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12章 負けられない闘い
16-1 戦いの後
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16-1 戦いの後
「桜下さん!」「だいじょうぶ、桜下!?」
うわ。まず俺は、部屋になだれ込んできた仲間たちに驚き、次につまずいてこけそうになったライラに驚き、そしてそれを避けようと急激に体をひねったエラゼムに驚き、最後にエラゼムの腕に鼻っ柱を強打されたアルルカに驚いた。すごいな、ナントカスイッチを見ている気分だ。
「……とりあえず、お前らの方が大丈夫なのかよ?」
アルルカは真っ赤になった鼻を押さえて、エラゼムの背中をゲシゲシ蹴っているし、ウィルは転んだライラに手を貸していた。とにかく、そんなひと悶着の後、ようやく俺たちは落ち着いて向かい合った。
「桜下さん、それにフランさんも。まずは、お疲れさまでした」
ウィルのねぎらいの言葉。俺たちは今、リング裏の控え室にいた。俺は肩をすくめる。
「さんきゅー。まあ結局、俺自身はなんにもできなかったわけなんだけどな。フランの力を借りたおかげで、なんとかなったよ」
「でも、驚きました!すごい光がぴか!ってなったと思ったら、見たこともない人が立ってるんですから……あれって、桜下さんと、フランさん?ということで、いいんですよね?」
「まあ、たぶん。実は俺も詳しくは分かってないんだけどさ、ははは。たぶん、あれが死霊術の新たな可能性ってやつなんだと思う」
「新たな可能性……ですか」
ウィルは目を丸くし、それはほかのみんなも同じだった。ただ一人、フランだけが、俺の隣で落ち着いた様子で座っている。
「たぶん俺は、全身を霊体化させて、フランの魂と合体したんだ。いや、融合というべきか」
エラゼムが腕を組んで唸る。
「融合……にわかには信じがたい話ですが」
「だよな、俺もそんなことができるなんて、ミジンコも思っちゃいなかったよ。ただ、実際にやれちゃったからなぁ」
「うぅむ……事実は小説より奇なり、というわけですか……しかし、今になって思い返してみれば、その兆候は随所に現れていたような気がします」
「そうなんだよ。そもそも、俺の能力自体、右手を霊体化させていたわけだからな。部分的とはいえ、ずーっと前からやってはいたんだ。そんで、最近はそれが全身に及んでた」
するとウィルが、納得したようにうなずく。
「それなら桜下さんのあれは、能力が暴走していたんじゃなくて、進化をしようとしてたってことなんですね」
「まあ、結局制御ができてなかったから、暴走でも間違っちゃないんだろうけど……けど、今回ので感覚は分かったから。たぶん、もう大丈夫だとは思う」
「ですか。それなら、安心ですね?」
「ああ。それに、これが初めてでもないから」
「え?」
「ほら、前に。ウィルとも、似たようなことがあったろ?」
「え……あ、あ!あぁ~、そ、そうですね……」
ウィルは、俺が彼女の魂の中に入った時のことを思い出したのか、顔を赤くしてわたわたと手を振った。ううむ、そんなに慌てることでもなかろうに。
「こ、こほん!それに、桜下さんは能力を使う時、私たちの魂と同調してるんですもんね。同調と融合って、ほら、似てますし」
「あー、そういう見方もできるな。いずれにせよ、死霊術の先輩もこうなることを予期していたみたいだから。たぶん、順当に成長したってことでいいんだと思う」
結局いつまでたっても、俺は一人では戦えないわけなんだが……とほほ、もうこれはネクロマンサーの宿命なのかもしれない。
するとライラが興味津々といった様子で、俺の顔を覗き込む。
「ねぇねぇ、だったらさ?フランだけじゃなくて、ライラとも合体できるってことなのかなぁ?」
