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10章 死霊術師の覚悟
13-2
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キョンシーだって?それは、前の世界でも聞いたことあるぞ。中国の妖怪だったはずだ。頭にお札が付いていて、ぴょんぴょん跳んで移動する……が、目の前の改造人間は、俺のイメージからはかけ離れていた。どっちかっていうと、フランケンシュタインの化け物だ。
「わはははは!このキョンシーには、百八個もの武器が仕込んである!ただの人間が束になったところで、到底かなう相手ではないわ!」
老ネクロマンサーが豪語するだけのことはある。棺桶から起き上がったキョンシーが一歩踏み出す度に、ずしんと足元の雪がめり込んでいる。相当な重量みたいだ……
「っ……」
後ろに下がったフランが、短く息をのむのが分かった。それでも彼女は、俺の言葉を信じて、前に出ようとはしてこない。なら、その信頼に応えないとな。
「そっちが切り札なら、こっちは必殺技だ……!」
俺はマントのつなぎ目から、再び右手を突き出した。手のひらを、まっすぐキョンシーへと向ける。
「無駄だ無駄だ!このキョンシーに、小細工など通用するものか!」
老ネクロマンサーは、絶対の自信がある様子だ。さっきのようにうろたえたりはしない。
「ああ。だから、大技を使わせてもらう」
俺は意識を集中し、右手に魔力を集めた。今度こそ白黒つけてやるぜ、どっちが強いネクロマンサーかな!
「いくぞ!ソウル・カノンッ!」
ドンッ!右手に溜まった魔力の塊が、キョンシーへと飛んでいく。
「ははは!何をしようが……」
老ネクロマンサーの声は、途中でかき消された。
ドパアアァァァンン!
ソウルカノンが直撃したキョンシーは、バラバラになって吹き飛んだ。鈍重なキョンシーに、俺の攻撃をよける敏捷さは備わっていなかったのだ。老ネクロマンサーがあんぐりと口を開ける。はるか後方の雪原に、吹っ飛んだキョンシーのパーツが点々と落下した。ドサ、ドサドサ。
「ふぅ……よし。あれじゃ、さすがに起き上がっては来れないだろ」
しっかし、やっぱり調子がいい。ソウルカノンを撃ったというのに、ぜんぜん体がふらつかない。あと二、三発は撃てそうだ。ファルマナの施術はバツグンだな。
キョンシーが完全に沈黙したのを確認して、俺は老ネクロマンサーに近づいた。
「ばか……ばかな……」
老ネクロマンサーは、キョンシーが吹っ飛んでいった後方を見て、呆然とつぶやいている。俺がすぐそばまで近寄ると、その足音で、こちらにのろのろと振り返った。
「さて。これで終わりか?それとも、まだ切り札があるのか」
「おま……お前は……私と同じ……」
「そう。俺もネクロマンサーだ。あんたとはちょっと毛色が違うみたいだけど」
少なくとも、この爺さんは俺みたいに、右手を振るうようなことはしなかった。それに、操っている死霊もまた、俺とは異なる。あのキョンシーを見て、ようやく違和感の正体に気付いた。
「なあ。さっきのもそうだけど、なんであんなことしてるんだ?」
「なに……?」
「アンデッドのことだよ。あれ、死体にわざわざ、別の霊を憑依させてるだろ。たぶん、レイスあたりの」
それが、俺の感じた違和感。“心ここにあらず”の正体だ。さっきのゾンビ……いや、ワイトだっけ?あれもだし、キョンシーにも、“本人”の意思をまるっきり感じなかったのだ。
フランたちアンデッドにも自我がある。狂気に飲まれて暴走するときもあるが、全くないということはない。では、なぜ意思を感じないのか。
「別の魂が入ってるんだったら、意思なんかあるわけないよな。他人の魂を憑依させて、それで体を操ってただけなんだから」
俺が対フラン戦で用いた、トゥームストーンゴーレムと同じ原理だ。レイスを憑依させて物体を操るのだから、いわば操り人形のようなもんだな。そしてレイスは、自我が崩壊している怨霊なので、繊細な動きには全く期待できない。早い話が、弱い。
「なんでわざわざ、アンデッドを弱くするようなことをしてんだ?だったら、はじめからゾンビを使役すればよかったのに」
「な、なんだと?お、お前はバカなのか?」
むっ、失礼な。老ネクロマンサーは後ずさりしながらも、口調はまだまだ喧嘩腰だった。あんまり刺激すると、俺の後ろの子が何するか分かんないぜ?なんてな。
「その心は?」
「なに?ふ、ふん。お前のようなひよっこには分からんだろう。あやつらは、後悔を残さずに死んだのだ。ゾンビとして復活していないのだから、直接操れるわけがなかろう」
