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すやすや眠っていたはずが、突然の息苦しさで目が覚める。
寝ぼけ眼であたりを見回す。もふもふしかない。ということは…
必死にらいおっとをぽんぽんする。もぞもぞして、起きてくれないと息が。

「んん…アイナ?」

少し目を覚ましたのか、腕の拘束が弱まる。その瞬間を狙って、くるっと、らいおっととは反対方向に寝返りをする。その行動にらいおっとがびっくりして完全に目を覚ましたようだ。

「どうした?」

「らいおっとのぎゅーが、苦しくて」

「あぁ!ごめんよ。癖でね」

らいおっとが私から手を遠ざけ、耳が垂れる。獣人は顔で感情を表現しづらいから耳や尻尾で表現すると聞いたことがある。でも、ここ数日暮らしてきて、らいおっとの表情が少しでも変わることに気づいた。

「大丈夫だよ!またして!」

手を伸ばす。そうするとすかさずらいおっとは私の腕を取り、ぎゅっとする。

「よしよし」

…ピンポーン。チャイムが鳴る。

「あれ、こんな朝早くに誰だ?アイナ、着替えて待っててね」

そういい、らいおっとは布団から出て、ハンガーにかけてあった作務衣さむえに着替えて玄関に行く。私の服は、どこだっけ?…あったあった。


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ったく。こんな時間に誰だよ。まだ朝の8時だぞ。

「はい。どなたでしょうか」

扉を開けながら言う。

「お兄ちゃん!久しぶり!元気にしてた?」

まさかの、よりによって一番来てほしくない妹が来てしまった。やばい、まじでどうしよう。

「お前かよ…」

「お前って何よ!夜勤バイトの帰りに友達とこっち寄ったんだから顔でも見ようかなっt…クンクン。あれ?誰かいる?女性…というよりもっと幼い…」

俺の妹は俺よりも嗅覚が鋭い。だから一緒に暮らしているときは厄介者だった。ホテルに行ったときとか特に。

「はぁ…だから嫌だったんだ」

「聞こえるように言わないでよ。前は悪かったわ。それで、この匂いは何?」

「俺のつがいの匂いだよ。ステラ、お前が男だったら匂いすら嗅がせたくなかったぞ」

「キャー怖い。女でよかった。実の兄に殺されるとか死んでもいやだわ」


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部屋着に着替え、リビングへ行く。玄関のほうから声が聞こえる。女の人の声だ。なんか、仲良さそう。

「だから、家の中には来なくてもいいだろ」

「いいじゃん。お兄ちゃんのつがいちゃんも見てみたいしって…小さい」

目が合った。らいおっとよりかは背は小さいけど、似ている。

「へぇ、こんなにかわいい子がつがいなんだぁ」

女の人が私のほうに近寄って手を差し出してくる。目の前に出される手は大きくて怖い。

「ステラ、やめろ」

横かららいおっとの声が聞こえる。ちょっと不機嫌そうな声。

「ちぇっ、まあいいや。そういえば、人間なんだね。お兄ちゃんのつがい」

「別にいいだろ。俺にとっては大事な大事なアイナなんだから」

らいおっとが私を抱き上げ、すりすりする。

「アイナって言うのねその子。私はステラ、よろしくね。19歳の大学生だからおばさんとか言ったら許さないからね」

19歳。すてらは19歳なんだ。それなららいおっとは?

「らいおっとは、何歳?」

「え、お兄ちゃんアイナちゃんにとし言ってないの?ほんと馬鹿ねぇ。25さいよ」

25歳!すごく離れてる…。

「私と、どれくらい離れてるの?」

「んー、これいうと現実突きつけられてるみたいだけど、19歳離れてるな。」

19!そんなにも離れてるの。

「ていうことは、6歳?すんごい年の差だね…。どんまい、お兄ちゃん」

「は?何がドンマイだ。俺はアイナの成長を見れるから問題ない」

すてらとらいおっとが仲良くしてるのを見ているとよくわからないけど、話したくなくなる。だから、らいおっとの腕から降りた。

「どした?」

「お兄ちゃんの愛に飽きたんじゃない?」

「それは絶対にない!断固として言う」

すごくうらやましい。あれだけ仲良くしてて。私のほうがらいおっと好きだもん…。

ライオットとステラが言い合いをしている間に、アイナが家をこっそり出て行ってしまった。


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「そりよりさぁ、なんか飲み物ない?喉乾いちゃって」

「冷蔵庫にあると思う。勝手に飲んでいいよ」

そういうと、ステラは冷蔵庫を物色し始めた。

「あれ…?アイナちゃんの匂いがうっすら…」

ドカッ!!!と椅子から立ち上がったライオット。

「ほんとだ!気付かなかった。お前のせいだぞ!ステラ!」

「なんで私のせいなのよ!それよりも早く探さないと!」

「わあってるわんなもん!お前も探せよ!」

二人が勢いよく玄関を開け、アイナを探すために走り回った。
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