最初からここに私の居場所はなかった

kana

文字の大きさ
29 / 73
オーギュスト王国編

29

帰ってきた私たちは着替えてから何時ものように談話室に集まった。

「演技女と馬鹿男たちを見ていたら黙っていられなかったのよね」

ああ~終わった⋯⋯⋯⋯
!!
いや、待てよ。
べティーが絡むとしたら恥をかかせられたリズベットよね?
私⋯⋯大丈夫じゃね?
⋯⋯ダメダメ!自分さえ良ければいい!なんてこんな考えはダメよ。
リズベットは大切で大好きな友達だもの。

「でもあの人睨んでいたわよ」

そうなのよ!それが心配なのよ!
きっと何か仕掛けてくるはずよ。

「ああ、気を付けろよリズベット。あの様子じゃあ恨まれてんじゃないか?」

「それならそれで面白いじゃない。彼女が何をしてこようが、わたくしが返り討ちにしてさしあげるわ。ふふふっ」

リズベットがわくわく楽しそうに見えるのは気の所為だよね。まあ確かにリズベットはべティーのように色目を使って男を利用する人が嫌いだものね。
それはリズベットが育った家庭環境が原因だ。

彼女の母親は夫が留守の間に何人もの男を邸に連れ込み関係をもっていたらしい。
男に高価なものを強請り、撓垂れ掛かっている姿を幼いリズベットに見せていたそうだ。
いざ夫にバレた時には『リズベットが将来男を上手く利用出来る子になってもらうために、わたくしが実践して教育していただけよ』とか、巫山戯た寝言を言って追い出されるところまで見ていたそうだ。まあ、どんなもっともらしい理由を言ってもただの浮気だからね。
だから母親に似た行動をする人が男も女も関係なくリズベットは嫌いだし軽蔑している。
それには私も同感だ。

今日はべティーに嫌いな母親が重なったんだと思う。
実際、べティーは嫌いな人や邪魔な人を周りを味方につけ簡単に陥れ排除する。
それに対して彼女には罪悪感がない。
だからこそ、べティーが怖い。



べティーとギリアン殿下よりも一学年下の私が、前回入学した時には既に二人は恋人同士だった。人目もはばからずイチャイチャしていたしね!
それがどうよ!
ギリアン殿下は冷たい態度でべティーを拒絶していた。

まあ、ギリアン殿下の言っていたことは貴族としては間違っていない。
さらに相手が王族ともなれば勝手に触れるなど罪に問われても仕方がない行動をべティーはしていた。
前回はそれがだから許されていただけ。それだって私という婚約者が居なければの話。傍から見ればただの不貞。
それなのに、断罪され殺されたのは婚約者だった私の方。

べティーの取り巻きたちの顔ぶれは前回と変わっていなかった。
前回と今回の違いはギリアン殿下の言動。

べティーが『魅了』の力を持っているかもしれない⋯⋯なんてのは私の勝手な憶測だったかも。
持っていたとしたらギリアン殿下はとっくにべティーに夢中になっていたはずだものね。

彼女たちに関わるつもりはなかったけれど、リズベットに何か仕掛けてくるようなら、そうも言ってられない。

『魅了』どうこうは距離を取りながら要観察ね。

あなたにおすすめの小説

全てがどうでもよくなった私は理想郷へ旅立つ

霜月満月
恋愛
「ああ、やっぱりあなたはまたそうして私を責めるのね‥‥」 ジュリア・タリアヴィーニは公爵令嬢。そして、婚約者は自国の王太子。 でも私が殿下と結婚することはない。だってあなたは他の人を選んだのだもの。『前』と変わらず━━ これはとある能力を持つ一族に産まれた令嬢と自身に掛けられた封印に縛られる王太子の遠回りな物語。 ※なろう様で投稿済みの作品です。 ※画像はジュリアの婚約披露の時のイメージです。

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

いくら時が戻っても

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。 庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。 思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは――― 短編予定。 救いなし予定。 ひたすらムカつくかもしれません。 嫌いな方は避けてください。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

私はあなたの正妻にはなりません。どうぞ愛する人とお幸せに。

火野村志紀
恋愛
王家の血を引くラクール公爵家。両家の取り決めにより、男爵令嬢のアリシアは、ラクール公爵子息のダミアンと婚約した。 しかし、この国では一夫多妻制が認められている。ある伯爵令嬢に一目惚れしたダミアンは、彼女とも結婚すると言い出した。公爵の忠告に聞く耳を持たず、ダミアンは伯爵令嬢を正妻として迎える。そしてアリシアは、側室という扱いを受けることになった。 数年後、公爵が病で亡くなり、生前書き残していた遺言書が開封された。そこに書かれていたのは、ダミアンにとって信じられない内容だった。

愛は全てを解決しない

火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。 それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。 しかしデセルバート家は既に没落していた。 ※なろう様にも投稿中。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。

しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。 全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。 しかも、王妃も父親も助けてはくれない。 だから、私は……。

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。