからといって、全てを諦めていたけれど冷静になった今回、よく考えたら彼女は本当にヒロインだったのだろうか?
自分の母親が義娘の私に暴力を奮っても笑って見ていた。
お母様の形見だって盗られた。
乙女ゲームのヒロインは清楚で可憐で優しい子だった。
だから最初から婚約破棄はともかく、断罪を避けるためにどんなに辛いことにも我慢に我慢を重ねて笑顔で耐えた。
でも、前回のべティーに優しさなんて一度も感じなかった。
もしかして⋯⋯あの子も私と同じ転生者だったとしたら?
⋯⋯あり得るわね。
べティーは本来の、乙女ゲームのヒロインとは顔と名前が同じでも行動も性格も違い過ぎた。
なんて私は馬鹿なの!
⋯⋯だからと言って、前回の私に何が出来ただろうか?
実の父親は私の存在を無視し、学院には友達すら居なかった。
私を助けてくれるような人は、信じてくれる人は居なかった。
誰もがべティーの言葉だけを信じていた。
だから⋯⋯べティーを虐めたと理由だけで処刑された。
処刑される私を見て皆んな嗤ってた。
おかしい!と、異議を唱える人は誰一人として居なかった。
まるで洗脳か魅了にかかっていたかのように⋯⋯
確かに数百年も前には魔法を使える者たちが居たことは資料にも残っている。
魔法大国と呼ばれていたマシェリア王国には魅了使いも居たらしい。
でもそれは数百年も前のこと。
その当時ですら、魅了使いは危険視され監視対象、もしくは魔法を封じられたと歴史書には残されていた。
当然だよね。魅了の力を持った者が国の中枢、最悪国王や王子を魅了してしまえば傀儡の出来上がり。そうなると国の一つや二つ滅ぼしてしまえるもの。
でもこの国、オーギュスト王国の歴史に魔法なんてものはなかったはずだ。
王子妃教育を受けていた私が知らないはずは無いもの。
晩餐の時間まで少しある。
私は書庫に行って魅了について調べることにした。
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