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第一部
第10話 春の嵐! ☆
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朝から何だか庭の方が騒がしい。
「おはようございます、お嬢様」
「おはよう、ルーチェ。何かあったの?」
食堂に朝御飯を配膳してきたルーチェに声をかける。
「どうやら、昨夜竜巻か何かがあったみたいで……庭の小屋が半壊したみたいですわ」
「竜巻……?」
「季節外れですよね。結構な音が夜半にしたようで、衛兵が見回りで気づいたようですわ」
昨日の……小屋だ。
絶対竜巻じゃないわよね。絶対人為的なものだわ。
「小屋に誰か居なかった?」
「昨夜、衛兵が見回りで見つけたらしいですが、被害は肥料の袋が破けたぐらいで済んだみたいですわ。大したものは置いてなかったようですね」
「そう、誰も居なかったのね」
「はい。ゲンメは小屋だけで済んだみたいですけど、昨晩は色々な所で竜巻が発生したらしいですよ。イスキアは軍艦が沈んじゃったらしくて、港は大騒ぎだそうです」
「軍艦が沈む?」
「イスキア水軍がエスト兵と一緒に合同演習をするために大量に寄港してたらしくって。幸い、船が木っ端微塵になっただけで、死者は殆ど出てないみたいですけどね」
「この時期って台風とかが良く来るの?」
「島国で確かに通り道ですが、まだ台風の季節ではありませんよ。たまにあるんですよね、この国って。こういう竜巻みたいな被害」
「はぁ…」
ルーチェが運んでくれたオムレツを一口運ぶ。
まだ熱々で美味しい~。朝から幸せだわ。
「パンとミルク持ってきますね」
ルーチェが退出しようとするのを引き止める。
「ゴメン、ルーチェ。新聞頼んで良い?」
「承知いたしました」
ルーチェが持ってきた新聞に目を通す。
記事によると、海上を突然襲った竜巻?が発生した時刻はちょうど、私が昨夜散歩に出ていた時間。
何か、釈然としないのよね……急に竜巻が海上に発生してイスキア軍艦だけ狙い撃ちするかな?隣で停泊していた貨物船は無事なのに、イスキア軍艦だけ木っ端微塵なのは違和感よね……。
おっ、ウィルブラン・エスト。大公代理で四公会議に出席?
……この名前、昨日の銀髪美少年よね。
小屋に居なかった、ということは無事に帰れたのかしら。
「ねぇねぇ、ルーチェ。このウィルブラン・エストって知ってる?」
「はい。もちろんです。お嬢様が散々追いかけ回して、えげつないぐらい苛めていた方ですよ。現エスト大公の三男でヴィンセント様が金の公子、ウィルブラン様は銀の公子と呼ばれ、この国で彼らを知らない国民はいない程の有名人です」
「……やっぱり?」
「まぁ、お嬢様方にやられるようなお方ではないので、いつも見事なぐらい倍返しされてみえましたけどね。見目かたちはあんなに麗しいのに、中々苛烈な性格のお方だと思いますよ。銀の公子も」
今までのマルサネの数々の行動や銀の公子の反撃を思い出しているのであろう、遠い目をするルーチェ。
思い出さなくていいわ……。あんまり知りたくないし。
「あんな素敵な公子をどうして苛めていたのかしら?」
「どうしてって、蛇姫と散々苛めていたお嬢様が言います?あぁ、例の記憶喪失ですか……」
呆れたようにルーチェが言った。
「苛め方も蛇姫とお嬢様では真逆でいらっしゃっいましたよ。
お嬢様はストレートに服を脱がして襲おうとしたり、持ち物を破壊したり、汚物を机や鞄にいれて銀の公子を毎回ゲンナリさせてみえましたわ。蛇姫は小動物を生きたまま解剖されて、それを生きている状態でプレゼントされるような気持ち悪い感じで。それはまぁ、傍目にもウィルブラン様はお気の毒な学園生活を送っておいででした……」
悪役令嬢って、ドレスを汚したりするんじゃなかったっけ?
襲うとか破壊とか、汚物やら解剖ってワードがオカシイと思うんだけど。
多分、マルサネの行動に関しては記憶がない方が絶対私は幸せだと思うわ……。
「まぁ、苛められていた一番の理由はヴィンセント様の選んだ相手だということだと思いますが……」
「へ?」
「有名な話ですよ。蛇姫とお嬢様どちらかと婚約を迫られた際に、ヴィンセント様がお母様と御身内の反対を押しきって結婚されたお父様のように真実の愛を探したい、とおっしゃってウィルブラン様にキスをされたという逸話は」
「真実の愛……?キス?!」
「金銀公子のカップルは、Gネット掲示板で凄い盛り上がりみたいですし」
「カップル?Gネット?」
この国にもBLの掲示板があるみたいね……。他にも色々ありそう。ぅぅ、のぞいてみたい!
