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第二章:出会い
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そんなスウェンの考えとは裏腹に,ジャックはまだ言い続けていた。
「大丈夫,法律的には犯罪にならないし。それに――」
「あのなあジャック! そんなのどうでもいいんだ! とにかく俺は,嫌だよ。賊とは関わりたくない」
「……と言ってもな。それは無理だと思うぜ」
「どうして!」
気持ちが抑えきれず,スウェンはジャックの両肩を掴んだ。
「さっきの奴ら……ルーカスとボビーだったか。
その二人だけ逃しちまったんだ。したら『いつか殺してやる』とか捨て台詞置いてかれて。あの感じだとまた,旅先で会うことになると思う。賊は執念深いからな……」
「そんなの知ったことじゃない。俺は完全シカトするからな」
賊と再び戦うことになれば,今のように自分自身がおかしくなる可能性は十分にあった。恐ろしくて,鳥肌が立った。
「どっちにしてもな……エドガーを見つけ出すには,賊の拠点地でもあるデザイヤ帝国に行かなきゃならねぇんだ。立ち向かわないと,目的は果たせないんだぞ」
スウェンは言葉をなくし,ため息を漏らした。
旅の初日から,これほど大変な目に遭うなど思ってもみなかった。
「あんまり落ち込むな。オレも……初めて人を殺した時は,お前以上にショックを受けた。賊は極めて悪なんだと理解したら,なんとか立ち直ったけど――」
懸命に言葉をジャックは並べてくれているみたいだが,それよりもスウェンはさきほどの自分に問題があると思っている。
ハンマーの攻撃に対して全く痛みを感じない。血も出ない。
そして,殺人に快感を味わう。I・Bのせいだとしても,症状が今までとまるで違う。
「ここはまぁ,荒れすぎだな。お嬢さんが起きる前には移動したほうがいい」
未だ倒れる女を見ながら,ジャックが言った。
「荷物持ってくれ。お嬢さんはオレが背負ってくから」
「……分かった」
ジャックはゆっくり女を抱き上げ,先頭を歩き始める。
無言で彼のあとを付いていき,重い足をスウェンはひたすら動かした。
*
足元の悪い道を歩き続けて数時間。
スウェンたちは,やっとの思いで森から抜け出すことができた。
果てしなく広がる,壮大な草原がそこにはあった。草花以外,これといったものはないが,晴天のためとても爽やかに感じた。
日光が十分に当たる所で,ジャックは立ち止まる。女を平地に寝かせ,一息入れた。
「スウェン,その娘を起こしてくれ。オレは少し休みたい」
随分,ジャックは疲れているようだった。長時間歩き続け,休むことなく女を背負ってきたのだ。無理もない。
仕方なく,スウェンは彼女を起こしてやることにした。
しかし,女の姿をまじまじ見てみると,違和感があることに気付いた。
(今日そんなに寒くないだろ。この人なんでこんな格好を?)
おかしいのは服装であった。
春季で暖かい日が続いているというのに,彼女は実に暑苦しい格好をしている。
頭には冬に被るべきニット製の帽子。薄黄色ワンピースの中に長袖。両手には皮製の手袋。脚にはデニムパンツ。そして薄茶のロングブーツを履いていた。全くと言っていいほど露出が少ない。なぜこんなに季節外れな格好をしているのだろうか――。
「おい,君。起きろ。大丈夫か」
肩を揺さぶってみるが,女は目覚める気配がない。
スウェンは,ふとニット帽が気になった。そっと帽子に触れ,女の頭から外してみる。赤茶色のロングヘアを生やす彼女の姿を見ると,なぜかスウェンは見入ってしまった。
「大丈夫,法律的には犯罪にならないし。それに――」
「あのなあジャック! そんなのどうでもいいんだ! とにかく俺は,嫌だよ。賊とは関わりたくない」
「……と言ってもな。それは無理だと思うぜ」
「どうして!」
気持ちが抑えきれず,スウェンはジャックの両肩を掴んだ。
「さっきの奴ら……ルーカスとボビーだったか。
その二人だけ逃しちまったんだ。したら『いつか殺してやる』とか捨て台詞置いてかれて。あの感じだとまた,旅先で会うことになると思う。賊は執念深いからな……」
「そんなの知ったことじゃない。俺は完全シカトするからな」
賊と再び戦うことになれば,今のように自分自身がおかしくなる可能性は十分にあった。恐ろしくて,鳥肌が立った。
「どっちにしてもな……エドガーを見つけ出すには,賊の拠点地でもあるデザイヤ帝国に行かなきゃならねぇんだ。立ち向かわないと,目的は果たせないんだぞ」
スウェンは言葉をなくし,ため息を漏らした。
旅の初日から,これほど大変な目に遭うなど思ってもみなかった。
「あんまり落ち込むな。オレも……初めて人を殺した時は,お前以上にショックを受けた。賊は極めて悪なんだと理解したら,なんとか立ち直ったけど――」
懸命に言葉をジャックは並べてくれているみたいだが,それよりもスウェンはさきほどの自分に問題があると思っている。
ハンマーの攻撃に対して全く痛みを感じない。血も出ない。
そして,殺人に快感を味わう。I・Bのせいだとしても,症状が今までとまるで違う。
「ここはまぁ,荒れすぎだな。お嬢さんが起きる前には移動したほうがいい」
未だ倒れる女を見ながら,ジャックが言った。
「荷物持ってくれ。お嬢さんはオレが背負ってくから」
「……分かった」
ジャックはゆっくり女を抱き上げ,先頭を歩き始める。
無言で彼のあとを付いていき,重い足をスウェンはひたすら動かした。
*
足元の悪い道を歩き続けて数時間。
スウェンたちは,やっとの思いで森から抜け出すことができた。
果てしなく広がる,壮大な草原がそこにはあった。草花以外,これといったものはないが,晴天のためとても爽やかに感じた。
日光が十分に当たる所で,ジャックは立ち止まる。女を平地に寝かせ,一息入れた。
「スウェン,その娘を起こしてくれ。オレは少し休みたい」
随分,ジャックは疲れているようだった。長時間歩き続け,休むことなく女を背負ってきたのだ。無理もない。
仕方なく,スウェンは彼女を起こしてやることにした。
しかし,女の姿をまじまじ見てみると,違和感があることに気付いた。
(今日そんなに寒くないだろ。この人なんでこんな格好を?)
おかしいのは服装であった。
春季で暖かい日が続いているというのに,彼女は実に暑苦しい格好をしている。
頭には冬に被るべきニット製の帽子。薄黄色ワンピースの中に長袖。両手には皮製の手袋。脚にはデニムパンツ。そして薄茶のロングブーツを履いていた。全くと言っていいほど露出が少ない。なぜこんなに季節外れな格好をしているのだろうか――。
「おい,君。起きろ。大丈夫か」
肩を揺さぶってみるが,女は目覚める気配がない。
スウェンは,ふとニット帽が気になった。そっと帽子に触れ,女の頭から外してみる。赤茶色のロングヘアを生やす彼女の姿を見ると,なぜかスウェンは見入ってしまった。
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