じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。

万怒 羅豪羅

文字の大きさ
499 / 860
12章 負けられない闘い

16-4

しおりを挟む
16-4

時間は経って、その日の深夜の事である。
桜下はあの後、風呂から戻ると早々に床に就き、すぐに泥のような眠りに落ちた。ライラは彼の傍らで寝息を立て、それをエラゼムとウィルが見守る。室内には静かな、安らぎの時間が流れていた。
一方。

「……なんなの。こんなとこに呼び出して」

夜風に髪をなびかせながら、堅い声でそう言ったのは、フランだ。彼女は今、がれきと土砂が散乱する、コロシアムのリングにいる。昼間の試合のせいで完膚なきまでに破壊されたリングは、もはや整備もされることなく放置されている。砕けた石材が転がる様は、さながら古戦場のようだ。
リングの周りには、立ち入りを禁止する木柵が設けられていた。つまりフランは、ここに勝手に入り込んだことになる。だがそれは、彼女が望んだことではない。この場を待ち合わせの場所に指定した人物がいたのだ。

「ここなら、誰も邪魔しに来ないでしょ?」

声の主は砕けたリングの残骸に腰かけ、微笑みを浮かべる。つややかな黒髪がゆるくたなびいている。

「……アルルカ。どういうつもり」

再度問いかけたフランの声には、若干の苛立ちが混じっていた。ヴァンパイア・アルルカは、そんな彼女をからかうような笑みを浮かべた。

「なぁーによ、殺気立っちゃって。なにか嫌なことでもあったかしら?」

「……夜に、ヴァンパイアに呼び出されたこととか」

アルルカはぴくっとまなじりを動かしたが、すぐに表情を戻す。

「ふん。見え透いたウソね」

「嘘?」

アルルカはにやーっと笑う。べたつく視線に、フランは顔をしかめた。

「ええ。だってあんた、あたしが呼び出す前からイライラしてたもん」

「……」

「図星かしら?一体何があったのかしらねぇ?」

「……お前には関係ない」

「はぁ。あんたって、困るといっつもそれね。関係ない、自分たちの問題だ。チッ!この際だから、はっきり言わせてもらうわ」

アルルカは笑みを消すと、びしっと指を突きつける。

「あんた、いい加減自覚しなさいよ。あんたのその自己中心的なふるまいのせいで、ずーっと空気が悪くなってんのよ」

フランは、ガツンと殴られたような顔になった。

「……な。なに、適当なこと……」

「適当?自分で気づかないわけ?あんたがあのガキを取られまいと、ずーっと殺気振りまいてるもんだから、息苦しいったらありゃしないわ」

「そんなこと……」

「ないって?そしたらあんた、バカよ。それを自覚してないんだから、手に負えない大バカね」

「お前……!」

フランの髪が逆立つ。だがアルルカは、フランに付きつけた指を下ろそうとはしない。

「バカなんだとしたら、せめて話は最後まで聞きなさい。あんた、このままだとあいつを失うわよ」

フランの顔は、夜の闇の中でもはっきりとわかるくらい白くなった。

「……い、みが、わから」

「そう思うなら、もういいわ。このまま帰りなさいよ。でもね、そしたらあたしは、手段を選ばずにあんたを桜下から引きはがすわ。あたしはあいつを守らなきゃならないもの」

フランが眉を顰める。守る?桜下を?

「……どういうこと」

「今のあんたは、あいつにとって害悪でしかないってこと。このままいけば、あいつはいずれダメになる。そうなったら困るのよ、今のあたしはね」

「……血、か」

「そーよ。はぁ、まさかこんなことになるなんてね。でも、こればっかりは本能だからね。認めざるを得ないわ」

アルルカはやれやれと首を振ると、肩にかかった髪をかき上げる。

「あたし、あいつの血の味に惚れちゃった。もうあれナシなんて考えられないわ。それに、この鬱陶しいマスクもあるし」

アルルカは口元の枷を、ピンと指ではじいた。

「こうなっちゃった以上、あたしにもあいつが必要なの。あんたがあいつとどれだけ盛りあおうが知ったこっちゃないけど、独り占めは容認できないわ」

「……それがどうして、わたしがあの人をダメにすることに繋がるの」

「分からない?あんたはあいつさえ居ればいいかもしれないけどね、あいつはあんただけじゃダメなのよ」

フランは再び殴られたような顔になった。さっきのが後頭部への一撃だったとしたら、今のはボディブローだ。

「あいつは、あたしたち……ふふん、こう言うと笑えるわね。でも言うわ。あいつは、あたしたち全員を必要としてるの。あいつも大概バカよね、死霊ばっかりでハーレムをつくるだなんて。でも、そういうことよ。あんたもうすうす分かってたでしょ?だからあんたは、いつまでたっても一線を越えられなかった。違う?」