「あ、そういうことか」
素直に納得してしまった。なるほど、そもそもゾンビじゃなかったのか。この老ネクロマンサーは、襲撃者の親族を操ることで、精神的なダメージを与えるって話だった。けど、そう都合よく親族がゾンビになっているわけじゃなかったってことだな。
「なるほどな。けど、一体くらいは、もう少し強いアンデッドがいてもよかったんじゃないか?こういう時のためにさ」
俺は同業者が珍しいせいで、つい普通に話を振ってしまった。後ろから、何のんきに会話しているんだという視線を感じる……けど、気になっていたんだよな。フランみたいなのが一人でもいれば、俺はもっと苦戦を強いられたはずだ。
「な、なんだと?貴様、我がキョンシーが弱いと抜かすか……」
「んー、まあ、正直な。レイスが中身の時点で、察しがつくというか……あっさり倒せちゃったし」
「ぐっ……」
「だってさ、いるだろ、色々と強いアンデッドって。てっきりヴァンパイアとかが出てくるかと思ったのに」
「ヴァ、ヴァンパイアだと?いい加減なことを言うな、吸血鬼がネクロマンサーにかしづくわけがなかろう!」
え?俺は思わず、フランたちの後ろで我関せずの顔をしている、アルルカを振り返った。アルルカは俺の視線に気づくと、なぜか顔を赤らめて、いーっという口をした。もしかして、ネクロマンサーの力の強さによっては、使役できるアンデッドに制限があるのだろうか?俺は今まで、すべての死霊を使役できていたから気付かなかったけど……てことはつまり、この爺さんはそこまで強い術者じゃないってことになるよな。コルトから聞いた話と矛盾してないか?
「あ!ちょっと、前見て!」
え?フランの鋭い叫びに振りむくと、老ネクロマンサーがローブを翻して走り出すところだった。あいつ、逃げたぞ!
「こら、待て!」
「く、来るなぁ!」
老ネクロマンサーがローブの裾に手を突っ込むと、そこから巻紙を取り出した。げっ、スクロールだ!
「スケアクロウ!」
うお!老ネクロマンサーがスクロールを引き裂くと、そこから気味の悪い靄がふき出してきた!とっさに後ろに跳ぶと、入れ違いにフランとエラゼムが俺の前に立ちふさがる。だが靄は、俺たち全員をすっぽり包み込んでしまった。
「これは……!」
「息をしないで!」
フランに言われて、俺は慌てて鼻を覆った。そうか、毒……!じゃ、なさそうだな。この気配、今までさんざん感じているぞ。
「フラン、大丈夫だ」
「え?」
「これ、ただの魔力だ。怨霊の放つ精気に似せてるけど……別に、なんてことないよ」
この靄、フランと出会った森に満ちていた精気にそっくりだ。懐かしいなぁ。たぶん、これで足止めするつもりだったんだろうが、生憎と俺はこの手のものには耐性がある。
「っと。それより、あの爺さんを!作戦のためにも、あいつを逃がしちゃダメだ!」
「わかった!」
フランは即座に、雪を散らして飛び出した。あっという間に老ネクロマンサーに追いつくと、その背中に体当たりを食らわせる。老ネクロマンサーはバランスを崩して、雪の中に倒れこんだ。
「いよし、ナイスフラン!」
俺たちが追い付くと、老ネクロマンサーは雪をかき分けながら、ジタバタともんどり返っていた。近くで見てみると、やっぱり歳を食っているな。ローブの袖から覗く腕は、ひょろりと細い。フードをかぶった顔には、深いしわが刻まれていた。
「ええい、よるな!近づくんじゃない、卑しいやつらめ!それ以上近寄ると、命はないぞ!」
老ネクロマンサーは、口の端に泡を付けながら、腕をぶんぶんと振り回している。そうして口を動かしながらも、じりじりと後ずさりして逃げようとしているんだから、手に負えないな。腹に据えかねたフランは、老ネクロマンサーの足首をひっつかんで、逆さまに持ち上げた。
「うわあ!や、やめろー!」
老ネクロマンサーは完全に目を回していた。ローブのすき間から、スクロールやら怪しい瓶やらがぽとぽと落ちてくる。まったく、死霊術師というか、手品師みたいだな。
「フラン。降ろしてやれ。ただし、逃がさないように」
フランがパッと手をはなすと、老ネクロマンサーはどさっと雪の上に落ちた。その周りを、俺たちでぐるりと取り囲む。起き上がった老ネクロマンサーは、もはや逃げ場はないと悟ったのか、顔を土気色にして震えだした。
「あー、爺さん。こういうわけだ。あんたの負けだよ」
「ぁ……ぁあ……」
うーん。圧勝したっていうのに、どうにもこう、やるせない気分だ。ひょろひょろの老人に寄ってたかって……まるで俺たちが悪者みたいじゃないか?
