【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!

kana

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朝、教室まで送ってもらっている所でアリサ様がワザとハンカチを落としたところを兄とジークと一緒に目撃してしまった。

マジ?アリサ様、今タイミングを狙ってハンカチを落としたよね?


だって拾った相手は第三王子のマックス殿下だった。

「落としましたよ」と優しく微笑んでアリサ様に渡す。

「あ!ありがとうございます」頬を染めて上目遣いでマックス殿下を見上げる。

凄いなアリサ様!女優になれるよ!

「あ、あの私・・・」

次のアリサ様の行動を先読みした兄が「殿下こちらへ」と声をかけた。

「アル!」と笑顔でこっちに来るマックス殿下。

そして何故かわたくしを睨むアリサ様の目はあの時のナタリー様を思い出した。

わたくしの肩を抱き寄せながらジークは眉間に皺を寄せてアリサ様を観察している。


「大事なお話しがあります。」

兄からそう言われたマックス殿下は真剣な顔に変わった。

「アル帰りに王宮に寄ってもらおうか。ここでは話せない内容だろ?」

おー凄い!あの甘えん坊だったマックス殿下が立派な王子に育ってる。
感慨深いものがあるわね。

カイザー殿下が幼馴染みなら、もちろんマックス殿下も幼馴染みなんだよね。

とりあえず、今日は兄だけが王宮に行くことになった。

「アリーあの目を見ただろ?本当に気を付けて。ユリア嬢、イザベラ嬢アリーをお願いね」

指輪にキスをして何度も振り向きながら3年の教室に向かった。

わたくしは昨日の出来事と先程見たアリサ様の行動をユリアとイザベラに話した。
さすがに信用している2人だけど、前世のことまでは話せなくて辛い。

2人も彼女あざといわね。
あのナタリー様の妹なだけあるわ。

なんて言っていたけど、睨まれた事を言うと大丈夫よシア!アズール様にも頼まれたけど貴女からは離れないわ!と言ってくれる2人に嬉しくて思わず抱きついてしまった。



帰りはいつものようにジークが教室まで来てくれた。

馬車で送ってくれたジークをお茶に誘った。

最近ではサロンでお茶をするのが日課になっている。

「あのハンカチワザと落としたよ。たぶんマックス殿下も気づいてるね」

「わたくしもそう思います」

「彼女は王子妃を狙ってるの?」

「お兄様の事も狙っていると思う」

「彼女の昨日と今日の行動を見てると、まだ決めつけるのは早いけど転生者の確率が高くなったね」

「お兄様も王宮でその話しをするでしょうね」


「アリーよかったのかい?前世の記憶がある事をカイザー殿下とマックス殿下にも話して」

「大丈夫。2人は信用できるわ。それに彼女は危険よ警戒心を持っていた方がいいわ」

「それに彼女はきっとジークにも接触してくるはずよ」

「僕が彼女を相手にすることは絶対にないよ。僕は彼女だけでなくアリー以外の全ての女性は眼中にないからね」

嬉しい事を言ってくれる!!

「大好きよ!ジーク!」

抱きついたけど勢いが強過ぎたみたい、押し倒しちゃったわ

じっとジークを見下ろしてたら愛しさが込み上げてきた。
キスがしたくなってしまった。
キスしたい、キスしたい、キスしたい気づいた時にはわたくしからジークの唇を奪っていた。

「ごめんなさい」勢いよく飛び退く。

ジークは今まで見たこともないくらい真っ赤になっていた。

「どうしても気持ちが抑えきれなくて、本当にごめんなさい」
目に涙が浮かんできた。

「ありがとう。アリー」

え?

「僕初めてなんだ。僕からもアリーにキスしてもいい?」

「わたくしも初めてよ。まだ足りないのキスしてジーク」

そしてジークから優しいキスをもらう。
キスの間に、大好き、愛してるの言葉を挟んで何度もキスをした。
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