フランは、くらりと眩暈がする気がした。実際には、ゾンビに立ち眩みはないのだろうが。目の前で話している相手は、本当にあの、いかれたヴァンパイアなのか?それくらい、彼女の指摘は的確だった。

「そうよ、あんただってわかってる。あの大バカ小僧は、誰か一人にかまけて、他の連中を見捨てることができない。あんたと一つになったとしても、あいつきっと、あたしへの血の提供はやめないわよ。きゃはは、どうしようもないわよね。人間の腕は二本しかないって知らないのかしら?」

「……」

「とまあ、そういうことよ。そこであんたが、自分以外を見ないでって駄々をこねたらどうなると思う?あいつは板挟みになるわ。あんたを見捨てることも、あたしたちを見捨てることもできずに、悩んで、苦しんで、自分を責めて、のたうち回って」

「……やめて」

「そうなった人間が、最後にどうなるか知ってる?あたし、そういうやつは腐るほど見てきたの。そいつらは、みーんな最期にはね?」

「やめて」

「自分で自分を殺すのよ」

「やめて!」

最後の声は、悲鳴に近かった。フランの絶叫が、誰もいないコロシアムに虚しくこだまする。やめて……やめて……

「……わかった。もう、わかったから……」

「ダメよ、やめない。あんたはまだわかっちゃないわ。そんなだから、あんたがあいつを死に導くの」

「……わたしが?」

「そう。あんたのせいよ」

「……じゃあ」

フランの瞳がぎらりと、血のように赤く光った。

「じゃあ、どうしろっていうのっ!!!」

ビリビリビリッ。空気が震える。それは声量というよりは、放たれる気迫によるものだ。

「わたしだって、わかってる!わたしじゃ、あの人を支えてあげられないことくらい!わたしだけじゃ、あの人の願いを叶えられないことくらい、分かってるよ!」

フランは髪を激しく振り乱し、口をめいっぱい広げながら、叫び続ける。

「さっきだってそうだ!ウィルだけが、あの人が無理してることに気付いてた!ウィルが居なかったら、あの人は今よりもっと笑わなくなってたはずだ!ウィルがいたおかげで……わたしじゃなくて、ウィルが……」

フランはがっくりと膝をつくと、拳で地面を殴りつけた。ズズン!

「でも、じゃあどうしろっていうの!ウィルは、ウィルはわたしのことを応援してくれてるんだよ!わたしが抜け駆けしたことだって、分かってるはずのに!なのにいまさら、ウィルに譲るの?そんなことできるわけないじゃん!それに、それに……」

フランの体から、だんだん力が抜けていく。両腕を地面に付き、首を垂れる。

「……諦め、きれない……好きなんだよ。こんなこと、初めてなんだ。どうにかしなきゃって思ってるけど、どうしたらいいのか、わかんないんだ……」

最後の方はか細く、すすり泣いているようですらあった。その姿を見て、アルルカは満足そうにうなずいた。

「はぁ。やぁっと素直になったわね。いっつもムッツリ黙り込んで。まどろっこしいのよ、あんた」

「……」

「でも、朗報よ。あたし、解決策を知ってるわ」

「……え?」

フランが顔を上げる。

「始めに言ったでしょ。あたしは、今のこの状況を何とかするために、あんたを呼び出したんだから。策があるに決まってるじゃない」

「……どうすればいいの?」

「ふふん。安心なさい、あんたにその気持ちを諦めろ、とは言わないわ。身を引いたところで、あいつの方がほっとかないでしょうし。だけど代わりに、あんたには別のものを諦めてもうわよ」