「まぁ、お二人は常に一緒にいらっしゃって仲睦まじい様子でいらっしゃったから、お嬢様は醜い嫉妬心から苛められていたんじゃないですかね」
「醜い嫉妬心……」
本当、ルーチェはストレートね。まぁ、その通りなんだろうけどさ。
でもさ~、カップルってことは、この世界は男同士でも婚姻とか、子どもが生めちゃったりするのかしら。
いや~!異世界っぽいわ。
ヴィンセント様とウィル、めっちゃお似合いだと思うんだけど。
ルーチェに男同士で結婚や出産が出来るのか?と聞いたら
「また頭をどこかで打たれたのですか?」
と冷たくかえされちゃった。
ネット掲示板で盛り上がるぐらいの文化はあるが同性婚はこの世界でも少数派。男同士では子どもは生まれないらしい。
……ちょっと残念?
だって、壮絶美形キャラ同士の子どもよ?どんな子どもが生まれるか楽しみじゃない?たまごっち的な配合として最強っぽいじゃん?
「今日のご予定は?」
ルーチェが食器を下げ、食後のお茶を出してくれる。
「とりあえず、お父様について会議かしら」
「では、ドレスはどうなさいます?」
「この作業着でもいいかなぁ」
私はビローンとズボンの裾を引っ張ってルーチェにアピール。
「ダメです。大門で入れてもらえませんよ」
冷たく却下される。
「……でももう、ピンクのは無理よ~」
「安心して下さい。例の輝くシリーズはご命令通り、もう全部処分いたしましたからありまけんわ」
「ねぇ、ルーチェ。ネットがあるということは、ネットショッピングはできるのかしら?」
「出来ますが、会議にお出かけになるなら、ネットカフェに行く時間は有りませんわよ?」
Gネットは世界を繋いでいる工房ベイト王国の通信ネットワークシステムなんだけど、端末がスマートフォンみたいに小型化してないので、ネットを使いたい場合は街のネットカフェを使わないといけないらしい。
仕方ない。ネットショッピングは会議の後ね。
また、PTAスーツの出番よ!
「会議は行くわ。別に次期大公妃になりたいわけじゃないけど、色々気になることが多過ぎるのよね……」
「おはようございます、お嬢様」
「おはよう、ルーチェ。何かあったの?」
食堂に朝御飯を配膳してきたルーチェに声をかける。
「どうやら、昨夜竜巻か何かがあったみたいで……庭の小屋が半壊したみたいですわ」
「竜巻……?」
「季節外れですよね。結構な音が夜半にしたようで、衛兵が見回りで気づいたようですわ」
昨日の……小屋だ。
絶対竜巻じゃないわよね。絶対人為的なものだわ。
「小屋に誰か居なかった?」
「昨夜、衛兵が見回りで見つけたらしいですが、被害は肥料の袋が破けたぐらいで済んだみたいですわ。大したものは置いてなかったようですね」
「そう、誰も居なかったのね」
「はい。ゲンメは小屋だけで済んだみたいですけど、昨晩は色々な所で竜巻が発生したらしいですよ。イスキアは軍艦が沈んじゃったらしくて、港は大騒ぎだそうです」
「軍艦が沈む?」
「イスキア水軍がエスト兵と一緒に合同演習をするために大量に寄港してたらしくって。幸い、船が木っ端微塵になっただけで、死者は殆ど出てないみたいですけどね」
「この時期って台風とかが良く来るの?」
「島国で確かに通り道ですが、まだ台風の季節ではありませんよ。たまにあるんですよね、この国って。こういう竜巻みたいな被害」
「はぁ…」
ルーチェが運んでくれたオムレツを一口運ぶ。
まだ熱々で美味しい~。朝から幸せだわ。
「パンとミルク持ってきますね」
ルーチェが退出しようとするのを引き止める。
「ゴメン、ルーチェ。新聞頼んで良い?」
「承知いたしました」
ルーチェが持ってきた新聞に目を通す。
記事によると、海上を突然襲った竜巻?が発生した時刻はちょうど、私が昨夜散歩に出ていた時間。
何か、釈然としないのよね……急に竜巻が海上に発生してイスキア軍艦だけ狙い撃ちするかな?隣で停泊していた貨物船は無事なのに、イスキア軍艦だけ木っ端微塵なのは違和感よね……。
おっ、ウィルブラン・エスト。大公代理で四公会議に出席?