「え?」
俺の新たな技……俺が命名した『ソウル・レゾナンス』は、死霊と俺の魂を融合する。それなら、理論上はフラン以外の死霊とも可能なはずだが……こちらを見るフランの瞳がきらりと光った気がした。
「ううーん、どうなんだろう。試してないからわからないけど、たぶん誰でもいいわけじゃないと思うんだ。こう、魂の波長が合わないとっていうか……」
「はちょう?」
「相性って言ったほうがいいかな。その辺の死霊を捕まえてきて、いきなり融合!てことは、できないと思うんだ。今回、俺はフランの魂をよーく知ってたし、フランの方も俺に魂を寄せてくれてた。二人の魂が近づいてたから、上手くいったんじゃないか……ってさ」
「ふーん……ようは、仲良くなきゃダメだってこと?」
「そうとも言えるな」
「じゃあ、きっとライラともできるよ!ねー、試してみようよぉ」
「い、今か?いやぁ、さすがに今はちょっと……」
「え~?さっきの桜下、すっごくかっこよかったからまた見たいのに。なんか、ガハハハって笑ってそうな感じでさ」
「う……なんか、あんときは異様にハイになってたっていうか……俺以外にもう一人、人格ができてたみたいなんだ。そいつが勝手に喋ってたって感じで……」
「ん~?よくわかんない」
だよなぁ。俺にだってよくわかっていないんだ。魂が融合した影響なのか、あの時だけ俺の中に全く新しい性格が生まれたらしい。今になって思うと、よくあんな大胆なことが言えたもんだと心底不思議に思うもんな……
「ねー桜下ぁー。いいでしょー?」
「ほらほら、ライラさん。あんまりワガママ言っちゃダメですよ」
ウィルがライラの肩に手を置いて、俺からそっと引きはがした。ライラはぶーぶー言っているが、今は勘弁してもらいたい……
「それで?あんたの感想はどうなのよ」
アルルカがからかうような目を向ける。その視線の先にいるのは、俺じゃなくてフランだ。
「……何が言いたいの」
「あんた、そこの小僧と念願の“身も心も一つになった”を達成したわけでしょ?どうだったって聞いてんのよ」
ぶすっとしていたフランは、途端に頬を赤らめた。
「へ、変な言い方しないで!さっきこの人が言った通りだよ」
「そんなわけないでしょ。術者であるこいつの感想は聞いたけど、死霊のほうも全く同じなわけないじゃない。あんたバカなの?」
「………………」
フランの歯の間から、とうてい人には出せないような音がしている。ライオンかワニが歯ぎしりしたとすれば、あんな音がでるんだろうか?それはそれとして、アルルカの質問にはちょこっと興味があるな。
「どうだったんだ、フラン?」
「えっ」
俺まで好奇心に満ちた目で見つめると、フランは途端に慌てだした。少しずるい気もするけど、ぜひ聞いてみたい。あの間、フランはどうなっていたんだろう?
「……別に。ちょっと驚きはしたけど……体が全然違ってるし、自由にも動けないし……」
フランはしきりに髪を触りながら、ぽつぽつと話し出した。
「へー。動けないって、目は見えてたのか?」
「うん。視界はあなたと一緒だった。たぶん、わたしは魂だけになって、あなたの中にいたんだと思う」
なるほど。確かに、俺の耳にはずっと、フランの声が聞こえていた。けど姿は見えなかったから、魂だけというのは実に的を射ている。
「後は、それから……気分は、悪くなかった。あの体は、わたしに足りないものを持ってたから」
「足りないもの?」
「うん。わたしの体って、打たれ弱いでしょ。すぐに千切れたり、動かなくなったり。でもあの時は、それを克服してた。分かんないけど、わたしのそうなりたいっていう願いが反映されてたのかなって」
ふむ……フランをベースに融合した結果、フランの弱点を補う肉体に進化した……?それならひょっとすると、融合する死霊によっては、融合後の姿や能力も異なってくるのか……?
