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13章 歪な三角星
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備え付けの試着室で着替えていいとのことだったので、俺は適当な水着をひっつかんで、さっさと着替えてしまった。脱いだ服を丸めて抱えて、試着室から出てくると、女性陣の姿が消えている。あ、アルルカはいたけど。
「エラゼム、残りのみんなは?」
「試着室です。桜下殿が入られたすぐあとでしたので、もうじき出てこられるかと思いますが」
そうか。あれ?ウィルとライラはわかるけど、フランもか?
じきに、試着室のカーテンがしゃーっと開かれた。予想通り、ウィルとライラが一緒に出てくる。
「お待たせしました。ほら、かわいいでしょう?」
「ど、どうかな……」
「お、確かに。似合ってるじゃないか」
ウィルが選んだライラの水着は、オレンジ色に花柄があしらわれた、チューブトップの水着だった。フリルがひらひらしていて可愛らしい。大人っぽくは見えないけれど、子どもが精いっぱい背伸びしているような微笑ましさがあった。
「ほ、ほんと?」
「おう。かわいいよ」
「えへへ……じゃあじゃあ、大人っぽい?」
「……」
「きぃー!なんで黙るのー!」
服を脱いで防御力の下がった俺に、ライラは容赦なくちねり攻撃を浴びせかけた。ウィルが止めなきゃ、俺の肌はまっかっかになっていただろう……
「あ、ところでフランはいないのか?」
「あら、ほんとですね。ほら、恥ずかしがってないで。出てきてくださいよ」
うん?なぜかウィルは、試着室に向かって声をかける。すると、カーテンが開かれ……
「ぅ……」
お、おお?中から出てきたのはフランだ。しかもいつもの服じゃなくて、紺色と白のボーダービキニを着ている……
「どうですか、桜下さん?こっちもかわいいでしょ?」
「へ?あ、お、おう……」
フランはもじもじと、肌を隠すように腕を組んでいる。ガントレットでよく着替えられたな……あ、ウィルが手伝ったのか。俺はなんだか気恥ずかしくって、フランを直視できなかった。アルルカが呆れたようにため息をつく。
「はぁ。いっしょに風呂にも入ったことあるのに、どうしてそこまでギクシャクできんのよ?布なら増えてるじゃない」
「う、うるさいな……」
確かに不思議だ。裸より、要所が隠れているほうがやらしく見えるなんて……ああ!?いやらしいだなんて、そんなことは思っちゃないぞ!仲間をそんな目で見るだなんて、俺のバカヤロウ!
「ご、ごほん!フランも、泳ぐのに興味あったんだ?」
「……うん。あなたが泳ぐなら、一緒にって思って」
「そ、そっか……」
なんだろうな、まったく!体がほてってしょうがない。一刻も早く海に飛び込みたい気分だ。メイドによれば、水着はこのまま着て部屋に戻っても構わないという。そこで脱いでおけば、勝手に回収して洗濯してくれるそうだ。うーむ、行き届いている。さっそくビーチへと向かおうとしたところで、俺のむき出しの肩に冷たいものが触れた。
「おひょあっ!なんだ?って、ウィルかよ。脅かすなよ……」
「す、すみません。あの、ちょっと……」
あん?ウィルはなぜか小声で、しきりに手招きしている。なんだろう?よくわからないけど、俺だけに用があるらしい。俺はみんなに先に行っててくれと頼むと、ウィルに招かれるまま、なぜか試着室に通された。ウィルがカーテンを引くと、完全に個室になる。
「ウィル、なんのつもりだ?」
「だって、私だけだと勝手にカーテンが閉まったみたいに見えるじゃないですか」
「ああ、そっか。うん。うん?」
つまり、どういうことだ?ウィルは、この試着室をなんかに使うってこと?ウィルの顔を見てみると、顔を赤くして、目を外されてしまった。けどその時に気が付いた。ハンガー掛けに、一着の水着がかけられている。つまり……
「ウィル?」
「あ、あの!わかってるんですよ、幽霊が着替えるとかわけわかんないって、どうせ水にも濡れませんし、だれにも見えませんし、そんな無意味なことするなんて馬鹿みたいだって思われるかもしれませんけど、私もそう思ってるんですけど」
「ウィル、おいってば!まだなんも言ってないだろ」
一人でまくしたてるウィルを遮ると、ウィルはしょぼんと肩を落とした。ったく、そこまで卑屈にならなくてもいいだろうに。
「別にいいじゃないか。ウィルも着たいなら着ろよ。俺は後ろ向いているから」
「あ、あの、それだと困るというか……」
「は?」
「ほら、私ってゴーストじゃないですか。そのままじゃ、着れないんじゃないかと思って」
「あ、それもそうか」
ウィルは目に見えない幽霊だから、実体のあるものを身に着けるのは難しい。水着だけが宙を浮くようになってしまうからな。ただし、例外はある。死霊術師である俺が魔力を込めた場合だ。
「なるほど、それで。わかった、この水着に魔力を込めればいいんだな?」
「その、はい……すみません、わがままですよね……」
「いいって。家族に遠慮はなしだろ」
俺は右手を、ハンガーにかかった水着につける。右手に、目いっぱいの魔力を!
