転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

状況把握

私は、どうにか必死に起き上がり、探そうとするがーーどうやら生まれたてらしいこの体はいうことを聞いてくれず、起き上がることすら出来ない様だ。

大切なフィギュアの安否もわからず、いきなり赤ちゃんになってしまった状況に私の心はついていけず、思わず本当に涙ぐむ。

と、扉が開く音がして2人分の足音が聞こえて来た。

「あらあら、こんなに泣いちゃって……。ごめんなさいね、1人が寂しかったのね」

「よしよし、悪かったね。もう、パパもママも一緒にいるよ」

そう話しかけながら、私に近づいてくる2つの人影。

よくみると、それは若い男女であった。

女性はふわふわとウェーブのかかった、腰まである長い藤色の髪を靡かせ、男性は上品な紅茶色のストレートの長髪を腰のあたりでゆったりと結んでいる。

まるで、中世の貴族の様な衣装に身を包んだ2人。

――私は、この2人に見覚えがあった。

（まさか……マルガレーテとリヒター？！）

そう、彼らは私が心から愛するアプリ「愛と死の舞踏会」ーーそこに出てくる、悪役令嬢サシャの両親であるマルガレーテとリヒターに瓜二つなのだ。

（ど、どういうこと……？何でこの2人がいるの……？え、そっくりさん……？）

「ばぶばぶ」と言いながら激しく動揺する私を、マルガレーテが優しく抱き上げる。

そうして、そっと頭を撫でながら、こう微笑みかけた。

「あらあら、ご機嫌斜めさんね？怖い夢でも見てしまったのかしら、サシャ」