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第一章:金色の神様
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翌日,スウェンは昼過ぎに目覚めた。
あまり眠ることができなかった。
『朝は食パンを,お昼はお弁当を作ったから,ちゃんと食べてね』
居間の小さなテーブルには,母からの書き置きがあった。内容はいつも同じだ。
すでに母は仕事に行ったようである。
パンは食べずに,スウェンは昼食を取ることにした。
見ると皹の入った皿の上に,少量の生野菜と生卵がぽんと載っているだけだった。これが弁当と言えるのか……と,スウェンは呟いた。
むしゃむしゃと昼食を頬張り,急いで洋服に着替える。
箱にしまっておいたお金を取り出してみるが,思ったよりも少ない。
仕方のないことだ。
スウェンはそれを持って,そっと家の外を覗いた。奴らが来ていないか,じっくり確認する。
(……よし。いないな)
そう確信すると,スウェンは勢いよく家から飛び出した。
もし奴らに――マイケルたちに見付かったら,とんでもないことになる。我を忘れて走り続けた。
しかしスウェンは,焦りすぎて周りが全く見えていなかった。後ろからマイケルが追い掛けてきているような気がした。
恐い。
背中がぞくぞくした。
「――うわっ」
その時だった。どん,と思いっきり通行人とぶつかってしまった。
「ご,ごめんなさい!」
スウェンはとっさに謝った。
相手の顏を見ると,結構な美少年だった。思わず見とれてしまう。
「ああ,いいよ」
その少年は,笑顔で答えてくれた。何でもない会話だったが,スウェンの心は自然に暖まった。
スウェンは少年に一礼すると,店に向かってまた走り出した。
少し距離がある。
本屋まで到着するのに三十分以上もかかってしまった。
店内に人はあまりいない。
急ぎ足でスウェンは小説コーナーへ向かった。しかしそこに並んである商品には,自分の小遣いで買えるようなものは一つも置いていなかった。
(……どうしよう)
困り果てるスウェン。
立ち尽くしていると,スウェンは声を耳にした。心臓が止まりそうになる。
――あの,煩わしい,悪魔たちの会話。
「おい,さっさと選べよ」
「うるせぇな。もう少し待てよ。せっかくあのバカ親からパクった金なんだからな,高い物に使わないといけねぇ」
「ははははは。親の金盗るなんて,本当にワルだな。――マイケルは」
スウェンは自分の耳を疑い,叫びたくなった。
(どうしてこんな所に奴らが!)
周りを見回す。
――あいつらの姿はない。
まだ見つかっていないのだ。一刻も早くここから逃げ出さなくてはならない。スウェンの息はどんどん荒くなっていく。
しかし,そんな時だった。
「んっ?」
背後から,とても不吉な,声がした。全身に電流が走るような感覚を覚える。
スウェンが振り向こうとした瞬間に,いきなり背中をどんと押された。あまりにも突然なことだったので,スウェンはバランスを崩して床に倒れた。
――マイケルだ。
マイケルたちに見つかったんだ
奴らはゆっくりと,こちらに近付いてくる。何本もの恐怖の足が,スウェンを襲ってきた。
胸,腹,股間。そのあたりに激痛が走った。
耐えられない。
「う……うあああああああああ!」
そんな不憫な叫び声が,店中に響き渡る。
しかし店内にいる店員や客は,この光景を見てみぬふり。酷いものだ。
翌日,スウェンは昼過ぎに目覚めた。
あまり眠ることができなかった。
『朝は食パンを,お昼はお弁当を作ったから,ちゃんと食べてね』
居間の小さなテーブルには,母からの書き置きがあった。内容はいつも同じだ。
すでに母は仕事に行ったようである。
パンは食べずに,スウェンは昼食を取ることにした。
見ると皹の入った皿の上に,少量の生野菜と生卵がぽんと載っているだけだった。これが弁当と言えるのか……と,スウェンは呟いた。
むしゃむしゃと昼食を頬張り,急いで洋服に着替える。
箱にしまっておいたお金を取り出してみるが,思ったよりも少ない。
仕方のないことだ。
スウェンはそれを持って,そっと家の外を覗いた。奴らが来ていないか,じっくり確認する。
(……よし。いないな)
そう確信すると,スウェンは勢いよく家から飛び出した。
もし奴らに――マイケルたちに見付かったら,とんでもないことになる。我を忘れて走り続けた。
しかしスウェンは,焦りすぎて周りが全く見えていなかった。後ろからマイケルが追い掛けてきているような気がした。
恐い。
背中がぞくぞくした。
「――うわっ」
その時だった。どん,と思いっきり通行人とぶつかってしまった。
「ご,ごめんなさい!」
スウェンはとっさに謝った。
相手の顏を見ると,結構な美少年だった。思わず見とれてしまう。
「ああ,いいよ」
その少年は,笑顔で答えてくれた。何でもない会話だったが,スウェンの心は自然に暖まった。
スウェンは少年に一礼すると,店に向かってまた走り出した。
少し距離がある。
本屋まで到着するのに三十分以上もかかってしまった。
店内に人はあまりいない。
急ぎ足でスウェンは小説コーナーへ向かった。しかしそこに並んである商品には,自分の小遣いで買えるようなものは一つも置いていなかった。
(……どうしよう)
困り果てるスウェン。
立ち尽くしていると,スウェンは声を耳にした。心臓が止まりそうになる。
――あの,煩わしい,悪魔たちの会話。
「おい,さっさと選べよ」
「うるせぇな。もう少し待てよ。せっかくあのバカ親からパクった金なんだからな,高い物に使わないといけねぇ」
「ははははは。親の金盗るなんて,本当にワルだな。――マイケルは」
スウェンは自分の耳を疑い,叫びたくなった。
(どうしてこんな所に奴らが!)
周りを見回す。
――あいつらの姿はない。
まだ見つかっていないのだ。一刻も早くここから逃げ出さなくてはならない。スウェンの息はどんどん荒くなっていく。
しかし,そんな時だった。
「んっ?」
背後から,とても不吉な,声がした。全身に電流が走るような感覚を覚える。
スウェンが振り向こうとした瞬間に,いきなり背中をどんと押された。あまりにも突然なことだったので,スウェンはバランスを崩して床に倒れた。
――マイケルだ。
マイケルたちに見つかったんだ
奴らはゆっくりと,こちらに近付いてくる。何本もの恐怖の足が,スウェンを襲ってきた。
胸,腹,股間。そのあたりに激痛が走った。
耐えられない。
「う……うあああああああああ!」
そんな不憫な叫び声が,店中に響き渡る。
しかし店内にいる店員や客は,この光景を見てみぬふり。酷いものだ。
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