ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓

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Episode.05

それから

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 話し合い、というよりは、一方的な告白は、無難に終了した。

 裕二がドアを開けると、馬術部部室前には、信彦と美耶、翔と瞬の4人が立っていた。皆、中の様子を伺っており、万が一のときは踏み込もうと考えていたのだ。
 「大丈夫だったみたいね」
 最初に口を開いたのは、美耶だった。それに、信彦が報告をつなげる。
 「よしよし
 あ、それから、上杉からメッセージが来てた
 松本は問題無しだったけど、いろいろ面倒だから、今日はもう帰って休ませる ってサ」
 「そっか、よかった」
 安堵する裕二と鷹也に対して、恵介と昌将は、誰? と首をかしげる。他の部員の名前を覚えていない、覚える気がなかったからだ。
 「上杉晃は医学部3年、松本澄人は獣医学部1年
 松本は、昨日、体調を崩したヤツだ」
 副部長の立場で、信彦が2人に教える。
 「昨日の、アルファの2人?」
 「そう
 次、会うときは、スミちゃんに謝ってよね」
 美耶が信彦の代わりに昌将に答え、笑いかけた。
 その横で、翔と瞬が、恵介を見上げている。見覚えはあるが思い出せない、といった雰囲気だ。
 その、翔と瞬に、恵介が話しかける。
 「2人も、俺を覚えていない?」
 「…… 中学の先輩、でしたっけ?」
 「先輩も、タカシを追いかけてきたんですか?」
 「追いかけてきたわけじゃない
 …… 初恋の相手が、後輩として現れたら
 勘違いして、夢見るだろ」
 照れ臭そうに、恵介が言った。
 恵介も昌将も、憑き物が落ちたように、昨日とは全く違う、普通の大学生に戻っていた。


 翌日、登校してきた澄人に、美耶と鷹也が顛末を説明した。
 「…… そっか」
 少し考えて、澄人がつぶやいた。
 「でも、行動範囲に喫煙所ができるのは、楽だな」
 「タバコなんて、吸わないで済めば一番なのに」
 そうなんだけど、ね と美耶に澄人が苦笑いをする。
 原因の一端でもある鷹也は、何も言えずにいた。
 それに気づいた澄人が、ポン と、軽く、鷹也の肩を叩く。
 「三ツ橋のせいじゃないさ
 めぐりあわせ ってヤツ?」
 「でも ……」
 鷹也が言いかけたとき、一限の担当教授が現れ、会話が中断された。

 午後の実習終了後、鷹也、美耶、澄人の3人が部室に集まると、中で、信彦と翔と瞬が待っていた。
 「この2人が今日から部員になったから」
 「「よろしく」」
 澄人と美耶が顔を見合わせる。鷹也も苦笑いになった。
 「医学部って、けっこう忙しいですよね?」
 「うん
 でも、間近で触れ合える機会はもうないだろうし
 厩務員さんがいるから、深刻な悪臭しないし」
 「世話をしなくていい、ってわけじゃない
 馬は賢いから、世話しない相手は乗せてくれないぞ」
 鷹也の質問に、気軽に答えた2人に、信彦がクギを刺す。2人は、わかっています と声を揃えて笑った。
 そこへ、裕二もやってきた。

 「さっき、降矢と野田に会った
 2人とも退部はしないけど、幽霊を続けるってさ」
 鷹也と澄人は少し、ホッとしたような表情を見せた。
 反対に、翔と瞬は残念そうだった。
 

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