「……ぅ、お」
「え?」
「こっ。殺さないでくれぇぇぇぇえ!」
がばっ。老ネクロマンサーは、両手をつき、頭から雪の中に突っ込んだ。完璧な姿勢の土下座だった。
つづく
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読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「わはははは!このキョンシーには、百八個もの武器が仕込んである!ただの人間が束になったところで、到底かなう相手ではないわ!」
老ネクロマンサーが豪語するだけのことはある。棺桶から起き上がったキョンシーが一歩踏み出す度に、ずしんと足元の雪がめり込んでいる。相当な重量みたいだ……
「っ……」
後ろに下がったフランが、短く息をのむのが分かった。それでも彼女は、俺の言葉を信じて、前に出ようとはしてこない。なら、その信頼に応えないとな。
「そっちが切り札なら、こっちは必殺技だ……!」
俺はマントのつなぎ目から、再び右手を突き出した。手のひらを、まっすぐキョンシーへと向ける。
「無駄だ無駄だ!このキョンシーに、小細工など通用するものか!」
老ネクロマンサーは、絶対の自信がある様子だ。さっきのようにうろたえたりはしない。
「ああ。だから、大技を使わせてもらう」
俺は意識を集中し、右手に魔力を集めた。今度こそ白黒つけてやるぜ、どっちが強いネクロマンサーかな!
「いくぞ!ソウル・カノンッ!」
ドンッ!右手に溜まった魔力の塊が、キョンシーへと飛んでいく。
「ははは!何をしようが……」
老ネクロマンサーの声は、途中でかき消された。
ドパアアァァァンン!
ソウルカノンが直撃したキョンシーは、バラバラになって吹き飛んだ。鈍重なキョンシーに、俺の攻撃をよける敏捷さは備わっていなかったのだ。老ネクロマンサーがあんぐりと口を開ける。はるか後方の雪原に、吹っ飛んだキョンシーのパーツが点々と落下した。ドサ、ドサドサ。
「ふぅ……よし。あれじゃ、さすがに起き上がっては来れないだろ」
しっかし、やっぱり調子がいい。ソウルカノンを撃ったというのに、ぜんぜん体がふらつかない。あと二、三発は撃てそうだ。ファルマナの施術はバツグンだな。
キョンシーが完全に沈黙したのを確認して、俺は老ネクロマンサーに近づいた。
「ばか……ばかな……」
老ネクロマンサーは、キョンシーが吹っ飛んでいった後方を見て、呆然とつぶやいている。俺がすぐそばまで近寄ると、その足音で、こちらにのろのろと振り返った。
「さて。これで終わりか?それとも、まだ切り札があるのか」
「おま……お前は……私と同じ……」
「そう。俺もネクロマンサーだ。あんたとはちょっと毛色が違うみたいだけど」
少なくとも、この爺さんは俺みたいに、右手を振るうようなことはしなかった。それに、操っている死霊もまた、俺とは異なる。あのキョンシーを見て、ようやく違和感の正体に気付いた。
「なあ。さっきのもそうだけど、なんであんなことしてるんだ?」
「なに……?」
「アンデッドのことだよ。あれ、死体にわざわざ、別の霊を憑依させてるだろ。たぶん、レイスあたりの」
それが、俺の感じた違和感。“心ここにあらず”の正体だ。さっきのゾンビ……いや、ワイトだっけ?あれもだし、キョンシーにも、“本人”の意思をまるっきり感じなかったのだ。
フランたちアンデッドにも自我がある。狂気に飲まれて暴走するときもあるが、全くないということはない。では、なぜ意思を感じないのか。
「別の魂が入ってるんだったら、意思なんかあるわけないよな。他人の魂を憑依させて、それで体を操ってただけなんだから」
俺が対フラン戦で用いた、トゥームストーンゴーレムと同じ原理だ。レイスを憑依させて物体を操るのだから、いわば操り人形のようなもんだな。そしてレイスは、自我が崩壊している怨霊なので、繊細な動きには全く期待できない。早い話が、弱い。
「なんでわざわざ、アンデッドを弱くするようなことをしてんだ?だったら、はじめからゾンビを使役すればよかったのに」
「な、なんだと?お、お前はバカなのか?」
むっ、失礼な。老ネクロマンサーは後ずさりしながらも、口調はまだまだ喧嘩腰だった。あんまり刺激すると、俺の後ろの子が何するか分かんないぜ?なんてな。
「その心は?」
「なに?ふ、ふん。お前のようなひよっこには分からんだろう。あやつらは、後悔を残さずに死んだのだ。ゾンビとして復活していないのだから、直接操れるわけがなかろう」
「あ、そういうことか」
素直に納得してしまった。なるほど、そもそもゾンビじゃなかったのか。この老ネクロマンサーは、襲撃者の親族を操ることで、精神的なダメージを与えるって話だった。けど、そう都合よく親族がゾンビになっているわけじゃなかったってことだな。
「なるほどな。けど、一体くらいは、もう少し強いアンデッドがいてもよかったんじゃないか?こういう時のためにさ」
俺は同業者が珍しいせいで、つい普通に話を振ってしまった。後ろから、何のんきに会話しているんだという視線を感じる……けど、気になっていたんだよな。フランみたいなのが一人でもいれば、俺はもっと苦戦を強いられたはずだ。
「な、なんだと?貴様、我がキョンシーが弱いと抜かすか……」
「んー、まあ、正直な。レイスが中身の時点で、察しがつくというか……あっさり倒せちゃったし」
「ぐっ……」
「だってさ、いるだろ、色々と強いアンデッドって。てっきりヴァンパイアとかが出てくるかと思ったのに」
「ヴァ、ヴァンパイアだと?いい加減なことを言うな、吸血鬼がネクロマンサーにかしづくわけがなかろう!」
え?俺は思わず、フランたちの後ろで我関せずの顔をしている、アルルカを振り返った。アルルカは俺の視線に気づくと、なぜか顔を赤らめて、いーっという口をした。もしかして、ネクロマンサーの力の強さによっては、使役できるアンデッドに制限があるのだろうか?俺は今まで、すべての死霊を使役できていたから気付かなかったけど……てことはつまり、この爺さんはそこまで強い術者じゃないってことになるよな。コルトから聞いた話と矛盾してないか?
