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第一章:金色の神様
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このままでは埓が明かない。
――自分から諦めるしかないようだ。
スウェンはついに,買ってもらうことになってしまった。
「なぁ,本当にこれでいいのか?」
「これが,欲しいんだ」
スウェンは迷いながらも,遠慮して比較的安価の文庫本を選んだ。
二人はレジに行き,会計を済ませた。その時の店員の態度はあまりよくなかった。
先ほどあんな騒動を起こしてしまったからであろう。警察が来ないのが不思議なくらいである。それでも,ジャックは全く気にした様子は見せない。
外に出ると,ジャックはスウェンに品の入った袋を渡してくれた。
「あっ。ありがとう」
何だかんだ言って,とてもありがたかった。
しかしスウェンは思う。突然自分の前に現れ,イジメから助けてくれて,なおかつ物を買ってくれたジャック。
――どうしてこんなにも優しくしてくれるのだろう
――どうして友だちだと,殊更に言ってくれたのだろう
同じことが何度も何度も頭の中で回転した。
スウェンは幸せを感じたことがほとんどない。なのでまた,あの悪夢が戻ってくる気がしてどうしようもなかった。
町中を歩き,二人はお互いのことを話した。
「ジャックはどこから来た人なの?」
「……エルフィン王国だ」
外国だった。
エルフィン王国はリフェイル合衆国のすぐ隣にあり,王が統治している国のことである。リフェイル人のスウェンは,王家のことは何一つ知らない。
ジャックの話によれば,その国にある彼の町からここまで来るのに,一時間も掛からなかったという。意外と近距離なのだろうか。
彼は暇つぶしとして,たまたまこの町に立ち寄ったらしい。そんな理由で外国まで来るなんて,何だかすごい人だとスウェンは思った。
しかしそのおかげで,スウェンは救われたのだ。
「君の家は,外国なんだね。……ぼくたちが会えるのは,今日だけなのかな」
――そんなの嫌だった。
「うーんそうだなぁ。……『遠距離友情』か! オレん家,何もなくて毎日が退屈なんだ。
せっかくスウェンと友だちになれたんだし,これから毎日ここに来るさ!」
「え,本当っ?」
――本当だった。
その日からジャックは,ほぼ毎日この町に遥々やって来て,スウェンと会うようになったのだ。
最初の頃は,町をぶらぶら歩いて話をするだけだったが,次第に二人の仲はよくなっていく。
やがて町以外にも,付近にある森へ遊びに行ったり,スウェンの家で夕飯を一緒に食べたりするようにもなった。これには母がとても喜んだ。
――か弱いスウェンを強くしてやりたいと思ったのか,15歳の夏の日,ジャックはスウェンにやたら大きな鎌を渡してきた。
「これは何に使うの?」
「狩りだ」
スウェンはたまげた。
(――狩り? そんなもの,できるわけがない!)
動物狩りを得意とするジャックは,丁寧に武器のことから教えてくれた。
この黒の大鎌は重すぎて,スウェンにはなかなか上手に扱えない。自信がなかった。
うつむいていると,ジャックが肩を叩いて明るい声で言うのだ。
「大丈夫さ」
スウェンは彼の顏を見た。
「やる前から『できない』なんて顏はするな。お節介かもしれないけど,お前が努力すればお前の力で今の生活を救うことだってできるんだ」
その言葉に,スウェンはうつむくのをやめて大きく頷いた。
――まずは自分に力を
スウェンは前を向いた。
――自分から諦めるしかないようだ。
スウェンはついに,買ってもらうことになってしまった。
「なぁ,本当にこれでいいのか?」
「これが,欲しいんだ」
スウェンは迷いながらも,遠慮して比較的安価の文庫本を選んだ。
二人はレジに行き,会計を済ませた。その時の店員の態度はあまりよくなかった。
先ほどあんな騒動を起こしてしまったからであろう。警察が来ないのが不思議なくらいである。それでも,ジャックは全く気にした様子は見せない。
外に出ると,ジャックはスウェンに品の入った袋を渡してくれた。
「あっ。ありがとう」
何だかんだ言って,とてもありがたかった。
しかしスウェンは思う。突然自分の前に現れ,イジメから助けてくれて,なおかつ物を買ってくれたジャック。
――どうしてこんなにも優しくしてくれるのだろう
――どうして友だちだと,殊更に言ってくれたのだろう
同じことが何度も何度も頭の中で回転した。
スウェンは幸せを感じたことがほとんどない。なのでまた,あの悪夢が戻ってくる気がしてどうしようもなかった。
町中を歩き,二人はお互いのことを話した。
「ジャックはどこから来た人なの?」
「……エルフィン王国だ」
外国だった。
エルフィン王国はリフェイル合衆国のすぐ隣にあり,王が統治している国のことである。リフェイル人のスウェンは,王家のことは何一つ知らない。
ジャックの話によれば,その国にある彼の町からここまで来るのに,一時間も掛からなかったという。意外と近距離なのだろうか。
彼は暇つぶしとして,たまたまこの町に立ち寄ったらしい。そんな理由で外国まで来るなんて,何だかすごい人だとスウェンは思った。
しかしそのおかげで,スウェンは救われたのだ。
「君の家は,外国なんだね。……ぼくたちが会えるのは,今日だけなのかな」
――そんなの嫌だった。
「うーんそうだなぁ。……『遠距離友情』か! オレん家,何もなくて毎日が退屈なんだ。
せっかくスウェンと友だちになれたんだし,これから毎日ここに来るさ!」
「え,本当っ?」
――本当だった。
その日からジャックは,ほぼ毎日この町に遥々やって来て,スウェンと会うようになったのだ。
最初の頃は,町をぶらぶら歩いて話をするだけだったが,次第に二人の仲はよくなっていく。
やがて町以外にも,付近にある森へ遊びに行ったり,スウェンの家で夕飯を一緒に食べたりするようにもなった。これには母がとても喜んだ。
――か弱いスウェンを強くしてやりたいと思ったのか,15歳の夏の日,ジャックはスウェンにやたら大きな鎌を渡してきた。
「これは何に使うの?」
「狩りだ」
スウェンはたまげた。
(――狩り? そんなもの,できるわけがない!)
動物狩りを得意とするジャックは,丁寧に武器のことから教えてくれた。
この黒の大鎌は重すぎて,スウェンにはなかなか上手に扱えない。自信がなかった。
うつむいていると,ジャックが肩を叩いて明るい声で言うのだ。
「大丈夫さ」
スウェンは彼の顏を見た。
「やる前から『できない』なんて顏はするな。お節介かもしれないけど,お前が努力すればお前の力で今の生活を救うことだってできるんだ」
その言葉に,スウェンはうつむくのをやめて大きく頷いた。
――まずは自分に力を
スウェンは前を向いた。
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