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第二章:出会い
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「ジャック……お前!」
ジャックは何事もなかったかのように残りの三人を相手に戦っている。
次から次へと攻めてくる敵の攻撃を,ぬけめなくかわしていた。
弓 対 ハンマーでは,互角に戦えそうにもない。ジャックは反撃できないでいた。
だが,スウェンは彼の心配などしない。彼が負けるわけはないからだ。
スウェンは肩を震わせながら叫ぶ。
「お前なにを……なにをやってるんだ!」
「……どうしたスウェン? 戦闘中だ。手伝えよ。こいつら,すばしこいぞ!」
喋りながら,賊と戦うジャック。人を殺して,罪悪感すら抱いている様子がない。信じられなかった。
「人殺し……人殺しめ!」
スウェンがそう言っても,彼は完全シカト。
ものすごくショックだった。地面には倒れる死体が2体。目の前には,人殺しの友。スウェンの頭は,混乱していた。
「おうおう,仲間割れか? 貴様の心臓,えぐりとるぞ」
突然にジャックと戦っていた賊の一人が,こちらに飛びかかってくる。
避けきれずハンマーで顔面を強打されスウェンはよろける。しかし,痛みが感じられず出血もしなかった。
――感情が高まってくるのが分かった。
殴りかかってきた“敵”を睨みつける。なぜか,そいつから目が離せなくなる。
――楽しくなってきた。
スウェンは勢いよく大鎌を持ち上げる。
敵の表情も,声も認識できない。もうこの衝動を止めることはできなかった。
……『殺セ 殺シテシマエ』
一瞬,頭の中……それとも誰かが囁いたのだろうか。太く,且つ低い声が聞こえた。
(……どうにでもなってしまえ)
スウェンの心はわくわくしていた。
気付いたとき,鎌の刃先は敵の首を狙っていた。
突風のような速さで鎌は,敵の首に突き刺さる。奇妙な音を立て,首はどこかにふっ飛んでいった。どす黒い液体が,スウェンの顏に大量にかかる。
「はははははは……!」
全身が熱くなり,スウェンは声を上げて笑った。腹を抱えて,大声で,笑い続けたのだ――。
――「おい,……ウェ……スウェン!」
(……?)
ハッとした。視界がボヤけ,目を擦るとそこには心配そうに自分を見つめる,友の顔があった。
何が起きたのか理解できず,スウェンは下に目を移す。息絶えた人間の死体が3体も転がっていて,辺り一面血に染まっている。
何とも悲惨なことになっていた。
――記憶の一部が消えている。しかし,スウェンはたった今自分がやってしまったことだけは覚えていた。
地面にはいつの間にか鎌が転がっていた。刃こぼれしてしまっていて,血がべっとり付着している。それを見た瞬間,全身が震え始めた。
「……俺は……俺は」
自分自身が,怖くなった――。
「人を……生きてる人を……」
『殺 シ タ ?』
「……嘘だ!」
スウェンは発狂したように,髪を掻きまわした。
「おい……スウェン」
ジャックが肩を叩いてきたが,スウェンはその手を拒んだ。
「落ち着けよスウェン!」
「落ち着けるか,俺は最悪なことをしてしまったんだ! 見てみろよ,この死体を! もう終わりだ! 終わりだ!」
「と,とにかく騒ぐな。そんなこと言ったってどうしようもないだろ」
そんな言葉も,耳の中を通過していくだけだった。スウェンは脱力し,座り込んだ。
――人の尊い命を,奪ってしまった。
しかも自分は,殺人に対して快感を味わっていた。信じられない。
――こんなことがあってたまるか!