「後は……魂が、あなたに包まれてたからかな。安心したというか……きもちかった」
「へ?」
「あ……」
それは、どういう……フランは言い過ぎたことに気付いたのか、顔を伏せてしまった。き、気まずい空気が流れる……
「……ん?」
ふと、耳を傾ける。なにやら、廊下の方が騒がしい。いくつもの足音と、大きなわっはっはという笑い声……
「この声って……」
やがて戸口に、ノロ、ヘイズ、そしてクラークの姿が現れた。
「やあやあ、桜下とその仲間諸君!余は感激したぞ!」
「へ?は、はあ……」
ノロは顔中を笑顔でいっぱいにしている。かなりご機嫌みたいだが。女帝は俺の前まで来ると、俺の両肩をバシバシと叩いた。いてて、あいてて。力強いんだよな。
「素晴らしい!素晴らしい闘いだったぞ!そなたはこの名は捨てたと言っていたが、今改めてその名で呼ぼう!そなたはやはり勇者だ!」
だから、それはもうやめたって……と、訂正したところで、ノロは聞きゃしないだろう。今だって、俺に話しているというよりは、一人で勝手に話しているみたいなもんだし。
「これほどの名勝負が行われた勇演武闘は、未だかつてなかったであろう!余は敬意を示すぞ。そなたたち、よくやった!」
ノロは俺から目を離すと、仲間たちをぐるりと見回した。女帝からのありがたいお言葉だったが、仲間たちは誰一人としていい顔をしなかった。フランはぶすっと顔を曇らせ、アルルカは全く興味なさそうに爪をいじっている。エラゼムだけは、最低限の形式として会釈をした。うひゃ、ノロが気を悪くするんじゃとヒヤッとしたが、ノロはノロで全く気に留めていない様子だった。なんだかなぁ、まったく。
「うむ、うむ。やはり余の目に狂いはなかったな。桜下、そなたならきっと、余の期待に応え、名勝負を披露してくれると思っていたぞ。それにそなたとしても、此度のクラークとの闘いは、よい刺激になったのではないか?」
俺は苦笑いした。確かに、この試合を通じて、俺は新たな技を習得することができた。だとしても、こんな形はごめんだというのが本音だが。
「余は大満足だ。どうだ、桜下?余は強き者への賞賛は惜しまぬぞ。望みがあれば言ってみよ」
「いえ、そんな……どうしてもって言うんなら、リングをぶっ壊しちまったこと、あれに目をつぶってくれれば」
「あ?なんだ、そんなことでよいのか?あれこそ、気にすることはない。形あるものはいずれ壊れるもの。あれほど血沸き肉躍る闘いを、舞台の一つの犠牲で見られるのなら本望というものだ」
「はは、ならそれで十分っす」
ノロに借りを作る?冗談じゃない。ロアよりもっと借りを作りたくないぜ、この女帝サマにはな。
「わっはっは!謙虚さは二の国の人間の美徳だな。よかろう、そなたがそう言うのであれば、そうしようではないか」
いちおう、礼を言ったほうがいいだろうか?釈然としないが……俺がぐずぐずしていると、ノロの背後の戸口に、血相変えた様子の臣下が駆け込んできた。
「ああ、皇帝閣下、こんなところにいらしたのですか。お早く、もう間もなく閉会の挨拶です!」
「む?そうか。すっかり忘れていたな。わかった、すぐ行く」
ノロは去り際に俺の肩をぽんと叩くと、臣下に急かされながら控室を後にした。あいつ、あれを言うためだけに、俺に会いに来たのか?
