【完結】偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね!

kana

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気持ち悪い表現があります。
苦手な方は読み飛ばして下さい。


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「その私の愛する婚約者であるユティを男たちを唆し傷物にしようとした者がいる」

壇上の前に引き摺られてきた男たちは、猿轡をされて拘束されている。
 
ジル兄様は国王に目配せして了承を得たのだろう。
初めて聞く底冷えするような冷たい声がジル兄様から発せられた。
それに驚きビクッと体が揺れると、腰に手をまわしされて耳元で「大丈夫だよ」といつもの優しい声。
ふふっ、ちょっと驚いただけで彼らにどのような処罰が与えられようが心が痛むことはない。
誰に唆されようが、行動したのは彼ら。
何が起ころうが、ジル兄様が隣にいる限り私は強くなれる。

「さて、誰に頼まれて我が婚約者に何をしようとしたのか応えてもらおうか」

猿轡を外されても、ガタガタと震えて話そうにも上手く言葉が発せない彼らから視線を外し、オルト嬢を見れば彼ら以上に顔色を悪くして震えている。
彼らの発言で彼女の罪が公になる。
もう二度と令嬢として生きていくことは出来なくなる。それどころか罪人として処罰を与えられることになるだろう。

「もう一度聞く・・・誰に唆された?早く応えよ」

「「「・・・」」」

「・・・オ、オルト嬢に・・・」

男達の中で答えたのは騎士の男だけ・・・でも、オルト嬢の名が出た途端、彼女に視線が集まった。

「ち、違う!違います!わたくしが「黙れ・・・お前には監視を付けていた。を教えられてもお前はユティに敵意を向け続けた。しかも今回はユティをを使って陵辱しようとした。もう見逃す時期は過ぎた・・・さすがの娘だな」」

っ!!
・・・もう言い逃れ出来ないわね。
ジル兄様に睨まれオルト嬢は立つことも出来ないのか、ソルトレグス帝国の騎士に拘束され支えられながら会場を後にした。

「捕らえた者の調書はで頼む。それから関係者を別室に集めてくれ」





ジル兄様は退場するために私をお姫様抱っこした。
皇太子の行動に今まで静まり返っていた会場の紳士淑女の皆様も驚きを隠せなかったようだ。

・・・こんな時でもジル兄様はいつもの様に私をお姫様抱っこするのね。

壇上から用意された部屋までお姫様抱っこ。
部屋についてもジル兄様の膝の上・・・
お父様とレグルス兄様、ハリスンとゼガード以外の、リアとマキュリー公爵夫妻、エドとオーラント公爵夫妻、両陛下にアルスト王太子殿下に、ディオリス殿下は顔には出さないようにしているが凝視することも出来ず視線をさ迷わせている。

それと、猿轡をされたまま震えるオルト嬢は俯いているが、ヨランダ伯爵とその子息も絨毯が敷かれているとはいえ地べたに座らせられている。
ヨランダ伯爵とその子息は何故ここに呼ばれたのか分からないといった表情だけれど、ジル兄様が意味の無い事をする筈もなく、何かしら関係があるのだろう。

「さて・・・何から話そうか。まずはコレを見てくれ」

ジル兄様がテーブルに乗せたのは小さな瓶。

「コレはオルト嬢がいつも付けている香水だ。最初に言っておく。調査済みだ。虚偽や言い訳の発言は必要ない。それを踏まえて聞く、伯爵、その女が付けていた香水の効果は?」

「・・・」

「話せないか?そうだろうな・・・実の姪をコレを使って違和感を抱かせることなく肉体関係を結んだのだのだからな」 

!!!
え?
オルト嬢とヨランダ伯爵がそんな関係?
皆の見る目が信じられないものを見るような目で二人に集まる。

「お前は実の妹、オルト嬢の母親にもソレを使って関係を持っていたな?そしてネイトが生まれた。・・・そのネイトも妹だと知っていながら肉体関係を持った。それも一度や二度ではなく今も続いているな?」

なに?私は何を聞かされているの?
実の伯父、実の兄と?

・・・おぞましい。
こんな気持ちの悪い話しは初めてだ。
リアのお母様とエドのお母様は口元を押えて吐き気に耐えているようだけれど、他の皆も気持ちは同じだろう。
いつも軽いハリスンですら軽口を叩く余裕すら無さそうだ。その証拠に気味の悪い者を見るような目を向けている。

「この香水の匂いを嗅ぐだけで異性をにさせ、口に含むと理性を失くす。オルト嬢は胸元にも付けていた・・・ディオリス殿下はそれでやられた。自分の手垢の付いた女を王家に嫁がせたかったのか?」

王妃様の瞳に殺意が籠ったのが分かる。
それは国王もアルスト王太子も同じだけれど・・・

「コレは意志の強い者には効きにくいが、意志の弱い者、少しでも好意がある者ほどのめり込み、言いなりになってしまう代物だ」

そんなの洗脳と一緒じゃない!

「まあオルト嬢は香水の効果を知らなかったようだが、伯爵はが違法だと知っていただろう?なぜこんな物を?」

・・・・・・。
コレをヨランダ伯爵が作った?
媚薬は買っても売っても犯罪だ。
それを作ったのだとしたら、もう伯爵は極刑から逃れることは出来ない。

「おい、調べはついていると言っただろう?隠しても無駄だ。それに今頃はお前の隠し持っていた香水もすべて押収されている」

その言葉で観念したのか震えながらもヨランダ伯爵は少しずつ話し出した。

それは思っていたよりも気持ちの悪いものだった・・・
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