ヴン!水着は一瞬輪郭を失うと、どことなく存在感が薄くなったような気がした。
「よし、これでいいんじゃないか?ウィル、着てみろよ」
「は、はい。あの、じゃあ……」
あ、はいはい。俺は後ろを向いた。幽霊が服を脱ぐと、どうなるんだろう?服だって霊体のはずだが、その下には確かにウィルの体があるはずだ。だって柔らかいし……
背後からは、ウィルが服を脱ぐ、シュルシュルという衣擦れの音が聞こえてくる。なんだかいけないことをしている気になるが、これは仕方がないんだ。ウィル一人では、試着室を使えないんだから。そうだよな?
「あの、桜下さん……」
ウィルの蚊の鳴くような声が聞こえてきて、俺はそろりと振り返った。
「終わったか……?」
「いえ、あのう……これ、紐を後ろで結ぶデザインだったみたいで。で、申し訳ないんですけど……」
げぇ、まじかよ。ウィルのシミ一つない背中に、ひょろりとした紐が二本垂れ下がっている。ウィルは胸元を押さえて、水着がずり落ちないようにしていた。後ろを向いてはいるが、髪の間からのぞく耳はまっかに染まっている。くうぅ、恥ずかしがっているのは俺だけじゃないんだ。なら、とっとと終わらせないと。
「う~。これ、どう結べばいいんだよ。ちょうちょ結びでいいのか?」
「た、たぶん……私も初めてなので、よくわからないです」
それもそうだ。誰かの水着の紐を結んだ経験なんて、あるわけがない。俺はおっかなびっくり指を動かした。
「よ、よし。これでいいだろ」
「あ、ありがとうございました。んしょっと……」
ウィルは胸をゆさっと持ち上げて(!)バランスを調整すると、こちらに向き直った。
「ど、どうですか?」
「ど、どうって……」
ウィルの選んだ水着は、リボンのついた青色のビキニだった。腰にはパレオを巻いている。お腹の傷を隠すためだろうな。それに分かっちゃいたけど、やっぱり大きい……いつも布に覆われているそこは、今は大胆にさらされて、深い谷間がくっきりと見えている。
「……ご、ごほん!俺に聞くなよ。センスないんだろ?」
「あう。ど、どうしてそんなイジワル言うんですかぁ」
「イジワルって、お前なぁ……」
どっちかって言えば、いじめられていたのは俺だぞ。
「だいたい、なんだって急に水着が着たいなんて言い出したんだ?別にいいとは思うけど、お前ってそんなに海好きだったっけ?」
「そ、それは……海が好き、というわけではありませんけど……わ、笑わないでくれます?」
「まあ、努力はするけど」
「ううぅ……わ、私だっていちおう、女の子なんです。かわいい格好もしたいし、男の子にきゃーきゃー言われたいじゃないですか……」
はぁ?俺はぽかんと口を開けた。そ、そんな理由?あ、でもそうか。前に王都で、ウィルはきらびやかなドレスに憧れを見せたことがあったっけ。いくら質実剛健のシスターと言えど、年頃の少女であることに変わりはないらしい。
「……とりあえず男は、きゃーとは言わないんじゃないか?」
「えっ、あっ、そうかもですね?」
「……ぷ、くくくっ。わ、悪いウィル、くひひ……」
「あ、ああー!酷いです、桜下さん!」
「ごめんごめん、冗談だって。いいじゃないか、それなら早くみんなに見せに行こうぜ」
俺が試着室のカーテンを開けようとすると、ウィルに手を引っ張られた。
「ん?ウィル、まだなんかあるのか?」
「……まだ、桜下さんの意見を聞いてません……」
え?ウィルは伏し目がちに、ちらちらこちらを見ている。あ、そ、そうか。俺たちの中で、男の子は俺一人だけか。
「あー……んんっ。あー、似合ってるよ。その、かわいい……です」
「あ……ありがとう、ございます……」
微妙な空気が俺たちの間に満ちる。ど、どうしてこんなに気まずいんだろう?相手はウィルなのに……
「……行きましょうか。あまりみなさんを待たせても悪いです」
「あ、そ、そうだな」
ウィルに促されて、俺ははっと我に返った。とにかくここを出よう。こんな狭い密室にいるから、おかしな雰囲気になるんだ。俺は逃げ出すように試着室を出た。よし、ここを出れば、あとはいつも通りの俺たちだ。
それでも……心臓がわななくのは、自分でもどうにもならなかった。俺、どうにかしちまったのか?