ノロが出ていくと、ヘイズが首の後ろに手を回しながらため息をついた。
「はぁ、ったく。あの女帝には困ったもんだぜ」
「ヘイズ!遅かったじゃないか。なんでもっと早く来なかったんだよ?」
「バカ、文句はオレじゃなくて、ここの臣下どもに言ってくれ。あいつらがオレを呼びに来たのは、お前の試合が始まる直前だったんだぞ」
「え?だって、俺はノロに頼んで……」
「で、女帝様は、臣下にこう言ったんだろうな。ギリギリまで時間を稼いで、直前になるまで声はかけるな、ってな。オレが余計な入れ知恵をできないように」
「あ……」
そういうことか……なんだかもう、怒りの感情すら湧いてこない。ひたすら呆れるだけだ。
「……たぶんノロは、腹の中にタヌキを十匹くらい飼ってるんだろうな」
「言えてるな。心臓に毛も間違いなく生えてるだろう」
俺とヘイズは、力なく笑いあった。ライラは俺たちの言っていることが理解できなかったのか、自分の胸元をぺたぺた触っている。胸毛と勘違いしているのか?と、急にヘイズが真面目な顔をした。
「……正直、今回は一の国側にやられっぱなしだった。オレはあの女帝は食えないやつだって知ってたのに、このざまだ。今回の騒ぎは、全部オレの無能が招いたことだ……」
俺はびっくりして、ヘイズを見つめた。なんだなんだ、突然?さらに驚くことに、ヘイズは俺に頭を下げた。
「すまなかった。お前たちには、明らかに想定以上の役目を押し付けちまった。ロア様だって、こうなるって知ってはいなかったはずだ。責任は全部、オレにある。恨みがあるなら、全部ぶつけてくれ。好きなだけ罵ってくれて構わない」
「の、罵るって……」
この場にいる全員が、ヘイズの下げた頭を見つめていた。クラークまで、目を丸くして事態を見守っている。
今回の遠征、正直不満はある。それもかなり。エドガーのためとはいえ、嫌な思いをしたのも一度や二度じゃない。けれど、それが全部ヘイズのせいなのかと言えば、そうでもない気がするんだけど……む、それなら。
「……なら、これで俺は、ヘイズに貸しを作ったってことだよな?」
「え?それは、そう、だな。ああ、その通りだ。さっきの女帝じゃないけど、オレにできることなら言ってくれ。できる限り努力はさせてもらう」
「いやいや、そんなもったいないことしないよ。切り札はとっとかないとな」
俺がニヤニヤ笑いながら言うと、ヘイズは顔をぐにゃりとゆがめた。会話を聞いていたライラが不思議そうにこちらを見る。
「桜下、どういうこと?」
「だってさ、今チャラにしちまったらそれまでだけど、貸しを残したままにすれば、しばらくヘイズは俺に逆らえないだろ?こういうのは、できるだけ長く楽しまないとな」
俺がけけけと笑うと、ライラとウィルは呆れた顔になった。
「桜下さん、ちっちゃ~……」
「う、うるさいな。そういうことでよろしく、ヘイズさん?」
「チッ!てめーみてぇなんに、真面目に謝ったオレがバカだった……」
ヘイズはぶつぶつつぶやいた後で、にやりと笑った。
「それなら、これ以上貸しを増やさないようにしねぇとな。もうこれ以上は、女帝にもとやかく言わせねえ。エドガー隊長が回復したら、とっとと国に帰ろう」
「ああ。任せるぜ」
「おう。同じヘマはこかねえよ。じゃあな、今日はゆっくり休めよ」
ヘイズは軽く手を上げると、控え室を出ていった。くくく。あいつに対する切り札が、ウィル以外にも手に入るとはな。思わぬ収穫だ。
さて、ヘイズが行ったので、これで残った客はクラークだけになった。
「で、おたくはどうしたんだ?」
俺が問いかけても、クラークは口を開かなかった。難しい顔をして、床をじっと見つめている。言いたいことがあるなら、さっさとしてくれないかな。俺、けっこう疲れているんだけど?