「ジャック……俺は人殺しだ。もう,やっていけない……」
「……たしかに,お前は人を殺したな」
「しかも笑いながら,だ!」
「それにはオレもびっくりだったが,何もそこまで自分を責めることはない」
ジャックの言う意味が全く分からず,スウェンはしかめ面をした。
「スウェン,あのな,奴らは賊だぞ。罪のない人から平気で命を奪う,抹消すべき悪党なんだ! だったらスウェンのやったことは,悪いことじゃないだろ」
「…………」
彼のそんな考えに,疑問を感じる。
スウェンは決して,頷くことはなかった。
血の付いた服や顏をタオルで拭い,スウェンは考え込んだ。
たしかに賊は人を殺す。だが――その賊の命を奪うことが正しいと言えるのだろうか。
そんなことはないはずだ。悪党と同じことをしても,それは正義ではない。どんな人間でも,生きているのだから,その命を奪うことは決して許されないはずだ。スウェンはそう思っていた。
ジャックは何事もなかったかのように残りの三人を相手に戦っている。
次から次へと攻めてくる敵の攻撃を,ぬけめなくかわしていた。
弓 対 ハンマーでは,互角に戦えそうにもない。ジャックは反撃できないでいた。
だが,スウェンは彼の心配などしない。彼が負けるわけはないからだ。
スウェンは肩を震わせながら叫ぶ。
「お前なにを……なにをやってるんだ!」
「……どうしたスウェン? 戦闘中だ。手伝えよ。こいつら,すばしこいぞ!」
喋りながら,賊と戦うジャック。人を殺して,罪悪感すら抱いている様子がない。信じられなかった。
「人殺し……人殺しめ!」
スウェンがそう言っても,彼は完全シカト。
ものすごくショックだった。地面には倒れる死体が2体。目の前には,人殺しの友。スウェンの頭は,混乱していた。
「おうおう,仲間割れか? 貴様の心臓,えぐりとるぞ」
突然にジャックと戦っていた賊の一人が,こちらに飛びかかってくる。
避けきれずハンマーで顔面を強打されスウェンはよろける。しかし,痛みが感じられず出血もしなかった。
――感情が高まってくるのが分かった。
殴りかかってきた“敵”を睨みつける。なぜか,そいつから目が離せなくなる。
――楽しくなってきた。
スウェンは勢いよく大鎌を持ち上げる。
敵の表情も,声も認識できない。もうこの衝動を止めることはできなかった。
……『殺セ 殺シテシマエ』
一瞬,頭の中……それとも誰かが囁いたのだろうか。太く,且つ低い声が聞こえた。
(……どうにでもなってしまえ)
スウェンの心はわくわくしていた。
気付いたとき,鎌の刃先は敵の首を狙っていた。
突風のような速さで鎌は,敵の首に突き刺さる。奇妙な音を立て,首はどこかにふっ飛んでいった。どす黒い液体が,スウェンの顏に大量にかかる。
「はははははは……!」
全身が熱くなり,スウェンは声を上げて笑った。腹を抱えて,大声で,笑い続けたのだ――。
――「おい,……ウェ……スウェン!」
(……?)
ハッとした。視界がボヤけ,目を擦るとそこには心配そうに自分を見つめる,友の顔があった。
何が起きたのか理解できず,スウェンは下に目を移す。息絶えた人間の死体が3体も転がっていて,辺り一面血に染まっている。
何とも悲惨なことになっていた。
――記憶の一部が消えている。しかし,スウェンはたった今自分がやってしまったことだけは覚えていた。
地面にはいつの間にか鎌が転がっていた。刃こぼれしてしまっていて,血がべっとり付着している。それを見た瞬間,全身が震え始めた。
「……俺は……俺は」
自分自身が,怖くなった――。
「人を……生きてる人を……」
『殺 シ タ ?』
「……嘘だ!」
スウェンは発狂したように,髪を掻きまわした。
「おい……スウェン」
ジャックが肩を叩いてきたが,スウェンはその手を拒んだ。
「落ち着けよスウェン!」
「落ち着けるか,俺は最悪なことをしてしまったんだ! 見てみろよ,この死体を! もう終わりだ! 終わりだ!」
「と,とにかく騒ぐな。そんなこと言ったってどうしようもないだろ」
そんな言葉も,耳の中を通過していくだけだった。スウェンは脱力し,座り込んだ。
――人の尊い命を,奪ってしまった。
しかも自分は,殺人に対して快感を味わっていた。信じられない。
――こんなことがあってたまるか!
「ジャック……俺は人殺しだ。もう,やっていけない……」
「……たしかに,お前は人を殺したな」
「しかも笑いながら,だ!」
「それにはオレもびっくりだったが,何もそこまで自分を責めることはない」
ジャックの言う意味が全く分からず,スウェンはしかめ面をした。
「スウェン,あのな,奴らは賊だぞ。罪のない人から平気で命を奪う,抹消すべき悪党なんだ! だったらスウェンのやったことは,悪いことじゃないだろ」
「…………」
彼のそんな考えに,疑問を感じる。
スウェンは決して,頷くことはなかった。
血の付いた服や顏をタオルで拭い,スウェンは考え込んだ。
たしかに賊は人を殺す。だが――その賊の命を奪うことが正しいと言えるのだろうか。
そんなことはないはずだ。悪党と同じことをしても,それは正義ではない。どんな人間でも,生きているのだから,その命を奪うことは決して許されないはずだ。スウェンはそう思っていた。
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