つづく
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読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「エラゼム、残りのみんなは?」
「試着室です。桜下殿が入られたすぐあとでしたので、もうじき出てこられるかと思いますが」
そうか。あれ?ウィルとライラはわかるけど、フランもか?
じきに、試着室のカーテンがしゃーっと開かれた。予想通り、ウィルとライラが一緒に出てくる。
「お待たせしました。ほら、かわいいでしょう?」
「ど、どうかな……」
「お、確かに。似合ってるじゃないか」
ウィルが選んだライラの水着は、オレンジ色に花柄があしらわれた、チューブトップの水着だった。フリルがひらひらしていて可愛らしい。大人っぽくは見えないけれど、子どもが精いっぱい背伸びしているような微笑ましさがあった。
「ほ、ほんと?」
「おう。かわいいよ」
「えへへ……じゃあじゃあ、大人っぽい?」
「……」
「きぃー!なんで黙るのー!」
服を脱いで防御力の下がった俺に、ライラは容赦なくちねり攻撃を浴びせかけた。ウィルが止めなきゃ、俺の肌はまっかっかになっていただろう……
「あ、ところでフランはいないのか?」
「あら、ほんとですね。ほら、恥ずかしがってないで。出てきてくださいよ」
うん?なぜかウィルは、試着室に向かって声をかける。すると、カーテンが開かれ……
「ぅ……」
お、おお?中から出てきたのはフランだ。しかもいつもの服じゃなくて、紺色と白のボーダービキニを着ている……
「どうですか、桜下さん?こっちもかわいいでしょ?」
「へ?あ、お、おう……」
フランはもじもじと、肌を隠すように腕を組んでいる。ガントレットでよく着替えられたな……あ、ウィルが手伝ったのか。俺はなんだか気恥ずかしくって、フランを直視できなかった。アルルカが呆れたようにため息をつく。
「はぁ。いっしょに風呂にも入ったことあるのに、どうしてそこまでギクシャクできんのよ?布なら増えてるじゃない」
「う、うるさいな……」
確かに不思議だ。裸より、要所が隠れているほうがやらしく見えるなんて……ああ!?いやらしいだなんて、そんなことは思っちゃないぞ!仲間をそんな目で見るだなんて、俺のバカヤロウ!
「ご、ごほん!フランも、泳ぐのに興味あったんだ?」
「……うん。あなたが泳ぐなら、一緒にって思って」
「そ、そっか……」
なんだろうな、まったく!体がほてってしょうがない。一刻も早く海に飛び込みたい気分だ。メイドによれば、水着はこのまま着て部屋に戻っても構わないという。そこで脱いでおけば、勝手に回収して洗濯してくれるそうだ。うーむ、行き届いている。さっそくビーチへと向かおうとしたところで、俺のむき出しの肩に冷たいものが触れた。
「おひょあっ!なんだ?って、ウィルかよ。脅かすなよ……」
「す、すみません。あの、ちょっと……」
あん?ウィルはなぜか小声で、しきりに手招きしている。なんだろう?よくわからないけど、俺だけに用があるらしい。俺はみんなに先に行っててくれと頼むと、ウィルに招かれるまま、なぜか試着室に通された。ウィルがカーテンを引くと、完全に個室になる。
「ウィル、なんのつもりだ?」
「だって、私だけだと勝手にカーテンが閉まったみたいに見えるじゃないですか」
「ああ、そっか。うん。うん?」
つまり、どういうことだ?ウィルは、この試着室をなんかに使うってこと?ウィルの顔を見てみると、顔を赤くして、目を外されてしまった。けどその時に気が付いた。ハンガー掛けに、一着の水着がかけられている。つまり……
「ウィル?」
「あ、あの!わかってるんですよ、幽霊が着替えるとかわけわかんないって、どうせ水にも濡れませんし、だれにも見えませんし、そんな無意味なことするなんて馬鹿みたいだって思われるかもしれませんけど、私もそう思ってるんですけど」
「ウィル、おいってば!まだなんも言ってないだろ」
一人でまくしたてるウィルを遮ると、ウィルはしょぼんと肩を落とした。ったく、そこまで卑屈にならなくてもいいだろうに。
「別にいいじゃないか。ウィルも着たいなら着ろよ。俺は後ろ向いているから」
「あ、あの、それだと困るというか……」
「は?」
「ほら、私ってゴーストじゃないですか。そのままじゃ、着れないんじゃないかと思って」
「あ、それもそうか」
ウィルは目に見えない幽霊だから、実体のあるものを身に着けるのは難しい。水着だけが宙を浮くようになってしまうからな。ただし、例外はある。死霊術師である俺が魔力を込めた場合だ。
「なるほど、それで。わかった、この水着に魔力を込めればいいんだな?」
「その、はい……すみません、わがままですよね……」
「いいって。家族に遠慮はなしだろ」
俺は右手を、ハンガーにかかった水着につける。右手に、目いっぱいの魔力を!