「……君は」
「あん?ふぁ」
おっと、あくびが少しだけ漏れてしまった。慌てて嚙み殺すと、目をぎゅっと閉じてから、クラークを見つめる。むむ、どうにもかすんで見えるな……
「僕は、君に聞きたいことがあったんだ。君は、どうしてあの時……」
「あの時?どの時だ?」
「……分かっているんだろう。どうして君は、わざと負けるようなことをしたんだ」
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「桜下さん!」「だいじょうぶ、桜下!?」
うわ。まず俺は、部屋になだれ込んできた仲間たちに驚き、次につまずいてこけそうになったライラに驚き、そしてそれを避けようと急激に体をひねったエラゼムに驚き、最後にエラゼムの腕に鼻っ柱を強打されたアルルカに驚いた。すごいな、ナントカスイッチを見ている気分だ。
「……とりあえず、お前らの方が大丈夫なのかよ?」
アルルカは真っ赤になった鼻を押さえて、エラゼムの背中をゲシゲシ蹴っているし、ウィルは転んだライラに手を貸していた。とにかく、そんなひと悶着の後、ようやく俺たちは落ち着いて向かい合った。
「桜下さん、それにフランさんも。まずは、お疲れさまでした」
ウィルのねぎらいの言葉。俺たちは今、リング裏の控え室にいた。俺は肩をすくめる。
「さんきゅー。まあ結局、俺自身はなんにもできなかったわけなんだけどな。フランの力を借りたおかげで、なんとかなったよ」
「でも、驚きました!すごい光がぴか!ってなったと思ったら、見たこともない人が立ってるんですから……あれって、桜下さんと、フランさん?ということで、いいんですよね?」
「まあ、たぶん。実は俺も詳しくは分かってないんだけどさ、ははは。たぶん、あれが死霊術の新たな可能性ってやつなんだと思う」
「新たな可能性……ですか」
ウィルは目を丸くし、それはほかのみんなも同じだった。ただ一人、フランだけが、俺の隣で落ち着いた様子で座っている。
「たぶん俺は、全身を霊体化させて、フランの魂と合体したんだ。いや、融合というべきか」
エラゼムが腕を組んで唸る。
「融合……にわかには信じがたい話ですが」
「だよな、俺もそんなことができるなんて、ミジンコも思っちゃいなかったよ。ただ、実際にやれちゃったからなぁ」
「うぅむ……事実は小説より奇なり、というわけですか……しかし、今になって思い返してみれば、その兆候は随所に現れていたような気がします」
「そうなんだよ。そもそも、俺の能力自体、右手を霊体化させていたわけだからな。部分的とはいえ、ずーっと前からやってはいたんだ。そんで、最近はそれが全身に及んでた」
するとウィルが、納得したようにうなずく。
「それなら桜下さんのあれは、能力が暴走していたんじゃなくて、進化をしようとしてたってことなんですね」
「まあ、結局制御ができてなかったから、暴走でも間違っちゃないんだろうけど……けど、今回ので感覚は分かったから。たぶん、もう大丈夫だとは思う」
「ですか。それなら、安心ですね?」
「ああ。それに、これが初めてでもないから」
「え?」
「ほら、前に。ウィルとも、似たようなことがあったろ?」
「え……あ、あ!あぁ~、そ、そうですね……」
ウィルは、俺が彼女の魂の中に入った時のことを思い出したのか、顔を赤くしてわたわたと手を振った。ううむ、そんなに慌てることでもなかろうに。
「こ、こほん!それに、桜下さんは能力を使う時、私たちの魂と同調してるんですもんね。同調と融合って、ほら、似てますし」
「あー、そういう見方もできるな。いずれにせよ、死霊術の先輩もこうなることを予期していたみたいだから。たぶん、順当に成長したってことでいいんだと思う」
結局いつまでたっても、俺は一人では戦えないわけなんだが……とほほ、もうこれはネクロマンサーの宿命なのかもしれない。
するとライラが興味津々といった様子で、俺の顔を覗き込む。