「あ!ちょっと、前見て!」
え?フランの鋭い叫びに振りむくと、老ネクロマンサーがローブを翻して走り出すところだった。あいつ、逃げたぞ!
「こら、待て!」
「く、来るなぁ!」
老ネクロマンサーがローブの裾に手を突っ込むと、そこから巻紙を取り出した。げっ、スクロールだ!
「スケアクロウ!」
うお!老ネクロマンサーがスクロールを引き裂くと、そこから気味の悪い靄がふき出してきた!とっさに後ろに跳ぶと、入れ違いにフランとエラゼムが俺の前に立ちふさがる。だが靄は、俺たち全員をすっぽり包み込んでしまった。
「これは……!」
「息をしないで!」
フランに言われて、俺は慌てて鼻を覆った。そうか、毒……!じゃ、なさそうだな。この気配、今までさんざん感じているぞ。
「フラン、大丈夫だ」
「え?」
「これ、ただの魔力だ。怨霊の放つ精気に似せてるけど……別に、なんてことないよ」
この靄、フランと出会った森に満ちていた精気にそっくりだ。懐かしいなぁ。たぶん、これで足止めするつもりだったんだろうが、生憎と俺はこの手のものには耐性がある。
「っと。それより、あの爺さんを!作戦のためにも、あいつを逃がしちゃダメだ!」
「わかった!」
フランは即座に、雪を散らして飛び出した。あっという間に老ネクロマンサーに追いつくと、その背中に体当たりを食らわせる。老ネクロマンサーはバランスを崩して、雪の中に倒れこんだ。
「いよし、ナイスフラン!」
俺たちが追い付くと、老ネクロマンサーは雪をかき分けながら、ジタバタともんどり返っていた。近くで見てみると、やっぱり歳を食っているな。ローブの袖から覗く腕は、ひょろりと細い。フードをかぶった顔には、深いしわが刻まれていた。
「ええい、よるな!近づくんじゃない、卑しいやつらめ!それ以上近寄ると、命はないぞ!」
老ネクロマンサーは、口の端に泡を付けながら、腕をぶんぶんと振り回している。そうして口を動かしながらも、じりじりと後ずさりして逃げようとしているんだから、手に負えないな。腹に据えかねたフランは、老ネクロマンサーの足首をひっつかんで、逆さまに持ち上げた。
「うわあ!や、やめろー!」
老ネクロマンサーは完全に目を回していた。ローブのすき間から、スクロールやら怪しい瓶やらがぽとぽと落ちてくる。まったく、死霊術師というか、手品師みたいだな。
「フラン。降ろしてやれ。ただし、逃がさないように」
フランがパッと手をはなすと、老ネクロマンサーはどさっと雪の上に落ちた。その周りを、俺たちでぐるりと取り囲む。起き上がった老ネクロマンサーは、もはや逃げ場はないと悟ったのか、顔を土気色にして震えだした。
「あー、爺さん。こういうわけだ。あんたの負けだよ」
「ぁ……ぁあ……」
うーん。圧勝したっていうのに、どうにもこう、やるせない気分だ。ひょろひょろの老人に寄ってたかって……まるで俺たちが悪者みたいじゃないか?
「……ぅ、お」
「え?」
「こっ。殺さないでくれぇぇぇぇえ!」
がばっ。老ネクロマンサーは、両手をつき、頭から雪の中に突っ込んだ。完璧な姿勢の土下座だった。
つづく
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