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6. 魔術師、わからせられる(後) ★
「だめなことなんてなんもねえ、って」
「いや、なくないで、っ、……!?」
ルグレアの大きな口が、ジャフィーの性器をぱくりと咥える。
長い指が入り込んだ場所が、魔術の効果か、ぐちゅぐちゅに濡れてきているのがわかる。ずるり、とひときわ奥まで入り込んだ指で腹の側を押された瞬間に、ひあ、と、ジャフィーは高い声を上げて仰け反った。
「あ、あ、っ、……!」
同時にちゅうっと前を吸われると、何もわからない間に二度目が弾けた。なんだこれ。頭の天辺から足の先まで、何かが駆け抜けていくみたいだった。わけもわからずびくびくしているジャフィーに、ルグレアは欠片の容赦もしてくれない。
「っあ、あ、ああ、ッ……!?」
もう脱力してしまいたいのに、ルグレアの指が刺激を続けてくるから、ジャフィーはまた魚みたいにびくびく跳ねることになる。薬の効果だろう、中がすっかり濡れそぼっているのが自分でもわかる。やめてほしい、と、やめないでほしい、の間で頭がおかしくなりそうなところで、ルグレアがすっと指を抜いた。
「ぅ、あ、……」
やめないでほしい。天秤がそちらに振り切れるのと、なにか、熱いものを感じるのが同時だった。
「あ、……ッ……!」
入ってくる。
熱くて硬くて、指とは比べ物にならない太さの棒が、穴をこじ開けるようにして入り込んでくる。穴の縁が限界まで押し広げられ、緩和しようのない痛みが走る。反射で息を止めたジャフィーの口元に、ルグレアが柔らかく唇で触れた。いやついさっきまでその口でどこを、と言う暇などあるわけもなく、舌で唇を開かされる。
「っふ、ぁ、……あ、あ、ッ……」
口づけで無理やり息をさせられ、息を吐いたタイミングを見計らって、じわじわと中に入り込まれる。痛くて苦しいのと、酸素が足りなくて苦しいのとが一緒になって、頭の中がぼんやりとしてくる。
どうにかある程度が入り込んだときには、ジャフィーはもう息も絶え絶えだった。
「っ、は、……ぁ、あ……」
「……悪い、もうちょい……」
もう無理、とゆるく首を振るジャフィーの眼の前で、ルグレアの眉も、痛みを堪えるみたいに歪んでいる。ジャフィーの側がこれだけ苦しいのだ、入れる側だって相当きつい、というか、狭いを通り越して痛いかもしれない。いっそ抜いてしまえばいいのでは、とジャフィーは思ったが、ルグレアの行動はその真逆だった。
腰を、強く抑え込まれる。
「ッ……ひァ、あ、あ……!」
ずるり、と、一気に奥まで入り込んでくる。
今まさしく魔術が渦巻いている肚の中まで、奥の奥まで、ルグレアのものが届いている。かは、と、えずくような声が出て、ひ、ひ、と呼吸が浅くなるジャフィーの背を、ルグレアの腕がきつく抱きよせた。
「あー……、」
ルグレアが、ジャフィーの耳元で、吐息みたいな声を出す。
思わず漏れ出たみたいな、途方もなく気持ちよさそうな声に、脳が発火するみたいに熱くなるのがわかった。
きもちいい。きもちいいんだ、ルグレアは。
思った途端にきゅんと穴が蠢いて「うぉ、」とルグレアが呻く声が聞こえた。
「っ、……いやお前、こんなとこまで器用とか言うか?」
「ん、ッ、……?」
「あーいや、処女に言う台詞じゃなかったな……」
処女って。せめて童貞と言ってほしい、と思ったが、別にどっちも言って欲しくはなかった。褒められているのかどうかもよく分からなかったが、とりあえず安心したから、ほとんど無意識に笑みがこぼれた。
よかった。
「るぐれあ、」
「ん?」
「……あんた、が、」
今までずっと、ジャフィーばかりがイかされていたので、少しばかり不安に思っていたのだ。