ヴン!水着は一瞬輪郭を失うと、どことなく存在感が薄くなったような気がした。
「よし、これでいいんじゃないか?ウィル、着てみろよ」
「は、はい。あの、じゃあ……」
あ、はいはい。俺は後ろを向いた。幽霊が服を脱ぐと、どうなるんだろう?服だって霊体のはずだが、その下には確かにウィルの体があるはずだ。だって柔らかいし……
背後からは、ウィルが服を脱ぐ、シュルシュルという衣擦れの音が聞こえてくる。なんだかいけないことをしている気になるが、これは仕方がないんだ。ウィル一人では、試着室を使えないんだから。そうだよな?
「あの、桜下さん……」
ウィルの蚊の鳴くような声が聞こえてきて、俺はそろりと振り返った。
「終わったか……?」
「いえ、あのう……これ、紐を後ろで結ぶデザインだったみたいで。で、申し訳ないんですけど……」
げぇ、まじかよ。ウィルのシミ一つない背中に、ひょろりとした紐が二本垂れ下がっている。ウィルは胸元を押さえて、水着がずり落ちないようにしていた。後ろを向いてはいるが、髪の間からのぞく耳はまっかに染まっている。くうぅ、恥ずかしがっているのは俺だけじゃないんだ。なら、とっとと終わらせないと。
「う~。これ、どう結べばいいんだよ。ちょうちょ結びでいいのか?」
「た、たぶん……私も初めてなので、よくわからないです」
それもそうだ。誰かの水着の紐を結んだ経験なんて、あるわけがない。俺はおっかなびっくり指を動かした。
「よ、よし。これでいいだろ」
「あ、ありがとうございました。んしょっと……」
ウィルは胸をゆさっと持ち上げて(!)バランスを調整すると、こちらに向き直った。
「ど、どうですか?」
「ど、どうって……」
ウィルの選んだ水着は、リボンのついた青色のビキニだった。腰にはパレオを巻いている。お腹の傷を隠すためだろうな。それに分かっちゃいたけど、やっぱり大きい……いつも布に覆われているそこは、今は大胆にさらされて、深い谷間がくっきりと見えている。
「……ご、ごほん!俺に聞くなよ。センスないんだろ?」
「あう。ど、どうしてそんなイジワル言うんですかぁ」
「イジワルって、お前なぁ……」
どっちかって言えば、いじめられていたのは俺だぞ。
「だいたい、なんだって急に水着が着たいなんて言い出したんだ?別にいいとは思うけど、お前ってそんなに海好きだったっけ?」
「そ、それは……海が好き、というわけではありませんけど……わ、笑わないでくれます?」
「まあ、努力はするけど」
「ううぅ……わ、私だっていちおう、女の子なんです。かわいい格好もしたいし、男の子にきゃーきゃー言われたいじゃないですか……」
はぁ?俺はぽかんと口を開けた。そ、そんな理由?あ、でもそうか。前に王都で、ウィルはきらびやかなドレスに憧れを見せたことがあったっけ。いくら質実剛健のシスターと言えど、年頃の少女であることに変わりはないらしい。
「……とりあえず男は、きゃーとは言わないんじゃないか?」
「えっ、あっ、そうかもですね?」
「……ぷ、くくくっ。わ、悪いウィル、くひひ……」
「あ、ああー!酷いです、桜下さん!」
「ごめんごめん、冗談だって。いいじゃないか、それなら早くみんなに見せに行こうぜ」
俺が試着室のカーテンを開けようとすると、ウィルに手を引っ張られた。
「ん?ウィル、まだなんかあるのか?」
「……まだ、桜下さんの意見を聞いてません……」
え?ウィルは伏し目がちに、ちらちらこちらを見ている。あ、そ、そうか。俺たちの中で、男の子は俺一人だけか。
「あー……んんっ。あー、似合ってるよ。その、かわいい……です」
「あ……ありがとう、ございます……」
微妙な空気が俺たちの間に満ちる。ど、どうしてこんなに気まずいんだろう?相手はウィルなのに……
「……行きましょうか。あまりみなさんを待たせても悪いです」
「あ、そ、そうだな」
ウィルに促されて、俺ははっと我に返った。とにかくここを出よう。こんな狭い密室にいるから、おかしな雰囲気になるんだ。俺は逃げ出すように試着室を出た。よし、ここを出れば、あとはいつも通りの俺たちだ。
それでも……心臓がわななくのは、自分でもどうにもならなかった。俺、どうにかしちまったのか?
つづく
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