23 / 73
23
はあ?なんで?なんで今さら?
「リリーシアが決めればいいよ」
珍しく片口角の上がっていないクロイツ殿下は私に優しく諭すように言った。
でも⋯⋯私の本心は⋯⋯
「⋯⋯帰りたく⋯ない⋯わ」
だってあそこには私の居場所なんてないもの。
⋯⋯10年以上ここに居た。
お婆様も、伯父様も、ユーリ兄様も、アルト兄様も、皆んなが私を可愛がってくれた。大切にしてくれた。
前回では味わえなかった家族の愛をここで知った。
本音で話せる大好きな友達も、信頼できる仲間も初めてここでできた。
陛下も王妃様も可愛がってくれている。
他国の王族に嫁いで行った王女様は今でも私を気にかけて手紙を送ってくれている。
⋯⋯クロイツ殿下だって、私を怒らせる天才で、いつも意地悪をしてくるけれど嫌いになったことは一度もない。
それに彼は⋯⋯オーギュスト王国まで迎えに来てくれた。
そう、私にとってマシェリア王国は居心地のいい場所だ。
なのに、なぜ今さらオーギュスト王国に帰らなければならないの?
今まで一度も手紙一つ送ってこなかったのに?
「ミラドール公爵⋯⋯リリーシアの父親も君を待っているぞ」
そんなの有り得ないわ!
「そんなはずは⋯ないわ⋯⋯」
「彼は再婚もせずリリーシアの帰りをずっと待っているんだよ」
嘘よ。だってこの時期には既にあの母娘を迎え入れて家族三人で楽しく過ごしていたはずよ。
義母に暴力を受けている私を、見て見ぬふりをして⋯⋯そう、あの人は私の存在すら無視していたわ。
「彼の希望でリリーシアに黙っていたが、彼は毎年十分過ぎる金をリリーシアの生活費にって送ってきていたよ」
え?私に?
クロイツ殿下を信じていない訳ではないけれど、前回を覚えているだけにそれが本当かどうか疑ってしまう。
ああ⋯⋯でも、言われてみれば納得もできてしまった。
そうだ、あの父親は公爵令嬢としての教養を身につけさせるための教師や、身分に相応しい品格を維持するためなら、お金だけは十分に与えていたのだった。
そっか⋯⋯私のためと言うより、オーギュスト王国の王弟としてのプライドや見栄のためだろうね。
そうだよね。あの人は私に興味も関心も一切なかったものね。
まあ、温かい食事と、寝心地のいいベット、高価な宝石やドレスは与えられていたけれど、親が子に向ける愛情は与えられることは最後までなかったわね。
「リリーシア⋯⋯一度帰って腹を割って話し合っておいで。それでも無理なら俺のもとに帰っておいで⋯⋯ぷッ」
珍しく最もらしいことを言っているかと思えば、他人事だと思って巫山戯ている!
「はあ?俺のもと?笑わせないでよ!帰ってくるとしたらガルシア公爵家のもとへよ!」
何だかだとクロイツ殿下と喧嘩腰で話し合いをして、結局はオーギュスト王国⋯⋯ミラドール公爵家に帰ることにしたのだ。
タイミング的には二年生からの進級に合わせて帰国することが決まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
そして、沢山の方にいいねとエールをもらい嬉しい限りです。モチベーションが上がります。ありがとうございます。
明日からはオーギュスト王国編になります。
「リリーシアが決めればいいよ」
珍しく片口角の上がっていないクロイツ殿下は私に優しく諭すように言った。
でも⋯⋯私の本心は⋯⋯
「⋯⋯帰りたく⋯ない⋯わ」
だってあそこには私の居場所なんてないもの。
⋯⋯10年以上ここに居た。
お婆様も、伯父様も、ユーリ兄様も、アルト兄様も、皆んなが私を可愛がってくれた。大切にしてくれた。
前回では味わえなかった家族の愛をここで知った。
本音で話せる大好きな友達も、信頼できる仲間も初めてここでできた。
陛下も王妃様も可愛がってくれている。
他国の王族に嫁いで行った王女様は今でも私を気にかけて手紙を送ってくれている。
⋯⋯クロイツ殿下だって、私を怒らせる天才で、いつも意地悪をしてくるけれど嫌いになったことは一度もない。
それに彼は⋯⋯オーギュスト王国まで迎えに来てくれた。
そう、私にとってマシェリア王国は居心地のいい場所だ。
なのに、なぜ今さらオーギュスト王国に帰らなければならないの?
今まで一度も手紙一つ送ってこなかったのに?
「ミラドール公爵⋯⋯リリーシアの父親も君を待っているぞ」
そんなの有り得ないわ!
「そんなはずは⋯ないわ⋯⋯」
「彼は再婚もせずリリーシアの帰りをずっと待っているんだよ」
嘘よ。だってこの時期には既にあの母娘を迎え入れて家族三人で楽しく過ごしていたはずよ。
義母に暴力を受けている私を、見て見ぬふりをして⋯⋯そう、あの人は私の存在すら無視していたわ。
「彼の希望でリリーシアに黙っていたが、彼は毎年十分過ぎる金をリリーシアの生活費にって送ってきていたよ」
え?私に?
クロイツ殿下を信じていない訳ではないけれど、前回を覚えているだけにそれが本当かどうか疑ってしまう。
ああ⋯⋯でも、言われてみれば納得もできてしまった。
そうだ、あの父親は公爵令嬢としての教養を身につけさせるための教師や、身分に相応しい品格を維持するためなら、お金だけは十分に与えていたのだった。
そっか⋯⋯私のためと言うより、オーギュスト王国の王弟としてのプライドや見栄のためだろうね。
そうだよね。あの人は私に興味も関心も一切なかったものね。
まあ、温かい食事と、寝心地のいいベット、高価な宝石やドレスは与えられていたけれど、親が子に向ける愛情は与えられることは最後までなかったわね。
「リリーシア⋯⋯一度帰って腹を割って話し合っておいで。それでも無理なら俺のもとに帰っておいで⋯⋯ぷッ」
珍しく最もらしいことを言っているかと思えば、他人事だと思って巫山戯ている!
「はあ?俺のもと?笑わせないでよ!帰ってくるとしたらガルシア公爵家のもとへよ!」
何だかだとクロイツ殿下と喧嘩腰で話し合いをして、結局はオーギュスト王国⋯⋯ミラドール公爵家に帰ることにしたのだ。
タイミング的には二年生からの進級に合わせて帰国することが決まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
そして、沢山の方にいいねとエールをもらい嬉しい限りです。モチベーションが上がります。ありがとうございます。
明日からはオーギュスト王国編になります。
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。
全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。
しかも、王妃も父親も助けてはくれない。
だから、私は……。
いくら時が戻っても
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。
庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。
思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは―――
短編予定。
救いなし予定。
ひたすらムカつくかもしれません。
嫌いな方は避けてください。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
全てがどうでもよくなった私は理想郷へ旅立つ
霜月満月
恋愛
「ああ、やっぱりあなたはまたそうして私を責めるのね‥‥」
ジュリア・タリアヴィーニは公爵令嬢。そして、婚約者は自国の王太子。
でも私が殿下と結婚することはない。だってあなたは他の人を選んだのだもの。『前』と変わらず━━
これはとある能力を持つ一族に産まれた令嬢と自身に掛けられた封印に縛られる王太子の遠回りな物語。
※なろう様で投稿済みの作品です。
※画像はジュリアの婚約披露の時のイメージです。
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
あなたの仰ってる事は全くわかりません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。
しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。
だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。
全三話