「……きもちいいなら、よかった……」
生殖のための行為だから、中で出して貰うために、ルグレアにも気持ちよくなって貰わなければならない──という事実のみならず、ルグレアがジャフィーで気持ちよくなってくれていることが、なんでかただただ嬉しかった。嬉しいからへらへら笑っていると、ルグレアはなにかむず痒いような顔をして、「くそ」と悪態をついてジャフィーを抱き寄せる。
「お前な、これで、……あー……」
「? なに、……」
「なんでもねえ。……動くぞ」
「え、うん、……ッ、ひあ、あ……!」
短い会話でも中が慣れる猶予にはなったのか、それとも、薬による潤滑効果だろうか。動きは、先程よりは滑らかだった。
出ていくときの排泄に似た感覚も、入ってくるときの苦しさも、気持ちよさからは程遠い。けれども、中で擦られる側のルグレアは、きっとこれが気持ちいいのだろう。耐えるつもりで目を閉じてしがみついていると、途中から、違う感覚がじわじわ蟠っていくのがわかった。
「ふ、ぁあ、……あ、」
中を指で解されたときに、わけがわからなくなったところ。そこが、ルグレアのものの先端で擦られているのだ。ジャフィーの反応に気づいたルグレアが、腰の動きを揺するような細かいものに変えると、熱が一気に高まって溢れた。
「や、ッあ、ああ、あ……!」
「っ、……お前、ほんと、」
「なに、ッ、あ、あ、あ……!」
ルグレアの背にしがみつきながら、込み上げてくる感覚のまま声があふれる。勃起した性器が腹の間で擦れる。勝手に中が動いていることに、「そんな締めるな」と言われてはじめて気がついた。
「しめてな、ぁ、ッあ、……!」
「だろうな、くそ、……あー、悪い」
もう無理、と、ルグレアが不吉な言葉を漏らす。え、と問い返そうとした声は、ばちん、と、奥に叩きつけるような動きをされて悲鳴に変わった。
「いッ、……! ひ、ッ、あ、あああッ……!」
蹂躙される。
ルグレアが、ただ自分が気持ちよくなるために、ジャフィーの穴で全力で擦りたてている。大きなものをジャフィーの肚の中ぎりぎりまで収め、魔術で作られた虚まで執拗に犯す。そこはもう感覚のないはずの場所で、それなのに。
「あ、……ん、ッ……!」
どうしてだろう。奥を刺激されると、ぱちんぱちんと、頭の奥で何かが弾けた。目がちかちかする。
きもちいい、と、脳から直接出力されるみたいに思った。
「あ、あ、……っ、」
かぱ、と、馬鹿みたいに大きく口が開いた。
「あ、っ、……きもちい、……」
肚の奥に作られた臓器が、きゅんきゅんうごめいて精を欲しがる。そんな機能はないはずなのに。
「もっと、っ、あ、いい、……」
中に。
「ちょうだい、」
「っ、」
出して欲しい。満たして欲しい。それ以外の何も考えられない。ほしい、るぐれあ、と繰り返すと、ふとルグレアの動きが止まった。
なんで。もっと。
「お前な、それはないだろ……」
「え、……なんで、やだ、っ、ちょうだい、ほしい、っ、ほしいよ、っ……」
「あー、違う違う、……わかったって、くれてやる、くれてやるから」
くそ、と、ルグレアが耳元で悪態をつく。かわいいにも程があるだろ。
かわいい? 誰が?
「ちょうだい、……るぐれあ、ちょうだい、っ、あ、あ……!」
ルグレアの精が、体の奥で放たれる。腹の中が熱くなって、そんなことさえ気持ちいい気がする。ぎゅう、と、しがみついた足に力を込める。
ルグレアの腕が、ジャフィーの体に回される。抱きしめられる。
気持ちいい。
信じられないぐらい、わけもわからないまま、ただただ幸福だ。全身で必要とされていると思う。
ジャフィーはうっとりと目を閉じて──そのまま、意識を手放した。
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