「ねぇねぇ、だったらさ?フランだけじゃなくて、ライラとも合体できるってことなのかなぁ?」
「え?」
俺の新たな技……俺が命名した『ソウル・レゾナンス』は、死霊と俺の魂を融合する。それなら、理論上はフラン以外の死霊とも可能なはずだが……こちらを見るフランの瞳がきらりと光った気がした。
「ううーん、どうなんだろう。試してないからわからないけど、たぶん誰でもいいわけじゃないと思うんだ。こう、魂の波長が合わないとっていうか……」
「はちょう?」
「相性って言ったほうがいいかな。その辺の死霊を捕まえてきて、いきなり融合!てことは、できないと思うんだ。今回、俺はフランの魂をよーく知ってたし、フランの方も俺に魂を寄せてくれてた。二人の魂が近づいてたから、上手くいったんじゃないか……ってさ」
「ふーん……ようは、仲良くなきゃダメだってこと?」
「そうとも言えるな」
「じゃあ、きっとライラともできるよ!ねー、試してみようよぉ」
「い、今か?いやぁ、さすがに今はちょっと……」
「え~?さっきの桜下、すっごくかっこよかったからまた見たいのに。なんか、ガハハハって笑ってそうな感じでさ」
「う……なんか、あんときは異様にハイになってたっていうか……俺以外にもう一人、人格ができてたみたいなんだ。そいつが勝手に喋ってたって感じで……」
「ん~?よくわかんない」
だよなぁ。俺にだってよくわかっていないんだ。魂が融合した影響なのか、あの時だけ俺の中に全く新しい性格が生まれたらしい。今になって思うと、よくあんな大胆なことが言えたもんだと心底不思議に思うもんな……
「ねー桜下ぁー。いいでしょー?」
「ほらほら、ライラさん。あんまりワガママ言っちゃダメですよ」
ウィルがライラの肩に手を置いて、俺からそっと引きはがした。ライラはぶーぶー言っているが、今は勘弁してもらいたい……
「それで?あんたの感想はどうなのよ」
アルルカがからかうような目を向ける。その視線の先にいるのは、俺じゃなくてフランだ。
「……何が言いたいの」
「あんた、そこの小僧と念願の“身も心も一つになった”を達成したわけでしょ?どうだったって聞いてんのよ」
ぶすっとしていたフランは、途端に頬を赤らめた。
「へ、変な言い方しないで!さっきこの人が言った通りだよ」
「そんなわけないでしょ。術者であるこいつの感想は聞いたけど、死霊のほうも全く同じなわけないじゃない。あんたバカなの?」
「………………」
フランの歯の間から、とうてい人には出せないような音がしている。ライオンかワニが歯ぎしりしたとすれば、あんな音がでるんだろうか?それはそれとして、アルルカの質問にはちょこっと興味があるな。
「どうだったんだ、フラン?」
「えっ」
俺まで好奇心に満ちた目で見つめると、フランは途端に慌てだした。少しずるい気もするけど、ぜひ聞いてみたい。あの間、フランはどうなっていたんだろう?
「……別に。ちょっと驚きはしたけど……体が全然違ってるし、自由にも動けないし……」
フランはしきりに髪を触りながら、ぽつぽつと話し出した。
「へー。動けないって、目は見えてたのか?」
「うん。視界はあなたと一緒だった。たぶん、わたしは魂だけになって、あなたの中にいたんだと思う」
なるほど。確かに、俺の耳にはずっと、フランの声が聞こえていた。けど姿は見えなかったから、魂だけというのは実に的を射ている。
「後は、それから……気分は、悪くなかった。あの体は、わたしに足りないものを持ってたから」
「足りないもの?」
「うん。わたしの体って、打たれ弱いでしょ。すぐに千切れたり、動かなくなったり。でもあの時は、それを克服してた。分かんないけど、わたしのそうなりたいっていう願いが反映されてたのかなって」
ふむ……フランをベースに融合した結果、フランの弱点を補う肉体に進化した……?それならひょっとすると、融合する死霊によっては、融合後の姿や能力も異なってくるのか……?
