【完結】偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね!

kana

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~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~



「ああ、ビアンカ・・・可愛い」




このヨルドラ伯爵家に来て1ヶ月が経とうとしている。
学園にはまだ登校していない。
最初の1週間はお義父様もネイト兄様も大切にしてくれた。
違う。それは今も続いている・・・  

お母様はこんな優しい環境で育ったのに、結婚と同時に実家とは縁を切って出ていったとお義父様が教えてくれた。
何が不服だったのだろう?





ネイト兄様は昼は仕事だけど、夜はわたくしにも分かりやすく勉強を教えてくれた。
遠慮があったのは最初だけで、本当の妹のように扱ってくれるネイト兄様にわたくしも甘えた。

あの子もこんな風にレグルス様に大切にされて甘えているのね。

あの夢が現実になるように今は昼間には高位貴族のマナーや作法も学んでいる。


その日も何時ものようにネイト兄様の部屋で勉強を教わっていた。

「ビアンカは飲み込みが早いね。一度休憩しようか」

いつも休憩の度にネイト兄様がお茶を入れてくれる。
ただその日のお茶は砂糖を入れていないのに少し甘く感じた。

だんだんと頭がボヤけて身体が熱くなって・・・破瓜の痛みで頭がクリアになった。
ネイト兄様に抱かれていると気がついた時はショックだった。
でもそれは最初だけ、身体が何度もネイト兄様を求めてしまう。
抱かれる度に気持ち良くて、ネイト兄様が欲しくなった。

その日からネイト兄様の部屋に勉強を理由に訪れながらも、期待を胸に訪ねるのが楽しみになっていった。
ネイト兄様は何度求めても応えてくれる。
それも優しく・・・

ネイト兄様への気持ちよりも、レグルス様を思う気持ちの方が遥かに大きいのは間違いないのだけれど、夜になるとネイト兄様が欲しくなってしまう。

そんな日が続いたある日、お義父様の部屋に呼ばれた。
ネイト兄様との関係がバレたのかと不安になる。
もし、ここを追い出されたら・・・

お義父様は「ビアンカ、お茶でも飲みなさい」と言いながらネイト兄様のようにお茶を入れてくれた。

まただ、気付いたら後ろからお義父様に突かれていた。
いつも優しく抱いてくれるネイト兄様とはまったく違う・・・
経験の差か、伯父様のテクニックに翻弄されどんどん深みにハマっていった。

実の伯父と姪が・・・でもこの関係をおかしいとは思わなかった。

ネイト兄様からは優しく丁寧に、お義父様からは激しく溺れるように・・・。
特にお義父様は色々なことを教えてくれた。
男を誘う仕草、男をその気にさせる技、男を悦ばせるテクニック、あげればキリがないほど。
一つ覚える度に褒められ、ご褒美の快感を与えられる。

「今のビアンカなら王子でも落とせるだろうな。思春期の男がビアンカに誘われて我慢できるとは思えない」

本当に?
ディオリス殿下はわたくしにはまったく興味も関心も無さそうだったし、どちらかと言えば軽蔑されていた気がするのに?

・・・もし彼がわたくしに夢中になったら?

「ビアンカも何れ伯爵令嬢になる。王子妃も夢じゃないぞ」

男爵令嬢だったわたくしが王子妃に?
あの子よりも身分が上になる?
でも、わたくしが好きなのはレグルス様なの。

「王子妃が無理でも親しくなれたら王宮にも出入りが自由になるかもな」

そこでなら接点の無いレグルス様と偶然でも会えるかもしれない?

「最近のビアンカは本当に色っぽくなったな。私もネイトもお前に夢中だよ」

それからもお義父様とネイト兄様との関係はわたくしが学園に登校するまで続いた。
もちろんそれ以降も・・・



わたくしが登校したのは、あの日から2ヶ月も経ってからだった。
伯爵家に閉じこもっていたわたくしには学園での噂話は入ってこなかった。
馬車から降りてからもドキドキしながら教室に向かった。

耳に入ってくるのは好意的な言葉ばかり。
あの子達は、わたくしのお母様がした事を誰にも話さなかったのね。

これなら自由に動ける。
まずはディオリス殿下から。





呆気ないほど簡単だった。


ディオリス殿下は偶に1人になりたくなるようで、空き教室に籠ることがあると知っていた。

そこへ誰もいないはずの空き教室に服を乱し、まるで誰かから逃げてきて隠れるようにドアを閉めて鍵をかける。
そこで蹲り震えて声を殺して泣けば、心配したディオリス殿下から声がかかる。

突然の声に肩を跳ねさせ怯えたように振り向けば、驚いた顔のディオリス殿下がいる。
乱れた制服のまま、すぐに部屋から出ようとすれば当然引き止められる。

理由を聞かれても震えて怖かったとしか言わない。

もちろん乱れた制服から胸の谷間を見せつけるように。
わたくしからディオリス殿下の胸に飛び込んだりはしない。
何があったのかディオリス殿下自身に想像させ、彼の方から近づかせる。
震えるわたくしに上着をかけて、軽く抱きしめると落ち着かせるように背中を撫でられた。



ひっく、ひっく、と泣きながらタイミングを合わせて態とらしくならないように彼のモノを擦ればコレでほぼ成功。

あとは彼の体の反応を見てこう言えばいい。

「は、初めてを・・・あんな男に無理やり・・・奪われなくて・・・よ、よかった。こんな姿を見られたのが殿下でよかった」

「あ、あんな恐怖を忘れたい。お、お願いします。・・・上書き・・・してもらえませんか?」

ディオリス殿下が息を飲んだのが分かる。

「私でいいんだね」

「は・・・い。お、お願いします」

コレでディオリス殿下は落ちた。

それからは時間を見つけてはディオリス殿下との逢瀬を楽しんだ。
男の悦ばせ方は習得済み。

どんどんわたくしに嵌る。

そして、一言。

「ラグーナ嬢の殿下を見つめる目はまるで貴方に恋しているみたい」





似たような言葉で他の男たちも勘違いさせた。

違うって言われたって言ってくる男には照れているのよ、って済ませた。

そして、あの子の噂が流れ出した。

『男と見れば色目を使う女』『実は陰で遊んでいる』『節操のない女』

だってお母様が悪かったとはいえ、あの子が笑っている姿を見る度にイライラする。
もしかしたら、噂を聞いた男があの子を無茶苦茶にしてくれるかもしれい。
実際そうしてほしいと願っている。

これは一方的な八つ当たりだと分かっている。
あの子が悪い訳ではないと知っている。

ただわたくしの気が収まらないだけよ。

ふふふっごめんなさいね。
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