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第一部 Side 永宮 真紀
ほんの少しだけの不安
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初めて唇を交わした私達。
その後、私と剛志は月明かりに照らされたリビングで、私の留学について話をする。
「……さっきも言ったけどね?私、アメリカに留学しようと思ってるの」
「ああ」
私の言葉に、小さく頷く剛志。
互いに肩を寄せ合ってーー隣同士、身を寄せて座っている為だろうか。
彼が言葉を話したり……ほんの少しでも動く度にその振動が伝わって、彼との心の距離がより近くなった気がする。
それを、心から嬉しいと思いながらも、私は彼に自分の計画を打ち明けた。
「馬鹿なのかもしれないけどさ。私、やっぱり諦めきれないんだ。私が私として、生きること。風香から、家族も顔も名前も……私の全てを取り戻すことを。諦めたくないの」
と、剛志が、小さく呟いた。
「……そうか」
まるで息を吐き出すかの様にーーほんの少しだけ苦々しげに、そう告げる剛志。
彼は、床についたままの私の手をそっと握ると、自分の気持ちを話し始めた。
「俺は、お前を応援してる。その気持ちは、昔からずっと変わらない。……その、つもりだったんだ」
『そのつもり』ーー。
彼のその言葉に、一抹の不安を覚える私。
(……そのつもりってことは、今は応援出来ないってことなのかな?)
だとしたら、凄く悲しい。
私の心の中で、小さかった不安がより大きく広がっていく。
まるで、透明な水に垂らした黒いインクの様にーー。
その後、私と剛志は月明かりに照らされたリビングで、私の留学について話をする。
「……さっきも言ったけどね?私、アメリカに留学しようと思ってるの」
「ああ」
私の言葉に、小さく頷く剛志。
互いに肩を寄せ合ってーー隣同士、身を寄せて座っている為だろうか。
彼が言葉を話したり……ほんの少しでも動く度にその振動が伝わって、彼との心の距離がより近くなった気がする。
それを、心から嬉しいと思いながらも、私は彼に自分の計画を打ち明けた。
「馬鹿なのかもしれないけどさ。私、やっぱり諦めきれないんだ。私が私として、生きること。風香から、家族も顔も名前も……私の全てを取り戻すことを。諦めたくないの」
と、剛志が、小さく呟いた。
「……そうか」
まるで息を吐き出すかの様にーーほんの少しだけ苦々しげに、そう告げる剛志。
彼は、床についたままの私の手をそっと握ると、自分の気持ちを話し始めた。
「俺は、お前を応援してる。その気持ちは、昔からずっと変わらない。……その、つもりだったんだ」
『そのつもり』ーー。
彼のその言葉に、一抹の不安を覚える私。
(……そのつもりってことは、今は応援出来ないってことなのかな?)
だとしたら、凄く悲しい。
私の心の中で、小さかった不安がより大きく広がっていく。
まるで、透明な水に垂らした黒いインクの様にーー。
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