死の呪いの男爵長子と不死の呪いの魔王王女

まほまほ

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追放されて生死を彷徨ったら、美少女に介抱されていました

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 温かい。
 誰かがそばにいてくれる。

 そんな夢のような話があるか。

 俺は呪いのせいで父直々に国外追放された身だ。
 誰も俺なんかを助けてくれるはずなんてない。

 なのに。

 なのに。なのに。

 俺は意識の中で、この言い知れない他人の温もりという感覚を突っぱねようとしているのに。

「なんて、あったかいんだ…」

 目を開けると、俺の目に飛び込んできたのは二つの大きな実。

 その大きな実の向こう側から俺に気づいて発せられる幼子のような細い声。

「む…。起きたのか? 寝言か?」

 〝顔が見えなくてわからんな〟と小声で訝しげにしているのがわかる。

 これは、つまり――

 この状況はつまり――

 これはまさしく――

「………夢か」

 夢だな。うん。

 俺は、再び目を閉じた。

「ん? 起きてるよな? 私の耳はごまかせぬぞ?」

 なんて優しい温もりなんだ。

「おい」
 
 こんなに良くしてもらえるとは、呪われている俺の人生では考えられないな。

「起きたのだろう? 返事をせぬか」

 だが、ちょっとこの夢は動く間隔がちょっと気になるな。

「おい、行き倒れ殿」

 ムカ。

 そして、俺は反射的に起き上がろうとした。
 だが、できなかったのである。

 なぜなら…。

「誰が好きで行き倒れ…!!?? ぶわっ!」
「ムッ…!」

 大きな二つの果実のことが頭から抜け落ちていたためだ。
 勢いつけて起き上がった俺の顔が、実に激しくぶつかり、そして言葉を最後まで言わせなかったのだ。
 すごく柔らかく、そしてぶるるんとすごい揺れ方をした。

 これはなかなかに出来る奴だと思った。

「…!!」

 静寂が流れた。

「わ、わるい! 今のは俺が悪かった!」

 俺は動揺を隠せなかった。初体験だったし。

 そして、彼女に至っては長い耳の先まで赤くなっていた。

「ふざけおって…! 妾の…! 妾の…!」

 え、なにこの感じ。

 想定した反応とはちょっと違う。

〈パチン!!〉

 左頬が痛い。

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