「後は……魂が、あなたに包まれてたからかな。安心したというか……きもちかった」
「へ?」
「あ……」
それは、どういう……フランは言い過ぎたことに気付いたのか、顔を伏せてしまった。き、気まずい空気が流れる……
「……ん?」
ふと、耳を傾ける。なにやら、廊下の方が騒がしい。いくつもの足音と、大きなわっはっはという笑い声……
「この声って……」
やがて戸口に、ノロ、ヘイズ、そしてクラークの姿が現れた。
「やあやあ、桜下とその仲間諸君!余は感激したぞ!」
「へ?は、はあ……」
ノロは顔中を笑顔でいっぱいにしている。かなりご機嫌みたいだが。女帝は俺の前まで来ると、俺の両肩をバシバシと叩いた。いてて、あいてて。力強いんだよな。
「素晴らしい!素晴らしい闘いだったぞ!そなたはこの名は捨てたと言っていたが、今改めてその名で呼ぼう!そなたはやはり勇者だ!」
だから、それはもうやめたって……と、訂正したところで、ノロは聞きゃしないだろう。今だって、俺に話しているというよりは、一人で勝手に話しているみたいなもんだし。
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ノロは俺から目を離すと、仲間たちをぐるりと見回した。女帝からのありがたいお言葉だったが、仲間たちは誰一人としていい顔をしなかった。フランはぶすっと顔を曇らせ、アルルカは全く興味なさそうに爪をいじっている。エラゼムだけは、最低限の形式として会釈をした。うひゃ、ノロが気を悪くするんじゃとヒヤッとしたが、ノロはノロで全く気に留めていない様子だった。なんだかなぁ、まったく。
「うむ、うむ。やはり余の目に狂いはなかったな。桜下、そなたならきっと、余の期待に応え、名勝負を披露してくれると思っていたぞ。それにそなたとしても、此度のクラークとの闘いは、よい刺激になったのではないか?」
俺は苦笑いした。確かに、この試合を通じて、俺は新たな技を習得することができた。だとしても、こんな形はごめんだというのが本音だが。
「余は大満足だ。どうだ、桜下?余は強き者への賞賛は惜しまぬぞ。望みがあれば言ってみよ」
「いえ、そんな……どうしてもって言うんなら、リングをぶっ壊しちまったこと、あれに目をつぶってくれれば」
「あ?なんだ、そんなことでよいのか?あれこそ、気にすることはない。形あるものはいずれ壊れるもの。あれほど血沸き肉躍る闘いを、舞台の一つの犠牲で見られるのなら本望というものだ」
「はは、ならそれで十分っす」
ノロに借りを作る?冗談じゃない。ロアよりもっと借りを作りたくないぜ、この女帝サマにはな。
「わっはっは!謙虚さは二の国の人間の美徳だな。よかろう、そなたがそう言うのであれば、そうしようではないか」
いちおう、礼を言ったほうがいいだろうか?釈然としないが……俺がぐずぐずしていると、ノロの背後の戸口に、血相変えた様子の臣下が駆け込んできた。
「ああ、皇帝閣下、こんなところにいらしたのですか。お早く、もう間もなく閉会の挨拶です!」
「む?そうか。すっかり忘れていたな。わかった、すぐ行く」
ノロは去り際に俺の肩をぽんと叩くと、臣下に急かされながら控室を後にした。あいつ、あれを言うためだけに、俺に会いに来たのか?
