【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
104 / 122
ウインティア王国編

104

しおりを挟む
「今日のレイは今まで一番綺麗だったよね」

まだ余韻に耽ってうっとりしているエリー。

「ああ、アランも幸せそうだったな」

今日はアランとレイの結婚式があった。
沢山の人に祝福され幸せそうだった。

それよりも俺は隣で式の最初から最後まで泣き続けるエリーの涙と鼻水を拭くのに忙しかった。

俺は腫れたこの顔も可愛いから気にしないのだが、さっき鏡を見たエリーが「こんな顔でルフィの隣にいたらルフィに恥をかかせちゃう」とやっと嬉しいことを言ってくれた。

夜はウォルシュ侯爵家で開かれる結婚披露パーティーが行われる。

今は会場になるウォルシュ侯爵家の使用人総出で準備に取り掛かっているためエリーは身支度を整えに結婚式の後、馬車で俺と一緒に王宮に向かっている。

「私たちもあと2週間で結婚するのね」

俺の肩に頭を乗せてくるエリーが可愛い!
そうなんだよ。エリーは2人きりだと甘えてくるんだよな。

「俺は今すぐにでも結婚したいよ」

2週間が長すぎる。

朝は『おはよう』と一番にエリーの顔を見て挨拶をして、夜は『おやすみ』と1日の最後は抱きしめて寝るんだ。
それが2週間後には現実に出来るようになるなんて夢みたいだ。

明日が結婚式ならよかったのに・・・

「ルフィ、私が貴方を幸せにしてあげるからね」

「・・・エリー」

「その為に私はエリザベート・ウォルシュとして転生してこの世界に生まれてきたのよ」

微笑んで俺を見上げながらそう言ったエリーは、6歳で俺が一目惚れした顔をしていた。

マイにもそう言っていたな。

俺は隣にエリーがいてくれるだけで幸せだ。

「エリー、2人で幸せになろう」

どちらかともなく顔が近づきキスをする。

エリー生まれてきてくれてありがとう。
この国に帰ってきてくれてありがとう。
俺を選んでくれてありがとう。

エリーには感謝の言葉しか浮かばない。

『愛している』





「悪かったって!」

「知らない!」

「エリーごめん!」

「あと2週間ぐらい我慢しなさいよ!」

「・・・はい」

無意識に手が勝手に動くんだよ!

エリーって、怒っていても手は繋いでくれるんだよな。

そんな俺たちを見てエリーの着付けに待機していたメイド達が笑っている。

「後で迎えに来るから・・・」

「・・・」

「エリー?」

「もう少しだけ待ってね・・・私も本当は待ち遠しいの」

そう言って皆んなが見ている前だと言うのにエリーから俺の頬にキスをして急いで部屋に入っていった。

エリーは今頃真っ赤になっていることが予想できて笑ってしまう。

あんなに可愛いエリーが俺の嫁になるんだ!
2週間ぐらい待てるさ!

俺は閨教育は座学と本でしか学んでいないが、先日父上からこっそりと『初級編』『中級編』の2冊を渡された。

「慣れない間はこの2冊で十分だ。まずは初級編からだぞ。分かっているだろうが王妃にもエリー嬢にも見つかるなよ」

これは男親から息子へのプレゼントらしい。

その日の夜から完璧に頭に叩き込んださ。

エリーとはお互い初めて同士だが、俺に任せてくれ!
イメージトレーニングは既に出来ている!

気合を入れた俺に話しかけてきたのはゾルティーだ。

「兄上、変な顔になっていますよ。何を考えているのですか?」

「「どうせ初夜のことでしょ?」」

グレイにザック相変わらずハモっているが、声がデカいんだよ!

「ち、違う!」

「パーティーまでまだ時間がありますから兄上の執務室に行きましょうか」

ああ、あの話か・・・




「マイですが、身体中引っ掻き傷だらけですが、反省の色はありません」

「まだ、男を欲しがっていますね」

「私にも『抱かせてあげるからここから出して』と誘ってきましたからね、風呂も入ってないようで凄い匂いがしていましたよ」

誰が性病持ちを抱きたいと思うんだよ!

牢の中とはいえ平民と同じような食事を三食与えられ、風呂はないが湯が出る環境は与えていたが・・・

「最近は一人でするのも痛みがあるのでしょうね。それでも頑張って慰めていますよ」

凄いなザックお前見たのか?

「兄上、マイはこのままでいいでしょう」

「そうだな。まあ、生涯牢から出す気はないが反省すれば薬ぐらい与えてやったのだがな」

それよりセルティ嬢だ。
麻痺毒を与えられたのは知っているが・・・
アイツも3ヶ月後には処刑される事が決まっている。

「それで、セルティ嬢の今の状態ですが・・・」

ゾルティーが勿体ぶって話した内容に俺は戦慄した。

しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

処理中です...