……この名前、昨日の銀髪美少年よね。
小屋に居なかった、ということは無事に帰れたのかしら。
「ねぇねぇ、ルーチェ。このウィルブラン・エストって知ってる?」
「はい。もちろんです。お嬢様が散々追いかけ回して、えげつないぐらい苛めていた方ですよ。現エスト大公の三男でヴィンセント様が金の公子、ウィルブラン様は銀の公子と呼ばれ、この国で彼らを知らない国民はいない程の有名人です」
「……やっぱり?」
「まぁ、お嬢様方にやられるようなお方ではないので、いつも見事なぐらい倍返しされてみえましたけどね。見目かたちはあんなに麗しいのに、中々苛烈な性格のお方だと思いますよ。銀の公子も」
今までのマルサネの数々の行動や銀の公子の反撃を思い出しているのであろう、遠い目をするルーチェ。
思い出さなくていいわ……。あんまり知りたくないし。
「あんな素敵な公子をどうして苛めていたのかしら?」
「どうしてって、蛇姫と散々苛めていたお嬢様が言います?あぁ、例の記憶喪失ですか……」
呆れたようにルーチェが言った。
「苛め方も蛇姫とお嬢様では真逆でいらっしゃっいましたよ。
お嬢様はストレートに服を脱がして襲おうとしたり、持ち物を破壊したり、汚物を机や鞄にいれて銀の公子を毎回ゲンナリさせてみえましたわ。蛇姫は小動物を生きたまま解剖されて、それを生きている状態でプレゼントされるような気持ち悪い感じで。それはまぁ、傍目にもウィルブラン様はお気の毒な学園生活を送っておいででした……」
悪役令嬢って、ドレスを汚したりするんじゃなかったっけ?
襲うとか破壊とか、汚物やら解剖ってワードがオカシイと思うんだけど。
多分、マルサネの行動に関しては記憶がない方が絶対私は幸せだと思うわ……。
「まぁ、苛められていた一番の理由はヴィンセント様の選んだ相手だということだと思いますが……」
「へ?」
「有名な話ですよ。蛇姫とお嬢様どちらかと婚約を迫られた際に、ヴィンセント様がお母様と御身内の反対を押しきって結婚されたお父様のように真実の愛を探したい、とおっしゃってウィルブラン様にキスをされたという逸話は」
「真実の愛……?キス?!」
「金銀公子のカップルは、Gネット掲示板で凄い盛り上がりみたいですし」
「カップル?Gネット?」
この国にもBLの掲示板があるみたいね……。他にも色々ありそう。ぅぅ、のぞいてみたい!
「まぁ、お二人は常に一緒にいらっしゃって仲睦まじい様子でいらっしゃったから、お嬢様は醜い嫉妬心から苛められていたんじゃないですかね」
「醜い嫉妬心……」
本当、ルーチェはストレートね。まぁ、その通りなんだろうけどさ。
でもさ~、カップルってことは、この世界は男同士でも婚姻とか、子どもが生めちゃったりするのかしら。
いや~!異世界っぽいわ。
ヴィンセント様とウィル、めっちゃお似合いだと思うんだけど。
ルーチェに男同士で結婚や出産が出来るのか?と聞いたら
「また頭をどこかで打たれたのですか?」
と冷たくかえされちゃった。
ネット掲示板で盛り上がるぐらいの文化はあるが同性婚はこの世界でも少数派。男同士では子どもは生まれないらしい。
……ちょっと残念?
だって、壮絶美形キャラ同士の子どもよ?どんな子どもが生まれるか楽しみじゃない?たまごっち的な配合として最強っぽいじゃん?
「今日のご予定は?」
ルーチェが食器を下げ、食後のお茶を出してくれる。
「とりあえず、お父様について会議かしら」
「では、ドレスはどうなさいます?」
「この作業着でもいいかなぁ」
私はビローンとズボンの裾を引っ張ってルーチェにアピール。
「ダメです。大門で入れてもらえませんよ」
冷たく却下される。
「……でももう、ピンクのは無理よ~」
「安心して下さい。例の輝くシリーズはご命令通り、もう全部処分いたしましたからありまけんわ」
「ねぇ、ルーチェ。ネットがあるということは、ネットショッピングはできるのかしら?」
「出来ますが、会議にお出かけになるなら、ネットカフェに行く時間は有りませんわよ?」
Gネットは世界を繋いでいる工房ベイト王国の通信ネットワークシステムなんだけど、端末がスマートフォンみたいに小型化してないので、ネットを使いたい場合は街のネットカフェを使わないといけないらしい。
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