ノロが出ていくと、ヘイズが首の後ろに手を回しながらため息をついた。
「はぁ、ったく。あの女帝には困ったもんだぜ」
「ヘイズ!遅かったじゃないか。なんでもっと早く来なかったんだよ?」
「バカ、文句はオレじゃなくて、ここの臣下どもに言ってくれ。あいつらがオレを呼びに来たのは、お前の試合が始まる直前だったんだぞ」
「え?だって、俺はノロに頼んで……」
「で、女帝様は、臣下にこう言ったんだろうな。ギリギリまで時間を稼いで、直前になるまで声はかけるな、ってな。オレが余計な入れ知恵をできないように」
「あ……」
そういうことか……なんだかもう、怒りの感情すら湧いてこない。ひたすら呆れるだけだ。
「……たぶんノロは、腹の中にタヌキを十匹くらい飼ってるんだろうな」
「言えてるな。心臓に毛も間違いなく生えてるだろう」
俺とヘイズは、力なく笑いあった。ライラは俺たちの言っていることが理解できなかったのか、自分の胸元をぺたぺた触っている。胸毛と勘違いしているのか?と、急にヘイズが真面目な顔をした。
「……正直、今回は一の国側にやられっぱなしだった。オレはあの女帝は食えないやつだって知ってたのに、このざまだ。今回の騒ぎは、全部オレの無能が招いたことだ……」
俺はびっくりして、ヘイズを見つめた。なんだなんだ、突然?さらに驚くことに、ヘイズは俺に頭を下げた。
「すまなかった。お前たちには、明らかに想定以上の役目を押し付けちまった。ロア様だって、こうなるって知ってはいなかったはずだ。責任は全部、オレにある。恨みがあるなら、全部ぶつけてくれ。好きなだけ罵ってくれて構わない」
「の、罵るって……」
この場にいる全員が、ヘイズの下げた頭を見つめていた。クラークまで、目を丸くして事態を見守っている。
今回の遠征、正直不満はある。それもかなり。エドガーのためとはいえ、嫌な思いをしたのも一度や二度じゃない。けれど、それが全部ヘイズのせいなのかと言えば、そうでもない気がするんだけど……む、それなら。
「……なら、これで俺は、ヘイズに貸しを作ったってことだよな?」
「え?それは、そう、だな。ああ、その通りだ。さっきの女帝じゃないけど、オレにできることなら言ってくれ。できる限り努力はさせてもらう」
「いやいや、そんなもったいないことしないよ。切り札はとっとかないとな」
俺がニヤニヤ笑いながら言うと、ヘイズは顔をぐにゃりとゆがめた。会話を聞いていたライラが不思議そうにこちらを見る。
「桜下、どういうこと?」
「だってさ、今チャラにしちまったらそれまでだけど、貸しを残したままにすれば、しばらくヘイズは俺に逆らえないだろ?こういうのは、できるだけ長く楽しまないとな」
俺がけけけと笑うと、ライラとウィルは呆れた顔になった。
「桜下さん、ちっちゃ~……」
「う、うるさいな。そういうことでよろしく、ヘイズさん?」
「チッ!てめーみてぇなんに、真面目に謝ったオレがバカだった……」
ヘイズはぶつぶつつぶやいた後で、にやりと笑った。
「それなら、これ以上貸しを増やさないようにしねぇとな。もうこれ以上は、女帝にもとやかく言わせねえ。エドガー隊長が回復したら、とっとと国に帰ろう」
「ああ。任せるぜ」
「おう。同じヘマはこかねえよ。じゃあな、今日はゆっくり休めよ」
ヘイズは軽く手を上げると、控え室を出ていった。くくく。あいつに対する切り札が、ウィル以外にも手に入るとはな。思わぬ収穫だ。
さて、ヘイズが行ったので、これで残った客はクラークだけになった。
「で、おたくはどうしたんだ?」
俺が問いかけても、クラークは口を開かなかった。難しい顔をして、床をじっと見つめている。言いたいことがあるなら、さっさとしてくれないかな。俺、けっこう疲れているんだけど?
「……君は」
「あん?ふぁ」
おっと、あくびが少しだけ漏れてしまった。慌てて嚙み殺すと、目をぎゅっと閉じてから、クラークを見つめる。むむ、どうにもかすんで見えるな……
「僕は、君に聞きたいことがあったんだ。君は、どうしてあの時……」
「あの時?どの時だ?」
「……分かっているんだろう。どうして君は、わざと負けるようなことをしたんだ」
つづく
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「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
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