「……別のもの?」

「そ。と言っても、今すぐの必要はないかもしれないけど。ま、心構えみたいなもんね。たぶんこのままいけば、いずれあのシスターが限界を迎えると思うのよ」

「……ウィルが?」

「あんたも分かってんでしょ。まず間違いなく惚れてるわよ」

「……」

「んで、シスターも似たような状況になると思うわ。そん時になってようやく、あのトーヘンボクは事態を把握するの。そのタイミングであんたとシスターがギスギスなんてしてたら、一気にドロ沼一直線ね」

「……なんなの?その、諦めなきゃいけないものって」

アルルカはにんまり笑う。その笑顔が、フランにはひどく残忍に見えた。

「独占。あんた、あのガキを自分のものにするのを諦めなさい」

「な……」

フランは目を見開き、その次に歯をギリッと食いしばる。

「……結局、あの人を諦めろってことじゃない」

「はぁ?あんた、ちゃんと脳ミソ使いなさいよ。独り占めを諦めろって言ってんの。あいつはどうせ、自分からあたしたちに絡んでくるわよ。だったらもう、それごと受け入れるほかないわ」

「それって……!」

「そーよ。シスターのことも受け入れるの。自分だけじゃなくて、あたしたち全員のもんだって認めるのよ」

「なっ……」

フランは激しく混乱した。アルルカの言っていることが何一つ理解できない。フランの脳裏に、ノロ女帝と四人の夫の姿がちらついた。それを、自分たちでも……?
だが、アルルカは自信満々だし、さっきまでの指摘は残酷なまでに正確だった……

「でも、そんな……あの人がそれを望むかもわからないし……それに、ウィルだって……」

「だーかーらー、望む望まないじゃなくて、そうするしか他ないんだってば。シスターにもあんたから説明なさいな。二人で仲良くシェアしましょって」

「……あの人は、物なんかじゃない。一人の、生きた、人間だ!そんな風に言うな!」

フランの瞳に、力が戻った。それを見て、アルルカはなぜか楽し気に笑う。

「きゃはは、何いまさらカマトトぶってんの?高尚なお話でもしてると思ってたわけ?あたしたちが今話してんのは、どろっどろの、きったない、欲望まみれの事柄なんですけど?」

「……ちっ。いかれたヴァンパイア。やっぱりお前なんか、信用できない」

「へーえ、いつもの調子が戻ってきたわね。まあけど、正直あたしも、あんたが素直に従うとは思っちゃなかったわ。あんたみたいな石頭が、そんなに従順なわけないもの」

するとアルルカは、腰かけていたがれきからぴょんと飛び降りると、なぜか壊れたリングの端まで歩いていく。

「……?何のつもり」

「どうしてこの場所を選んだと思う?」

アルルカの唐突な問い掛け。フランは眉をひそめて考える。理由ならさっき、人がいないからだとアルルカ自らが言っていたはずだ。だが、それをここで訊ねるということは……
ここは、コロシアムのリング。その用途は、闘争のために。

「……やり合おうってわけ?」

「きひゃははは!あんたみたいな跳ねっ返りには、一発ガツンとやってやるのが手っ取り早い気がすんのよねー。それに一度、生意気なあんたをボコってやりたいっていうのもあったし」

アルルカはリングの端につくと、くるりとフランの方へ向き直った。手にはいつのまにやら、愛用の竜を模した杖を構えている。

「怖いならしっぽ巻いて逃げてもいいわよ?ま、背中から撃たない保証はできないけど」

「……冗談じゃない。コウモリ女の一匹くらい、わたし一人で十分だ」

「チッ。言ってくれるじゃない……」

二人は静かに睨みあった。昼間と違い、観客は頭上に輝く星たち以外にはいない。しかしフランは、昼間の試合以上に、この闘いに勝たなければという強い意思を感じていた。この闘いの勝者の意見が、正しい意見となる、気がする。
アルルカの提案は、常識的に考えればまず間違いなく受け入れがたいものだった。それもそのはず、アルルカは常識外れのヴァンパイアだから。だがフラン自身もまた、答えを見いだせずにいる。この闘いに勝てば、その先に答えがあるのだろうか。その為にも。

(……負けられない。絶対に)

夜風が吹くと、庭園の木立がざわざわと揺れた。風が唸りを上げている。ウウゥゥゥゥー。

「……行くわよおっ!!!」

「かかって、こいっ!!!」

乙女の闘いが、静かに、だが激しく、幕を開けた。



第二部 完

第三部 十三章へつづく
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

処理中です...